EV世界戦略車「eVX」や軽ワゴンEV「eWX」などを参考出品
スズキは10月3日、来たる10月26日から東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「ジャパンモビリティショー2023(JMS)」に、同社にとってEV(電気自動車)の世界戦略車第一弾の「eVX」や、軽ワゴンEVなどを出展すると発表した。その他でも、電動小型モビリティや二輪車に於いても多彩な電動モデルを展示する。(佃モビリティ総研・松下次男)
ますジャパンモビリティショーへ参考出品する四輪EVで筆頭に挙げたい車両は、SUVコンセプトのeVXと軽ワゴンの「eWX」、次いで商用軽バンの「「e EVERY CONCEPT(イー・エブリィ・コンセプト)」の各モデルだ。
eVXは、先の2023年1月にインドの「オートエクスポ2023」で外観を初公開したもの。ジャパンモビリティショーの出展モデルでは、エクステリアを進化させると共に、インテリアが初公開される予定だ。
気になる主要諸元(参考値)は、全長4300ミリ、全幅1800ミリ、全高1600ミリ。航続距離は500キロ。電子制御の四輪駆動技術を進化させ、「EVの先進性、洗練さ」と「SUVの力強さ、冒険心」をクロスオーバーしたモデルとなっている。
一方のeWXは、「毎日の生活に寄り添う軽ワゴンEV」をコンセプトに、今までと内燃エンジン車と変わらずに使え、そこに「EVならではの快適さ・楽しさ」を付加・追求したモデルとなっている。
デザインコンセプトは「すっきり、軽やか、あたらしい」かたちを表現し、航続距離は230キロ(参考値)だ。
「身近なパートナー、毎日の生活の足」を前面に打ち出しているのが特色
続くイー・エブリイは、スズキ、ダイハツ、トヨタ自動車の3社で共同開発したモデル。コンセプトは既に発表済みで、航続距離は200キロ(参考値)。
これらスズキが参考出展する四輪EVは、環境問題を解決するソリューションであると共に、「身近なパートナー、毎日の生活の足」を前面に打ち出し提案しているのが特色といえるだろう。
この他、四輪車では「スペーシア コンセプト」「スペーシア カスタム コンセプト」および「スイフト コンセプト」を参考出品する。
スペーシア コンセプトは、個性的なスタイルと広い室内空間を与えつつ、後席座面前方に「マルチユースフラップ」をスズキとして初採用するなど、快適性を更に向上させることで「毎日もっと楽しく便利に快適に」という想いを込めたという。
対してスペーシア カスタム コンセプトは、「上質感」と「華やかさ」を付与した特別なモデルとなっている。
また「Drive&Feel」という言葉を掲げ、大切に開発し続けてきたとするスイフトのコンセプトモデルは、デザインと走りだけに留まらず、新しい価値を提案したモデルだ。
その開発過程で大切にしてきたのは、“モノではなく“コト。昨今、 価値観が大きく変化する社会環境下で、スイフト コンセプトは「デザイン」と「走り」 だけではなく最先端の安全機能を搭載。「クルマと日常を愉しめる」新たな価値を提供するモデルに仕上げたという。
次世代四脚モビリティ「モクバ」など電動小型モビリティも多数出品
スズキが新たな電動小型モビリティ分野として、新提案したのが次世代四脚モビリティの「モクバ」だ。車輪と4つの脚を活用し、平地では車輪でスムーズに、段差では脚でシームレスに移動できるモビリティとなっている。
ベースとなるシャーシーとアタッチメントを組み合わせることにより、「椅子モード」「立ち乗りモード」「担架モード」に変えることができる。
これにより移動の自由だけでなく、緊急時などでクルマが入りにくい場所でも人とモノを運ぶモビリティとして地域に貢献できるモデルとした。参考出品車だが、実際に動くモデルとして提案する。
併せて参考出品車として「スズキセニアカー」も出展される。同車は、既存のスズキセニアカーの一部を仕様変更した参考出品車で、車両前方の障害物を検知する超音波センサーが搭載されている。
