国土交通省では1月16日、先の2023年12月21日よりダイハツ工業に対する立入検査を行い、事実関係の確認・精査を行ってきた。その結果を踏まえ同日、同省は以下の対応を行う。
1.立入検査の結果の公表( 立入検査に於いて新たに14件の不正行為を確認 )。
2.特に不正行為が悪質な3車種の型式指定の取消し手続きの開始。
3.ダイハツ工業に対する是正命令の発出。
4.基準不適合の可能性がある2車種のリコール届出の指導。
1.立入検査の結果
国土交通省は、2023年12月20日にダイハツ工業から型式指定申請に係る不正行為の報告を受け、不正行為の事実関係等の確認のため、同社に対して同年12月21日から2024年1月9日まで立入検査を実施した。
その結果、ダイハツ工業から報告があった142件の不正行為の事実を認定すると共、新たに14件の不正行為( 試験車両に不適切な加工を行う不正行為< 9件 >、規定と異なる試験装置を使用する不正行為< 5件 > )を確認した。
ダイハツ工業から報告があった不正:46車種142件
立入検査で新たに確認した不正:14件
合計:46車種156件
これら156件の不正行為については、国土交通省で基準適合性の確認試験を速やかに行い、その結果を順次公表する。
2.3車種の型式指定の取消し手続きの開始
特に悪質な不正行為が行われたと認められる以下の3車種については型式指定を取消すこととし、関係法令の規定に基づく手続きを開始した。
ダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴ( いずれもトラックタイプのみ )※試験車両に対する不正加工により、申請に係る自動車と異なる構造の自動車を用いて試験を実施した。
3.ダイハツ工業に対する是正命令の発出
ダイハツ工業に対し、二度とこうした不正行為を起こさない体制への抜本的な改革を促すべく、道路運送車両法の規定に基づき、国土交通大臣から別添の是正命令を発出した。
またダイハツ工業に対し、1か月以内に再発防止策を報告し、その後四半期毎に再発防止策の実施状況を報告するよう求めた。
4.基準不適合の可能性がある2車種のリコール届出の指導
ダイハツ工業に対し、基準不適合の可能性があると報告された以下の2車種について、リコールが必要な場合は速やかに届出を行うよう指導した。
ダイハツ・キャスト、トヨタ・ピクシスジョイ
5.自動車の型式指定申請に係る違反の是正命令
今般、ダイハツ工業が、自動車の型式指定申請に於いて不正行為を行い、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第76条の規定に基づく国土交通省令の規定に違反していたことが判明した。
今回の不正事案は、国の型式指定の信頼性を根本から損ない、我が国の製造業への信頼をも傷付けるものであり、極めて遺憾である。ついては道路運送車両法第75条第7項の規定に基づき、下記の通り命ずる。
記
別紙のダイハツ工業が講ずるべき措置を含めた抜本的な再発防止策を策定し、型式指定申請に係る違反を是正すること。
また、上記再発防止策を1ヵ月以内に報告すると共に、その後の実施状況についても当面四半期毎に報告すること。
1.確認された法令違反の内容
(1)自動車型式指定規則( 昭和26年運輸省令第85号 )第3条違反。
・試験車両に対する不正加工により、申請に係る自動車と異なる状態の自動車を、審査機関( <独>自動車技術総合機構 )に提示。
(2)自動車型式指定規則第13条( 平成28年9月15日以前に型式指定申請を行った自動車については第3条 )違反。
・試験車両に対する不正加工や、試験成績書への虚偽記載、試験データの不正操作等により、自動車型式指定申請の申請書その他の書面に虚偽の記載。
2.ダイハツ工業が講ずるべき措置
(1)会社全体の業務運営体制の再構築
経営幹部の法規・認証業務に関する理解の徹底、関連業務運営の責任の明確化。
上位者に対する意見具申を抑圧するような組織風土の一掃。縦方向の報告ラインの機能回復、部署間のセクショナリズムを廃する仕組みの構築。
(2)車両開発全体の業務管理手法の改善
・人材や試験車両などのリソースを勘案した開発スケジュールへの抜本的な見直し。
・認証業務に不当なしわ寄せが生じないような業務管理の徹底。
・開発・認証に関連する業務についての社内規程の整備・作成と責任の明確
化。
(3)不正行為を起こし得ない法規・認証関連業務の実施体制の構築。
・法規・認証関連業務への十分な人員その他リソースの確保の徹底。
・法規・認証、コンプライアンス、技術者倫理に関する教育制度の導入。
・認証申請プロセスにおけるチェック体制の構築、法規・認証に対する深度のある監査の導入。