生成AIで果たすエヌビディアの役割や技術について語る
米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)の日本法人は7月19日、AI(人工知能)の進化型である「生成AI」に関するプレス説明会をオンラインで開いた。生成AIの現状から、その可能性について解説し、エヌビディアは多くの領域で、開発を「サポートする役割を果たす」と強調した。(佃モビリティ総研・松下次男)
プレス説明会は「NVIDIAのコンピューティングプラットフォームが可能にする、生成AI開発とその可能性」と題して実施。同社の澤井理紀テクニカル・マーケティング・マネージャーが生成AIにおけるエヌビディアの役割やテクノロジについて解説した。
生成AIについては、対話型のチャットGPTが話題になって以降、急速にクローズアップされるようになった。沢井氏によると、そのチャットGPTは2022年11月の登場からわずか2か月でユーザー数が2億人を突破したという。
このほか、マイクロソフトもAIを全面的に採用した「コパイロット(Copilot)」の提供を計画しているほか、メタ、グーグルなどもAI製品の強化、リリースに動いている。
こうした生成AIは単にIT関連分野だけでなく、ビジネスの領域でも変革をこす可能性を秘めていると澤井氏は説明。「生産性を飛躍的に拡大し、収益を10%以上増加させる可能性が2・6倍高い」と話す。
生成AIでは大規模言語モデル(LLM)が、大きな役割を果たす
ただし、そのメリットを十分に享受するにはAIインフラに投資する必要性を指摘した。
澤井氏によると、生成AIは基盤モデルにデータを入力し、その出力によりタスクを得られる仕組み。過去のモデルから新しいデータが生成されるもので、基盤モデルで大きな役割を果たしているのが大規模言語モデル(LLM)だ。
そしてビジネスの問題を解決するにはカスタマイズが必要とし、生成AIの利用方法はカスタマイズの程度により大きく3つに分けられると解説した。「少ないカスタマイズ」「中規模のカスタマイズ」「広範なカスタマイズ」の区分だ。
少ないカスタマイズは、チャットGPTやグーグルバードなどの既存のサービスであり、最短の時間で市場投入が可能。一般的な利用方法だ。
偏見や有害情報が含まれる可能性をカスタマイズ技術が克服
しかし、基盤モデルではドメインに企業固有の知識が含まれておらず、トレーニング時点での知識が固定されていること。さらに幻覚を起こし、望ましくない情報が提供されるほか、偏見や有害情報が含まれる可能性があることなどを課題に掲げた。
これに対し、中規模のカスタマイズはトレーニング済みモデルをファインチューニングするもので、インフラの開発に数週間から数カ月かかる。
広範なカスタマイズは大幅にカスタマイズするもので、オンプレミスまたはクラウドの大規模なインフラ開発に半年以上の開発期間が必要になるとした。
こうした生成AIの開発に対し、エヌビディアは基盤モデル用からカスタマイズ用までAI処理に最適なGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)を提供、サポートしており、独自AIの開発に当たっては「エヌビディアのプラットフォームを使う」のが簡単と述べた。