それゆえ誤って坂道でクラッチハンドルを操作しても、空走せずに速度が抑制される。加えて照射範囲と明るさが大きく向上するLEDヘッドライトも採用。自分の意志で自由に、安心安全に、気軽に、出掛けられる価値を改めて提案する。
いずれも若々しくアクティブなデザインや安全機能を備えているのが特徴
また電動小型モビリティでは、新たな車両区分(特定小型原動機付き自転車)に対応した電動パーソナルモビリティ「SUZU―RIDE」、電動マルチユースモビリティ「SUZU―CARGO」をそれぞれ参考出品する。
この車両区分に於いて現段階で、代表的なモビリティは電動キックボードなのだが、SUZU―RIDEは電動キックボードのような手軽さを持たせつつも、転倒しづらく、スズキらしく安全に拘り、四輪モビリティとして新提案したものだ。
既存の特定小型原動機付き自転車とは異なるライフスタイルを「生活」と「遊び」提案するなど、多様なシーンで使えるクロスオーバー電動パーソナルモビリティとなっている。従って16歳の高校生からセニアカーに抵抗のある高齢者まで、誰でも簡単に扱えるモデルとして仕立てた。
対してSUZU-CARGOは、広いオープンサイドテーブルを備え、アイデア次第で仕事や遊びに活用できるモビリティ。ホイールベースが長いので、バッテリーを多く搭載でき、長時間稼働が可能だ。
次にミドルシニア層向けに新提案するのが「SUZUKI GO!」。Gをモチーフに、セニアカーとは違う新しいパーソナルモビリティとして参考出品し、若々しくアクティブなデザインや安全機能を備えているのが特徴だ。
同じく参考出品車としてラストマイル配送ロボットとして「LM−A」も展示される。これは現在、物流業界が抱える2024年問題や、買い物弱者などの社会課題の解決を目指すLOMBYとスズキが共同開発している配送ロボットだ。
その車体構成は、モーター類や車台などの足回りをスズキが担い、荷室部と遠隔操作/自律走行システム、交換式バッテリーシステムなどをLOMBYが開発している。
電動アシスト自転車と融合した折り畳み電動モペットなど新たな電動二輪車も
二輪車では、折り畳み電動モペット「イーポ」、アシスト自動車の電動ユニットを使用した近距離モビリティ「イーチョイノリ」、電動スクーターの実証実験車「イーバーグマン」を参考出品する。
イーポはパナソニック サイクルテックと共同開発したもので、折り畳みが可能な原付一種相当の電動モペット。通常のアシスト自転車より強いアシストを持ち、さらにスロットル操作でスクーターのように漕がずに走行できる。
イーチョイノリはパナソニック サイクルテック製電動アシスト自転車のバッテリーユニットを使用した原付一種相当のEVスクーター。
2003年に発売した50ccスクーター「チョイノリ」をベースに、シンプルで軽量な車体で、誰でも気軽に近距離移動ができるモビリティとして提案する。
イーバーグマンは、交換式バッテリーシェアリングサービスを使用して、2023年4月から実証実験を開始した原付二種の電動スクーターだ。このほか水素エンジンバーグマン(試験車両)のカットモデルなどを技術展示する。
その他の事業分野では、バイオガス自動車燃料製造共有事業のインドCBG事業での「ワゴンR CBG車」や、燃料電池荷役運搬車を活用した湖西工場のカーボンニュートラル化の取り組み(「水素燃料電池荷役運搬車」による実証)、軽トラ市を模した特設コーナーを設けた上で実施する「移動販売車向けサービス(アプリ)」などを使ったソリューション事業の紹介、参考出品の電動船外機「Small e-outboard concept」も展示する予定だ。
最後の出展説明のトリでは、参考展示のSkyDrive「空飛ぶクルマ」の1/5サイズのスケールモデルも展示される。
これは去る2023年6月に、SkyDriveと空飛ぶクルマの製造に向けた基本合意書を締結したことから、今後、スズキグループが静岡県内に保有する工場を活用し、2024年春ごろから空飛ぶクルマの製造開始を目指すため。
従って機体の展示と共に協業の取り組みについて紹介していく。なお出展テーマは「世界中に、ワクワクの、アンサーを。」となっている。