日本電信電話(NTT)とNTTデータは米国デトロイト時間の3月27日、インディカー・シリーズの冠スポンサーとしてインディカーと複数年のパートナーシップの延長に合意したと発表した。
NTTグループは、2019年からNTTインディカー・シリーズの冠スポンサーを務めており、今回の契約により2024年以降も、同シリーズの冠スポンサーとして公式テクノロジーパートナーとしての役割(後述)も果たしていきたいと述べている。
インディカー・シリーズのオーナーであるペンスキー・コーポレーション(Penske Corporation)のロジャー・ペンスキー(Roger Penske)創業者兼会長は「NTTは我々の事業に欠くことの出来ない技術パートナーであり、高度な専門知識を持ち、私たちのスポーツに対し多大な貢献を果たしてくれています。
今日もレース運営に於けるスマート化技術からモバイルアプリの提供まで、NTTは革新的な手段を駆使してファン体験を刷新し続けており、これからも共に未来を切り拓いていく事を楽しみにしています」と語った。
そんなNTTは、当地に於いてデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しており、インディカーシリーズに於いてもモータースポーツの未来を見据えて取り組んでいるという。
より具体的な活動内容では、例えばインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)のスマート化により、まずは入場ゲートの通行量データと映像データを組み合わせた上で、これにAIを掛け合わせ、会場内で今後起こり得る状況予測を提供している。
この結果、インディカー・シリーズでは来場者の人流、混雑状況やセキュリティなど、より広範な状況をリアルタイムで見える化出来ているとした。
またデジタルチケットや駐車場料金の支払いのためモバイルPOSも配備。これにより来場者側は、モバイルアプリ上やウェブサイト上から入場ゲートの待ち時間をリアルタイムで確認する事が出来るようになっている。
更にNTTデータは、インディカー・シリーズの観戦者向けにINDYCARモバイルアプリを提供(2019年から提供開始)。同アプリは現在200以上の国と地域へと広がりダウンロード数はこの3年で約50%増加した。
なおこのINDYCARモバイルアプリは、今季の開幕に合わせて新バージョンに刷新。ナビゲーション機能の向上、レース前・中・後の体験強化を果たしている。
具体的には、各レースカーやコース上の140のデータポイントを活用。これらをベースにドライバーの順位や走行中の位置情報を提供する他、タイム計測やスコアリング、複数の車載カメラからの映像、ドライバーとチーム間の無線通信など、ファンのための観戦機能を強化した。
またこここでもAIを組み合わせた予測分析を導入。ドライバー同士のポジション争いの行方、ピットストップのレースへの影響予測、燃料残量やタイヤ摩耗の影響分析、順位予測、気象の影響など、レース展開の重要な局面情報もリアルタイムで情報提供出来る仕組みを実現。
併せてINDYCARモバイルアプリだけでなく、NBCのテレビ中継など複数のチャンネルへ、レースデータやドライバーデータを提供しているという。
こうした取り組みについてNTTデータの西畑一宏代表取締役副社長執行役員は、「インディカーレースの運営は、〝観戦者へ素晴らしい体験を提供する〟という共通目標を掲げ、それを共に実現させていくための実験場となっています。
そんなシリーズ戦は世界15カ国から指折りのドライバー達が集結。ショートオーバルやスーパースピードウェイ、更にはロードやストリートコースまで、様々な環境下で展開される多様性についても目を見張るものがあります」と話している。
対してインディカー並びにインディアナポリス・モーター・スピードウェイのペンスキー・エンターテインメント(Penske Entertainment)、マーク・マイルズ(Mark Miles)プレジデント兼CEOは「このパートナーシップの更なる延長により、NTTインディカー・シリーズの新たな発展の歴史が継続される事になります。
NTTはレース運営上の問題解決力で、これまでも素晴らしい実績を残しており、今後もそれが続く事になるでしょう」とコメントした。
これを受けて、同シリーズのテクノロジーパートナーとして実運営の一翼を担うNTTデータサービスのボブ・プライアー(Bob Pryor)CEOは「モータースポーツのファン体験を強化・拡大し、データを分析、更にAIなどの革新的なデジタル技術を披露できる機会を得られている事を我々は大変光栄に思います。
そもそも1世紀以上にも亘る歴史を持つ同レースシリーズは、自動車の安全を革新し続けていたモビリティ・イノベーションの先駆者です。
今後も協力関係を継続していける事で、新たな技術の獲得みならず、組織やコミュニティの持続可能性に貢献しているものと信じています」と謝意を込めて語っている。