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2022年12月31日【イベント】

トヨタ、3台体制でダカールラリー2連覇を目指す

坂上 賢治

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トヨタ自動車傘下のTGR( TOYOTA GAZOO Racing )ダカールチームは、2023年1月1日元旦のスタート前に於いて、サウジアラビア西海岸の都市ヤンブ北部に置かれたシーキャンプで、3台の「GRダカールハイラックスT1+」を組み上げた。

 

その後シェイクダウンで、全てが問題ないことを確認。ダカールラリー2023の本番へ向けた最終チェックを行った。新たな幕開けは、2022年大晦日31日の午後に行われる第1ステージに於いて、スタート順位を決める11キロメートルのプロローグランが皮切りだ。

 

 

その後、ラリーは2023年1月1日元旦にスタート。ステージ8の後に置かれる休息日を挟んだ全14ステージのスケジュールで競われる。

 

そんなダカールラリー2023のルートは、シーキャンプと呼ばれるサウジアラビア北西部の紅海に面した沿岸部からスタートする。その沿岸部に於けるプロローグの後、ステージ1はシーキャンプへと戻ってくるループステージを経て、次なるステージ2は美しい峡谷地帯を抜けてアル=ウラーへ。

 

ステージ3でハイルへと向かった後、ハイルをビバーク地としたループステージが2日続き、続く2日間でアル=ダワディミへと到達。アル=ダワディミ起点のループステージを経て、ステージ8でサウジアラビアの首都であるリヤドへと向かい休息日を迎える。

 

 

そこからルートは東へと向きを変えてハラドへ。ラリー終盤戦の舞台となるエンプティ・クォーターに挑む事になる。

 

この終盤に用意される今年のマラソンステージ( 砂漠の中に設けられたキャンプ地を経て、翌日のフィニッシュまでサポート無しで走る区間 )はラリーの結果に大きな影響を及ぼすだろう。

 

最終盤の数ステージは、シェイバーからアル=フフーフを経て、ペルシャ湾岸の都市ダンマームへと向かうルートだ。

 

この終盤の3ステージは、全て200キロメートル未満と距離こそ短いが、これらのステージが今大会中最もタフなステージとなる可能性があるため、短距離だからと軽視すべきでないとラリー主催者は警告している。

 

いずれにしても、いよいよ始まるダカールラリー2023は、このように初めてサウジアラビアの西岸から東岸へ横断するルート設定となり、初めて訪れる都市ダンマームで最終日1月15日にゴールを迎える。

 

ナッサー・アル-アティヤ

 

昨年の2022年大会では、カタール人ドライバーのナッサー・アル-アティヤと、フランス人コ・ドライバーのマシュー・ボーメルが、GRダカールハイラックスT1+を勝利に導いた。

 

この勝利はアル-アティヤ/ボーメル組が2019年に続きTGRにもたらした2勝目であり、2023年大会でも連覇を目指す。

 

今回チームメイトとなる南アフリカ人ドライバー、ジニエル・ド・ヴィリエールは、これまでダカールラリーに20回参戦し、輝かしい戦績を重ねてきたドライバーだ。

 

ド・ヴィリエールは2009年に総合優勝を飾ったほか、7回の表彰台を獲得している。これまでの20戦のうち、トップ10を逃したのはたった1度だけという安定した成績を残しており、今年も同じ南アフリカのコ・ドライバー、デニス・マーフィと共に好成績を狙う。

 

3台目のクルーである南アフリカ人コンビのヘンク・ラテガンとブレット・カミングス組は、今回がダカールラリー3度目の参戦となり、2021年と2022年の参戦を通じて経験を積んできた。

 

初参戦となった2021年は、序盤のステージ5で激しくクラッシュし、ラテガンが鎖骨を骨折する事態に見舞われたことでリタイアに終わった。しかし翌2022年にはステージ2勝を飾る速さを見せ、完走を果たした。

 

 

今回のラリーは、ここ数年の通例であった全12ステージより2ステージ増えて、より厳しい戦いになる。その後のルートはエンプティ・クォーター( 空白地帯 )と呼ばれるルブアルハリ砂漠の深い地域へと踏み込む。

 

また休息日がレース期間の折り返し点以降に移動した事から、ステージ途中での休息ポイントがなくなった事で、戦いが更に厳しいものになる事は間違いない。

 

しかしGRダカールハイラックスT1+は前回のダカールラリー勝利のあとも着実な改良を続けてきた。

 

アル-アティヤ/ボーメル組が世界ラリーレイド選手権( W2RC )の初代チャンピオンを獲得した事に加え、ド・ヴィリエールがチャンピオンを獲得した南アフリカラリーレイド選手権は、チームにとって重要なテストとなる機会でもあった。

 

これにより、GRダカールハイラックスT1+の品質と信頼性、耐久性に更に磨きをかけ、チームは2022年にダカールラリーを制した車両よりも「もっといいクルマ」を作り上げたと語っている。

 

TGRダカールチーム代表 グリン・ホール
我々はこの1年、1月のダカールラリー2022で勝利を挙げてから、このダカールラリー2023への準備を進めてきました。

 

そして、W2RCのタイトルも獲得するだけでなく、南アフリカラリーレイド選手権を制し、最高の気分で来たるイベントへ向けた準備が完璧に整ったと感じています。あとはスタートフラッグが振り下ろされ、最新のGRダカールハイラックスT1+が活躍してくれるのを見届けるだけです。

 

ナッサー・アル-アティヤ( No.200 )
ダカールラリーは本当に大きな1戦です。2022年は、初代W2RCチャンピオンを獲得することができ、我々にとっては素晴らしい1年でした。

 

しかし、今年も勝ちたいと思っていますし、改良されたGRダカールハイラックスT1+は間違いなくそれを叶えてくれる車両だと確信しています。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。