GR H2 Racing Concept
サルト・サーキットで開催されたACO(フランス西部自動車クラブ)のプレスカンファレンスにトヨタ自動車会長の豊田章男氏が参加し、ル・マン24時間レース100周年の祝辞と共にレースを通じトヨタ自身が鍛えられたことへの謝意を述べた。( 坂上 賢治 )
また、先の富士耐久レースに於けるトヨタ佐藤社長・マツダ新社長(毛籠勝弘取締役専務執行役員)が出席したプレスカンファレンスの壇上に於いて、ACO会長から公表された「水素カテゴリーへ燃料電池車両に加え水素エンジン車両の参戦を認める」との申し出を受け、TOYOTA GAZOO Racingは将来の参戦を見据えた水素エンジン車両のコンセプトカー「GR H2 Racing Concept」を現地に於いて発表している。
トヨタは、これまで2021年スーパー耐久シリーズ第3戦より水素エンジンカローラで参戦し、2022年12月にはタイのチャーン・インターナショナル・サーキットにて開催された「IDEMITSU 1500 SUPER ENDURANCE 2022」にも同車両で参戦。
こうしたモータースポーツの舞台に於いて、カーボンニュートラル(CN)社会の実現を目指し、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の取り組みを示唆続けて来たことが実を結んだ。
なお「GR H2 Racing Concept」は、ル・マン24時間レース期間中、会場内ACOのH2ビレッジで展示される予定だ。(展示期間 : 現地時間の6月9日9:30より6月11日まで)
併せてトヨタ自動車の豊田章男会長は、「ル・マン100周年おめでとうございます。ル・マンは世界で最も有名なレースということだけではありません。
ル・マンは、我々が技術の限界を超えていける場所、そして未来を実現していける場所です。私たちの想いを、世界の皆さまに知っていただく機会を与えていただいたACOとル・マンに心から感謝いたします。
三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY
モータースポーツでカーボンニュートラルを実現すること、それも、レースでのパフォーマンスや興奮を犠牲にすることなく、それを実現することを私は目指しています。
私どもの新たな水素レーシングカーが、将来、水素クラスに参加することを楽しみにしています。そこには、音も、トルクも、迫力も、すべてが揃っています。これは単なる新型レースカーではありません。ゼロエミッションで戦うレースカーです。次の100年後も、こうしてチェッカーフラッグが振られることを祈っています」と述べた。
一方、ACO Pierre Fillon会長は、「この2023年6月9日という日は、世界一の自動車メーカーが、新たな水素エンジンの取り組みを発表した日であるという、ル・マン24時間と、FIA世界耐久選手権の歴史の中の金字塔として、将来振り返られるでしょう。
ちょうど100年前、我々ACOは、ル・マン24時間を立ち上げ、それは、まさに自動車業界にとって、技術開発の実験場となってきました。
そして、昨今、モビリティはエネルギー転換という革命を迎えており、ル・マン24時間は、持続可能なテクノロジーの探求を続けております。
2018年より、ACOは、Mission H24とGreenGTとともに、安全で効率的なエネルギーとしての水素の導入を推進してきましたが、本日、我々は、2026年ル・マン24時間の水素カテゴリーの創設に向け、重要な一歩を踏み出しました。
繰り返しになりますが、自動車メーカー各社の志と同調し、耐久レースは持続可能なモビリティの実現へコミットメントを示しました。
私は、技術的な多様性を追求する、トヨタの挑戦、ACOに関わる人々のビジョン、そして、WECとル・マン24時間に敬意を表します。豊田さん、今回の発表をされたことで、ル・マン24時間の歴史にあなたの名が刻まれました」とのコメントを残した。
GR H2 Racing Concept車両概要は以下の通り
パワートレーン: 水素エンジン+ハイブリッドシステム
諸元 全長 :5,100mm
全幅 :2,050mm