ソフトバンクは5月6日、楽天モバイルおよび楽天モバイル元社員に対して、同社員がソフトバンクの退職時に持ち出した営業秘密の利用停止および廃棄等、ならびに約1,000億円の損害賠償請求権の一部として10億円の支払い等を求める民事訴訟を東京地方裁判所へ提起したと発表した。なお、請求額については、今後の審理の状況に応じて拡張することがあるとしている。
ソフトバンクを退職した楽天モバイル元社員は、今年1月12日に不正競争防止法違反の容疑で警視庁に逮捕され、2月2日に同法違反の容疑で起訴されている。
ソフトバンクは、この訴訟提起に先立ち、東京地方裁判所に対して、昨年11月27日付で、楽天モバイルに対する証拠保全申立てを、また12月10日付で同社に対する楽天モバイル元社員がソフトバンクから持ち出した営業秘密の利用停止などを求める仮処分命令申立てを行っている。
さらに、今年1月15日には、楽天モバイル元社員の資産を対象として仮差押命令申立てを、2月8日には、同人に対してソフトバンクから持ち出した営業秘密の利用停止などを求める仮処分命令申立てを行っている。
ソフトバンクは、営業秘密として上記手続において証拠保全を求めていた電子ファイルが、楽天モバイルが業務上利用するサーバー内に保存され、かつ、他の楽天モバイル社員に対して開示されていた事実を確認したと主張。楽天モバイル側は、これらの電子ファイルは、裁判所およびソフトバンクへの提出後、全て廃棄したと主張している。
上述の理由から、ソフトバンクは、今回の訴訟を通じて、楽天モバイルが不正競争を通じて不当な利益を得て同社の営業上の利益を侵害したこと、また、当該不正競争により建設された基地局等が存在することを明らかにすべく、不正競争防止法に基づいて、以下請求を行うとしている。
・楽天モバイルおよび楽天モバイル元社員に対する損害賠償請求(不正競争防止法第4条)。
・楽天モバイルの不正競争により建設された基地局の使用差止請求(同法3条1項)および廃棄請求(同法3条2項)。
・楽天モバイル元社員がソフトバンクから持ち出した電子ファイル等の使用・開示差止請求(同法3条1項)および廃棄請求(同法3条2項)。
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