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2023年9月7日【イベント】

シェフラーとVGLグループ、自動運転シャトルで提携

坂上 賢治

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シェフラーとVDLが共同開発・生産を計画する自動運転シャトルの車両イメージ

 

独・シェフラーと蘭・VDLグループは9月6日(ドイツ・ミュンヘン時間)、両社のシステムエンジニアリング・公共交通に係る専門技術を結集。公共交通機関向けの次世代自動運転シャトルの開発と生産を共同で検討していることを明らかにした。( 坂上 賢治 )

 

併せて伝統的な同族所有による企業の2社は、ドイツ・ミュンヘンで開催の国際モーターショー〝IAAモビリティ2023〟の開催に先立ちデモ車両を初公開。加えてショーに於いては関連する全ての自動車に係る自動化・電動化技術を展示した。

 

その具体的な展示内容で先の2社は、今回の公共向け自動運転車による実証開始に向け、ソフトウエアを含む自動運転ソリューションで強みを持つモービルアイと提携したことも公表。同社を含む3社は、現在、欧州各国の公共交通当局とパイロット・プロジェクトの始動に向けた事前交渉の最中にあるという。

 

モータ、ギアボックス、ワーエレクトロニクスをコンパクトに統合したシェフラーの3in1電動アクスル

 

ちなみに、この3社のなかでシェフラーは、ステア・バイ・ワイヤシステム、電動パワートレイン用のシステムコンポーネントにバッテリーモジュールを組み合わせた〝ローリングシャシー〟を開発・提供に邁進するティアワン・サプライヤーであり、VDLグループは大型バスの電動化で欧州の輸送業界をリードする存在として著名だ。

 

またモービルアイは、自動運転車専用のEyeQプロセッサをベースに、サラウンドビューカメラ、LiDAR(ライダー)、レーダーセンサ、マッピング技術を融合させた自動運転車に搭載する専用ソリューションを開発している。

 

そんな3社のうち、モービルアイのヨハン・ユンクヴィルト自動運転車両部門担当上級副社長は、「自動運転車を介して、より良い社会を実現させるためには、自動運転に係る技術自体が拡張性を備え、かつ利用し易いものであり、また何よりも安全でなければなりません。

 

今回、シェフラー・VDLグループ・モービルアイの3社による連携で、我々はMaaS(Mobility as a Service/モビリティ・アズ・ア・サービス)を実現するための欧州最強のチームになります。

 

シェフラーは、ロードホイールアクチュエーター(RWA)などステア・バイ・ワイヤシステムの主要コンポーネントを開発している

 

そこで、まずは欧州で初めてSAEレベル4を公道で走行することを承認した国であるドイツ国内に於いて、自動運転車による定時運行を実現。これによりドイツが、自動運転シャトルの運行が世界で初めて日常化した国であることを示す所存です」と述べた。

 

またシェフラーAGのクラウス・ローゼンフェルドCEOは、「そのために我々3社は、既に自動運転シャトルを使ったパイロットプロジェクトの実現に向け、欧州各国の複数事業者と運用交渉を重ねています。

 

そんな自動運転シャトルは、人々を地点Aから地点Bへと迅速かつ安全に運び、シャトルが羞じる地域に住む全ての人々に対し移動の自由を提供するものとなります。それにより早晩、自動運転シャトルカーは、現代の移動に係るエコシステムにとして必要不可欠な存在になるでしょう。

 

 

そのなかでシェフラーは、過去から積み重ねてきた自動車サプライの技術により、持続可能な自動車運転ソリューションの成長をサポートしていきたいと考えています。またそのためには強力なパートナーとの提携が何よりも重要です。それゆえVDLグループ並びにモービルアイと共に取り組めることを、この上なく光栄に思います」と語った。

 

また最後にVDLグループ のウィレム・ファン・デア・レーフテ社長兼CEOは、「自動運転シャトルは、未来に於いて重要な役割を果たすことになるでしょう。

 

そんなソリョーションの構築にあたっては、クルマづくりのコンセプトワークに始まり、車両設計、電動化技術の高度化、更にコネクティビティ機能の充実だけでなく、利用者をシステムの中核に据えたサービス品質に至るまで、3社の協業によって様々な技術を磨く素晴らしい経験となるでしょう。

 

ちなみに車両の目標生産台数は、個々のプロジェクトが目指すべき事業規模により異なりますが、まずは製造に係る目標では2030年を皮切りに年間数千台の生産規模を想定しています。

 

車両生産自体はオランダ・ボルンのVDLモビリティ・イノベーションセンターで行う計画です。加えて当該プロジェクトの当初のロードマップによると、路上でのテスト走行は2025年頃に開始したい意向です」とその進捗予定を説明していた。

 

シェフラーとVDLグループによる自動運転シャトルのハードウエア概要
• 座席数:9席(固定6席、格納可能3席)
• 最大積載量:約1,000kg
• 寸法:全長5m、車幅2.2m、車高2.8m、車両総重量約5,000kg
• 遠隔監視室に直結した車内監視システム
• 2つの独立したセンサシステムを高度に統合
 1つは車載カメラ、もう1つはレーダー(またはLiDAR)を使用
• 広い開口幅と低床な乗降口、車椅子の利便性を考慮
• 最高速度:時速70km
• 航続距離:1日350km以上、1回の充電で100km以上

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。