パートナーシップはエンジンだけでなくチームも含まれる前提が瓦解したと主張
ポルシェAGは9月9日(欧州中央時)、フォーミュラ1レース参戦の可能性について、レッドブルF1チーム(レッドブル・レーシング)と数か月に亘って話し合いを続けて来た事実を明らかにした一方で、今後は、両社共に同協議を継続しない事をボルシェ側の公式プレスリリースを通じて明らかにした。( 坂上 賢治 )
ポルシェAGでは公式リリースで、「過去数か月の間に、Dr. Ing. hc F. ポルシェAGとレッドブルGmbH(レッドブル・レーシング及びチームを保有)は、ポルシェのフォーミュラ1への参入の可能性について協議を行いました。しかし両社は、これらの協議を今後継続しないという結論に達しました。
今回のパートナーシップ協議は、対等な立場に基づくものであり、それにはエンジンのパートナーシップだけでなく、チームも含まれるという前提が常にありました。
しかし両社共に、これを達成出来ませんでした。但しFIAによる2026年からのルール変更に伴い、F1レーシング・シリーズは、我々ポルシェにとって魅力的な環境であり、引き続き注視していきます」と話している。
双方の正式なパートナーシップ締結前の段階で協議は空中分解に
ポルシェAGとレッドブル陣営は、新しいパワーユニット規則が導入される2026年から(ホンダのパワーユニット搭載は2025年まで)の提携体制について、ポルシェ側がレッドブル・テクノロジーの株式の50%を取得するとした計画が今シーズン消化中の途中段階でリークされた事が発端となり、いよいよ正式なパートナーシップが結ばれるものとF1パドック内で誰もが想定していた。
しかしここ数日に於いて、レッドブル・レーシングのチーム代表であるクリスチャン・ホーナー氏と、同チームのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコ氏が、チーム管理の管轄範囲を踏まえて、ポルシェとの契約交渉に反対しているとの報道が流れていた。
そもそもレッドブル・レーシングチームとしては、既に独自のエンジン開発を担う部門を立ちあげて、フェラーリF1チームと同じく、エンジン開発を筆頭に独立したチーム経営(他社からエンジン供給を受ける必要が無い)を行えると宣言していた。
包括運営に期待したポルシェと、独自の道を歩みたいレッドブル
もはや、今となっては双方の提携協議の内容は知る由も無いが、一般的にF1チームの運営にあたっては、アストンマーティン・フォーミュラ1チームのように、パワーユニット自体はメルセデスからパワーユニット供給を受けつつ、レーシングチーム運営としては他のブランド企業(飲料やアパレルなども含む)からのスポンサードを受けて独自ブランドの看板を掲げるスタイル。
一方でフェラーリ・フォーミュラ1チーム(スクーデリア・フェラーリS.p.A.)のように、自らの事業収益と外部からのスポンサードを組み合わせて、独自のエンジン、独自シャーシ、独自のチーム運営を行うところまで様々だ。
現在、レッドブル陣営はホンダからの技術供与を受けつつ、この2022年から独自のエンジン開発に着手。来たる2026年からは自らの名前で設計した独自エンジンを搭載し、〝空力の鬼才〟と呼ばれるイングランド出身の自動車技術者エイドリアン・ニューウェイ氏が設計するオリジナルシャーシとを組み合わせた、よりオリジナル性の高いF1マシーンを以て、レースに挑み続ける構えを見せている。
そうしたレッドブル陣営に於けるチームの想いと、ポルシェの思惑に異差が生まれたものとF1バトックでは考えられているようだ。いずれにしてもレッドブルとしては、2025年で終焉するホンダとの技術供与を前に、新たなパートナーを探し続ける事になる。