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2024年8月9日【トピックス】

トヨタ、国交省に認証不正の再発防止策を提出

NEXT MOBILITY編集部

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国交省+トヨタ・ロゴ

トヨタ自動車は8月9日、国土交通省による是正命令(7月31日)を受けて、同省に型式指定申請に於ける不正行為の再発防止策を提出した。

 

同社では今後、国交省から指摘のあった点を踏まえ、全社一丸となって、以下の再発防止策を進めると共に、「人づくり」「モノづくり」「基盤の強化」の3つを柱に、正しい認証業務を実施できる環境づくりに取り組んでいくとしている。

 

・経営による認証業務への関与が不十分であり、また、データの管理体制や、認証業務に関する規程・手順の整備といった認証の基盤に多くの改善点があることを認識。経営と現場が一体となり、正しい認証業務を実施し、異常に気づき、すぐに行動できる仕組み・体制の見直しを速やかに進める。

・中長期的にはTPSを通じて、企画・開発・認証の全体の仕事の流れをあきらかにしながら、認証業務にトヨタの改善を織り込むと共に、グループ共通の価値観や改善を育んでいく。

・四半期ごとに、以上取り組みの状況を、国交省へ報告する。

 

[再発防止報告書の骨子]

1.会社全体の業務運営体制の再構築

(1)経営層による開発・認証業務の理解促進および統治体制の強化

・社長から継続的に全社員に向けてトップメッセージを発信。
・経営陣による定期的な認証現場巡視を行い、現場と本音の対話を行う場を設定。
・CTO(Chief Technology Officer)が開発の総合判断責任者、G-CQO(Global Chief Quality Officer)が認証の総合判断責任者となり、経営判断が必要な節目会議で認証業務を正しく実行するための判断ができるよう、責任者とプロセスを見直し、規程を明記。
・開発・認証業務を遂行する際の責任の所在、権限等を明確にし、開発の進捗や認証への影響等を指標化。チーフエンジニアがそれぞれの異常の有無を把握し、車両カンパニープレジデントや認証責任者に報告できる体制を整備。

 

(2)経営層による認証ルールの理解・遵法意識の向上

・経営層/幹部職員に対し、認証業務のプロセス、規程の概要に関する教育を実施。
従業員に対し、広く認証業務のコンプライアンス意識を醸成・強化する教育を継続。

 

(3)開発・認証業務に対する内部監査の充実

・内部監査を充実させるため、G-CQOが任命する法規主監が現場に対して2線的監査を行うことで、開発・認証の実務に対する牽制効果を高め、法規主監が認証体制の有効性を評価、G-CQOおよびCRO(Chief Risk Officer)に報告。

・さらに3線的監査としてCROが内部監査室によるプロセス監査の実施を検討。

 

(4)経営層に対して適正な情報が報告できる体制の確保

・経営層/幹部職員による定期的な現場巡視と対話。
・CRO、CTO、G-CQOが現場巡視や車両カンパニープレジデントや認証責任者、法規主監からの報告を通じて開発・認証現場の状態をモニターし、取締役会に報告。

 

2.自動車開発・認証全体の業務管理手法の改善

(1)開発から認証の全体統括管理および各業務の責任の明確化

・開発と認証の各工程に於いて、CTOとG-CQOを総合判断責任者として、経営判断が必要な節目会議で認証業務を正しく実行するための判断ができるよう、責任者とプロセスを見直し、規程に明記。

・CTOの統括責任下で車両カンパニープレジデントが責任者となり、次の工程への移行可否を判断。判断の透明性を確保し、認証に無理が生じないよう、柔軟に計画を変更。

・G-CQOは認証計画に影響を与えると判断した場合は認証への移行を止め、認証工程へのしわ寄せを防ぐ。認証移行後はG-CQOが任命する認証責任者が各工程の管理と問題解決の責任を持つ。

・CTOの統括責任下でチーフエンジニアが担当車両の認証計画の健全性を確保すると共に、開発完了後も認証車の品質確保の責任と試験結果や技術的な判断根拠の適切な保管の責任を持つ。

・正しく認証が実施できていなかった衝突については、車両カンパニー横断の衝突エキスパートを設置。

 

(2)自動車開発・認証業務全体の適正なリソース配分および管理

・認証関連組織への人的・物的リソース充当。
・経営層による開発・認証現場の定期的な巡視。
・法規主監からG-CQOおよびCROへの定期報告。
・開発・認証業務に必要なリソースの適切かつ柔軟な配置・配分の検討。
・トヨタグループ全体で適正なリソース下で認証業務が遂行される体制の管理。

 

(3)認証業務の適正な実施を前提とした日程管理方法の整備

・開発計画立案段階に於ける確保されるべき認証日程や認証車台数の考え方を認証責任者が規程化。
・開発・認証プロセスそれぞれの節目会議に於ける次の工程への移行判断の責任者と判断基準の明確化。

 

(4)認証での開発データ利用適正化のための社内規程の整備

・開発データを認証申請に用いる際、認証主管部署が試験指示書(指示かんばん)を発行し、法規主監が試験に立会い、指示通りに試験されていることを確認。試験車両が適正であることの根拠、試験条件や結果などのデータやその処理方法の情報をチーフエンジニアが責任をもって準備し、認証主管部署が確認する工程を設置。

 

3.不正リスクに対応した法規・認証関連業務の実施体制の構築

(1)認証業務に関する社内規程の適正化

・責任者の権限、委任可否の明確化。
・認証業務規程作成の統一ルールを制定し、規程間の齟齬や現場判断での委任を防止
・文書の保管内容や方法の詳細を規定し、適切な文書管理体制を構築。

 

(2)試験指示および申請準備に於ける試験条件等の確認強化

・認証主管部署は試験実施前に指示かんばんを発行し、試験実施者に対して詳細な試験内容や手順を示すことを定めた規程と運用を整備。
・認証主管部署は試験成績書と指示かんばんの一致を確認する責任を持ち、法規主監が認証申請前に確認、試験成績書を確定。
・デジタル技術の活用によりミスや作業負荷等を低減する取り組みも推進。

 

(3)認証試験のモニタリング・継続改善するための体制の構築

・G-CQOが任命する法規主監を「社内審査官」として配置、認証試験に立会い、実施状況や正確性を確認。
・社内審査官は認証試験条件の遵守度や試験能力、設備が法規要件を満たしているか、時間的制約によって試験の適切な実行が妨げられていないかを確認。
・法規主監は定期的にG-CQOおよびCROに報告し、経営層でないと解決できない問題に対しても具体的な改善を実施。
・出力試験では試験実施担当者がプログラムを変更できる環境であったため、プログラムの書き換えを防止する仕組みの導入を検討。

 

(4)認証現場に於ける遵法意識の向上

・品質学習館を活用し、開発や認証部署の遵法意識を一層向上。
・新人研修や配属研修を通じて、認証業務にあたる上での遵守事項の理解を深める教育を実施。
・認証試験中であることが周囲からも認識できる認証ユニフォームや認証試験現場へのマイスター制度の導入を検討。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。