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2022年10月9日【イベント】

F1GP、レッドブルのフェルスタッペンが王座を連覇

坂上 賢治

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2022のF1GP、最終戦を待たずにフェルスタッペン選手が王座を連覇

 

2022年のFIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第18戦日本GP( 開催地:三重県鈴鹿市、開催期間:10月7~9日 )の決勝レースが10月9日( 日曜日 )に1周5.807kmの鈴鹿サーキットを53周する規定で行われた。同レースでオラクル・レッドブル・レーシングチームのマックス・フェルスタッペン選手( オランダ )が優勝。これにより2022年のドライバーズ選手権の王座を獲得( 2年連続 )した。( 坂上 賢治 )

 

 

2位はセルジオ・ペレス選手( レッドブル/メキシコ )、3位はシャルル・ルクレール選手( フェラーリ/フランス )が続き、角田裕毅選手( アルファタウリ/日本 )は善戦したもののタイヤ交換のタイミングを逸してトップ集団には絡めず13位に終わった。

 

 

当日の日曜日は、約9万4千人の観客を動員。しかしあいにく当初の想定より早い、正午過ぎから本格的な雨が降り始める。その中で、岸田首相がF1レース式典に初参列。これを国際自動車連盟を筆頭に、F1唯一の日本人ドライバーである角田裕毅選手の他、大会関係者が、このビッグな来賓を丁重に迎えた。

 

気温17.5度、路面温度21.8度。全車インターミディエイトタイヤを装着

 

決勝レースは、アニメ声優・水樹奈々さんの国歌独唱の後の午後2時にスタート。コースコンディションは、気温17.5度、路面温度21.8度。降雨が次第に強まる中で、全車インターミディエイトタイヤを装着。

 

 

スタート方式は、降雨の環境下では定番のローリング式( 走行状態で、ホームストレート上を加速 )ではなく、通常通りのグリッドラインからのスタンディング式スタート( 全車、静止状態から加速していく )が採用された。

 

初速は、フェルスタッペン選手( ポールポジション )隣のルクレール選手が蹴り出しで先行。そのままコース内側から1コーナーに突入する。しかし2コーナーの立ち上がりまで競り合ったフェルスタッペン選手が、その外側から首位を奪い返してS字を駆け上る。

 

 

その後方では、セバスチャン・ベッテル選手( アストンマーティン/ドイツ )が、フェルナンド・アロンソ選手( アルピーヌ/スペイン )をアウト側から被せて自身がスピン。16番手まで後退する。

 

その直後のヘアピンからスプーンに向かう途中で、カルロス・サインツ選手( フェラーリ/スペイン )がコース上を横切る水たまりに足をすくわれて単独クラッシュ。アレクサンダー・アルボン選手( ウイリアムズ/タイ )も、ヘアピン立ち上がりでマシントラブルを喫してリタイア。これが切っ掛けでコース全域でセーフティカーが導入される。

 

 

各車が跳ね上げる雨の飛沫で視界不良となり、レースは3周目で赤旗中断に

 

結果、スタート当初から段々と雨足が強まり、各車が跳ね上げる雨の飛沫で視界不良となった事( 視界不良で、中段以下はコースコンディションの確認自体すら出来なくなった )から、レースは3周目で赤旗中断となった。

 

この時点で各選手の順位は、トップがフェルスタッペン選手。2番手ルクレール選手、3番手ペレス選手、4番手エステバン・オコン選手( アルピーヌ/フランス )、5番手ルイス・ハミルトン選手( メルセデス/イギリス )、6番手アロンソ選手、7番手ジョージ・ラッセル選手( メルセデス/イギリス )。

 

8番手ダニエル・リカルド選手( マクラーレン/オーストラリア )、9番手角田選手、10番手ミック・シューマッハー選手( ハース/スイス )までが同時点の入賞圏内。

 

最下位( 18番手 )のピエール・ガスリー選手( アルファタウリ/フランス )は、サインツ選手がクラッシュ時にコース内へ飛ばした看板と衝突したが、どうにかピットに辿り着き、前回シンガポール戦の旧ノーズに交換して再スタートに備えた。

 

 

2時間以上のレース中断が続いた後、再スタート時刻は16時15分に

 

しかし再スタートの1分前に実施の延期が通知され、以降2時間以上中断が続いた。この間、ブーイングも無く、静かに再スタートを待つ観客に対して参戦レーシングチームの各スタッフは選手も含め、観戦スタンドの観客へ盛んに手を振るなどのコミュニケーション活動を行い、日本の観客の観戦姿勢に敬意を示していた。

 

その後の16時15分、多くの車両がエクストリーム・ウェットタイヤを履き、レースは3週目からセーフティカーの先導で走り始めて、5周目から本格的に再開。しかしベッテル選手とニコラス・ラティフィ選手( ウイリアムズ/カナダ )が、早々にピット入りしてインターミディエイトに交換した。

 

 

これを契機に、各車続々とインターミディエイトタイヤに交換。あえてイエローフラッグやレッドフラッグを待って、タイヤ交換を遅らせた車両は順位を下げていく。

 

その間フェルスタッペン選手は、デグラデーション( タイヤの劣化 )で苦戦するルクレール選手を引き離して独走。27周を完了したところ( 当初のスタートから3時間でレース終了のルールに則り )でチェッカーフラッグを潜った。

 

 

2位を走るルクレール選手は、最終盤にシケインをトレース仕切れずにショートカット

 

これを追うルクレール選手は、レース最終盤のシケインで後続から追い上げるペレス選手の執拗なプレッシャーを受けて痛恨のミス。コースをトレース仕切れずにショートカットした事で+5秒のペナルティを受けて3位に脱落。

 

このためペレス選手が2位に繰り上がり、脱落したルクレール選手は今季のドライバーズポイントの累積獲得点数が減少( 2位入賞から3位への脱落で与えられるポイントが減った )。

 

これにより2022年のドライバーズポイントの通算累積で、フェルスタッペン選手が今年参戦している全選手の成績を凌駕する事になったため( 残る、第19戦アメリカGP、第20戦メキシコGP、第21戦ブラジルGP、第22戦アブダビPGを消化しても、他の選手がフェルスタッペン選手の累積ポイントを上回る事は不可能になった)、残りレースの結果を待たず、ドライバーズ選手権の王座が確定した。

 

 

以降、第18戦鈴鹿では4位オコン選手、5位ハミルトン選手、6位ベッテル選手、7位アロンソ選手、8位ラッセル選手、9位ラティフィ選手、10位ノリス選手までがポイント獲得となった。

 

レース終了当初は、フェルスタッペン選手のみならず、オラクル・レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表も、レース周回数の75%以上を消化した場合( 鈴鹿の規定周回数は53周 )に最大ポイントが得られる( 周回数不足の場合はポイント減になる )と考えていたため、今回27周で終わった本レースでは、パドック全体で若干の混乱が見られた。

 

しかし正しいルール解釈では、周回数不足で獲得ポイントが減算となるのは〝中断したレースが再開されず終わった場合〟という前提条件が付いていた。今回は、レース自体が再開された訳なので、最大ポイントが与えられる事になり、25ポイントを獲得したフェルスタッペン選手のドライバーズ選手権タイトルが確定したという経緯だ。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。