
左からQt Group シニアビジネスディベロップメント小宮崇博氏、日本工業大学先進工学部データサイエンス学科 粂野文洋教授
ソフトウェア開発企業のQt Groupは3月6日、日本工業大学
の先進工学部データサイエンス学科の粂野文洋教授と共同で、同大学の学生向けに高度なGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)開発研修を実施した。当該取り組みは、昨年のデジタルハリウッド大学大学院での研修実施に続く、Qt Groupの教育機関支援プログラムの一環となる。
経済産業省の調査によると、日本のソフトウェア開発業界では、2030年までに最大約79万人のIT人材が不足すると予測されており、特に組み込みソフトウェア開発の現場での人材不足が深刻な課題として浮上。人材不足に対応するため、企業の即戦力ニーズに応える実践的な教育プログラムの実現や、実務で活用されている開発ツールに触れる機会の創出が課題だ。
そこでQt Groupは、予てより社会課題の解決や新たな価値を創造できるエンジニアの育成に向けての新たな試みを重ねてきた。
特に近年は、IoTやDXの進展により直感的なユーザーインターフェースの需要が急増。GUI開発の重要性はますます高まっている。今回、Qt Groupが参加した日本工業大学先進工学部データサイエンス学科では、実践的な演習を通じてシステム構築力とデータ分析力を身につけ、社会課題の解決や新たな価値を創造できるエンジニアの育成に注力している。
そこで同社は、効率的な開発フレームワークの提供と、教育機関との連携による実践的な技術者育成を通じて、これらの社会課題の解決に貢献していきたい考えという。
同学科の演習の一環として実施された今回の研修は、2025年2月19日から20日の2日間にわたって実施された。1日目は、Qt Design Studioを利用しての簡単なアプリケーションの作成とQt for Pythonでの開発の実践、2日目は3Dアプリの開発体験やVRヘッドセットでの Qt XRアプリの体験を行った。
プログラムのイメージ動画リンク(限定公開)
参加した学生からは、現場の第一線で活躍するプロのエンジニアから直接講義とハンズオンでの指導を受ける機会について「説明の段階と実際に使用する段階で交互にやることでわかりやすくできたところが良かった」また最新の技術のトレーニングについて、「3DをGUI上に描画するのは初めての体験だったので良かった」など、好意的な感想が多数寄せられた。
大学側にもメリットの大きかったこの取り組みについて、日本工業大学先進工学部データサイエンス学科の粂野文洋教授は、「最先端のGUI開発支援ツールを一流のエンジニアにハンズオンで教えていただく機会はめったにありません。
2日間の研修で、Qt Groupのエンジニアの方々に丁寧に教えていただき、内容も盛り沢山でした。受講した学生たちは最先端のソフトウェア開発支援技術に触れることができ、大いに刺激となったと思います。この体験が彼らのさらなる専門知識向上につながることを期待しております」と述べた。
これを受けてQt Group シニアビジネスディベロップメントの小宮崇博氏は、「今回、日本工業大学先進工学部データサイエンス学科の学生の皆さまにQt開発フレームワークの研修を提供できたことを、大変うれしく思います。
当社にとっては、これから社会に出る次世代のエンジニアの皆さまからのフィードバックを得る貴重な機会となり、また学生の皆さまにとっても、最先端の技術を持つエンジニアから直接指導を受け、質問をする良い機会になったと考えております。昨今の人材不足は組み込み開発の現場でも深刻な課題となっており、当社は効率的なUI開発フレームワークの提供と、教育機関との連携による技術者育成の両面から、この課題解決に貢献してまいります」と語った。
なおQt Groupでは、「学習利用目的の教育用ライセンスを無償で提供しており、商用版と同等の機能を利用することができます。今回の研修でもこのライセンスを利用し、実践的な開発環境での指導を実現しました。今後も教育機関との連携を強化し、次世代エンジニアの育成に注力していきます。本プログラムについて、他の大学関係者様からのお問い合わせやご連携のご相談を随時承っております」と結んだ。