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2022年8月19日【イベント】

マクラーレン、サーキット専用モデル「ソーラスGT」を発表

山田清志

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マクラーレン・オートモーティブはこのほど、バーチャルレースのコンセプトカーを現実のものとした、サーキット専用モデル「ソーラスGT」を発表した。同車はゲームソフト「グランツーリスモSPORT」に登場する、マクラーレンの未来的なコンセプトカーに命を吹き込むため、同社の幅広い経験と専門性をフルに生かして製造したという。生産はわずか25台で、すべて売却済みだ。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

最高出力が840PSで最高速は320km/h以上

 

「まさにマクラーレンの開拓者精神を象徴している」とミハエル・ライタースCEO話すソーラスGTは、5.2リッターの自然吸気V10エンジンを搭載し、最高出力840PS、最大トルク650Nmを誇るモンスターマシン。しかも車重は1000kg以下で、発生するダウンフォースは1200kg以上である。

 

 

シングルシーターのレーシングカーを除けば、どのマクラーレンモデルよりも速いラップタイムをたたき出す能力を備え、そのドライビング・エクスペリエンスはF1カーで走る一体感と衝撃に近いものだという。もちろん加速性は抜群で、0~100km/h加速の目標タイムが2.5秒、最高速は320km/h以上とのことだ。

 

エクステリアで特に目を引くのは中央のシングルシートを覆うスライド式のキャノピーだ。前方にスライドし、現れた開口部から乗り込む。まるでジェット戦闘機に搭乗する感覚だという。

 

タイヤは空力的な形状のポッドで覆われ、サスペンション・アームの先に位置する。大きなフロント・スプリッターで取り込んだ空気は、グラウンド・エフェクト・トンネルを通過して、フルワイルドのディフューザーから排出される。インテークはコックピット上に配置し、ロールフープのカバーと一体化。冷たい空気をエンジンに供給するとともに、魅力的な吸気音を発するそうだ。

 

 

クルマの総重量を超えるダウンフォース量の鍵となっているのが、ツイン・エレメントの固定式リアウィングだ。ダウンフォースとドラッグの比率も最適化され、直線でのパフォーマンスが押し上げられるとともに、コーナーリング性能も高まった。

 

シートは各オーナーに合わせて型取り

 

ステアリング・ホイールは、マクラーレンモデルの中でも独特で、F1マシンからインスピレーションを得て、狭いシングルシーターのサーキット専用モデルに合わせて、ディスプレイと基本的な操作系がステアリングに一体化されている。ステアリングの向こう側はガラスのバブルが覆い、ヘイロー型コックピット保護装置が組み込まれている。そこに設置されたリアビュー・ディスプレイには、ロールフープ内の広角カメラからの映像が表示される。ドライビングポジションが中央のため、180度見渡せる左右対称の視界が開けるそうだ。

 

 

また、マクラーレン・オートモーティブによると、ソーラスGTのオーナーにさらなる興奮を味わってもらうために、ドライビングシートは各オーナーの体型に合わせて型取りするほか、FIA認可のレーシングスーツ、ヘルメット、HANSも各オーナーに合わせて特注する。さらにドライバー育成指導プログラムも提供する。

 

文字通り、1台1台のソーラスGTは唯一無二の存在と言っていいだろう。そのほか、開発プログラムの進捗状況も定期的に各オーナーにアップデートされ、プロトタイプのテスト走行にも参加でき、製造前にドライビング特性などについて要望を伝える機会も用意されている。現在、サーキットでテスト走行を行っており、2023年からデリバリーを開始する予定だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。