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2024年5月23日【トピックス】

マツダの第74回・自動車技術会賞の受賞概要

坂上 賢治

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マツダは5月23日、第74回自動車技術会賞(主催:公益社団法人自動車技術会)に於いて「技術開発賞」および「論文賞」を受賞した。

 

自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展の奨励を目的に設けられ、自動車技術会より、自動車技術における多大な貢献・功績を認められた個人に贈られる。

 

自動車技術会が公表したマツダへの受賞概要は以下の通り

 

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■技術開発賞:
過去3年間に自動車技術の発展に役立つ新製品・新技術を開発した個人・共同開発者に贈られる。今受賞は、マツダと工学院大学、広島大学、東北大学との共同研究によるもので。

 

■受賞対象
モデルベースリサーチ技術を活用した革新的断熱防音多孔質部材・部品の開発

 

■受賞者
桂大詞(かつら・だいじ)マツダ株式会社
山川啓介(やまかわ・けいすけ)マツダ株式会社
山本崇史(やまもと・たかし)工学院大学
中谷都志美(なかや・としみ)広島大学
稲葉賢二(いなば・けんじ)東北大学

 

■受賞理由
カーボンニュートラル実現と快適性を高次元で達成するため、相反する断熱・防音・制振機能を両立した部品・部材を効率的に設計・製造する需要が高まっている。

 

車両・部品のモデルベース開発(MBD)が進む一方、断熱材や吸音材のように内部の微細構造で機能を発現する部材では未だに実験主体の開発が中心である。

 

当該技術は、断熱・防音・制振部材の微細構造を実用的な予測精度・計算コストで設計可能とするモデルベースリサーチ(MBR)技術を開発し活用することで、断熱・防音機能を世界トップレベルで両立する部品・部材を最小限の素材量で実現するものである。

 

また、本技術は、特殊な計算環境・スキルを不要とすることから、中小の自動車部品企業でも活用でき、自動車業界全体の技術発展に貢献する汎用性の高い技術であるため、技術開発賞として高く評価される。

 

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■論文賞
過去3年間に自動車工学・自動車技術の発展に寄与する論文を発表した個人・共著者に贈られる賞です。

 

■受賞対象
筒内状態量制御による直噴ガソリンエンジンの冷間エミッション低減に関する研究(第1-2報)

 

■受賞者
堀隼基(ほり・じゅんき)マツダ株式会社
工藤毅暁(くどう・たけあき)マツダ株式会社
瀬戸祐利(せと・まさとし)マツダ株式会社
藤川竜也(ふじかわ・たつや)マツダ株式会社
山川正尚(やまかわ・まさひさ)マツダ株式会社

 

■受賞理由
エンジンを将来にわたって活用するためには、カーボンニュートラル燃料への対応とともに、排気ガス中の有害物質のゼロエミッション化が必要である。

 

そのためには、特に三元触媒が働かない冷間始動時の排出が課題となるため、エンジン本体から排出される有害物質を可変動弁機構による状態量制御で低減する研究を行った。

 

第1報ではLIVO(吸気開弁時期の遅角)とNVO(吸排気開弁区間を重複させない)によって筒内の混合気温度を高め、有害物質の大幅な削減を確認した。

 

また、第2報ではそれらが燃料の蒸発促進や再燃焼効果であることを解析によって明らかにした。本研究の結果は、将来の地球環境改善に貢献するものとして高く評価される。

 

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上記を踏まえてマツダは、「今後もひと中心の価値観のもと、走る歓びを進化させ続け、お客さまの日常に移動体験の感動を創造し、生きる歓びをお届けしていくことを目指してまいります」と述べている。

 

【参考】
■公益社団法人自動車技術会
https://www.jsae.or.jp/

 

■マツダ技報(マツダオフィシャルウェブサイト)
https://www.mazda.com/ja/innovation/technology/gihou/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。