10月の世界大会に向けて、産学連携バックアップを受け学生自らが設計製作
工学院大の学生プロジェクト「工学院大学ソーラーチーム」が7月6日、オーストラリアで10月に開催される世界最高峰のソーラーカーレース「2023ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(BWSC)」に出場する新車両を初公開した。
新型ソーラーカー「Koga(コーガ)」は前輪1輪、後輪2輪、計3輪の単胴型で、空力性能を向上させた上で搭乗者空間の拡充と低重心化を実現するための新技術を搭載した。
工学院大学のソーラーチームは、30社を超える企業との産学連携で、研究開発からレースでの実践までを一貫して行うことにより、クリーンエネルギー分野の技術革新と社会実装に取り組んでいる。
今回、工学院大学にとって5度目の参戦となる「BWSC」は、約5日間掛けてオーストラリア大陸を北から南へ約3,000kmをソーラーカーで縦断する過酷なレース。チームは、2019年大会でチームは、世界各国から集結した全チームから1チームのみに与えられる技術賞「テクニカルイノベーションアワード」を獲得。新たな挑戦にあたり前回大会の成績を超えるべく世界の頂点を目指す。
世界大会に挑む新型ソーラーカーとチームメンバー
新型ソーラーカーには以下の技術が搭載される
1. 世界初の懸架技術の「Grand Frame Suspension(GFS)」と「 Reverse Tire Wall (RTW)」
前輪に採用した新技術「Grand Frame Suspension(GFS)」は、内部フレームを必要とせず、シャシから支えて操舵も可能な懸架方式となっている。また後輪に採用した「 Reverse Tire Wall(RTW)」は、ボディ側面から直接タイヤが組み付きタイヤでボディを支える技術となっている。
これにより車体内部のタイヤを支えるフレームが不要となり、狭いボディにサスペンションを格納することが出来、空力性能が向上した。これらの技術を電気自動車に採用することで搭乗者空間の拡充・低重心化による操縦安定性の向上を果たした。
2. ハイドロニューマチック・サスペンション+非線形ばね
前回大会で技術賞「テクニカルイノベーションアワード」を受賞した技術を改良。電気エネルギーを使わずに、車体のピッチ方向の姿勢を自動調整して、空力性能が最も良い状態に保つ仕組みとした。
ーチーム関係者のコメントは以下の通り
学生リーダー:中川立土(工学部 機械システム工学科3年)
サポート企業の皆さまをはじめ、多くの方にご支援いただき、6号機「Koga」が完成しました。心より感謝申し上げます。
濱根監督、アドバイザーの皆様のご指導のもと、学生メンバー自らのアイディアで設計・製作行い、他のチームがまねすることができない車体が誕生しました。同じ目標も持った仲間と世界の頂点を目指します。応援よろしくお願いします。
チーム監督:濱根 洋人(工学部 機械システム工学科 教授)
100年後の未来につながる人材育成のため、常識を覆す技術開発に学生が挑戦しました。皆さまの多大な応援に、感謝を申し上げます。
“世界でオンリーワンの技術開発”と”過酷な環境でチームマネジメント”という2つの大きな目標を、学生が達成しようとしています。引き続き、応援をよろしくお願いします。
主な戦歴
・2015年10月:ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(オーストラリア)クルーザークラス[準優勝]
・2016年8月:ワールド・グリーン・チャレンジ(国内)[優勝]
・2017年10月:ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(オーストラリア)チャレンジャークラス[第7位]
・2018年8月:ワールド・グリーン・チャレンジ(国内)[優勝]
・2019年10月:ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(オーストラリア) チャレンジャークラス[第5位]
・2021年8月:ワールド・グリーン・チャレンジ(国内)[準優勝]
・2022年8月:ワールド・グリーン・チャレンジ(国内)[準優勝]
2023ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ概要
開催期間:2023年10月22日(日)~29日(日)
開催場所:オーストラリア(スタート:ダーウィン、ゴール:アデレード)
主催者:南オーストラリア州政府
大会タイトルスポンサー:株式会社ブリヂストン
大会クラス区分:
・チャレンジャークラス/タイヤ3輪以上、ドライバー1名、速度を重視したデザインの車両で目的地までの順位を競う。
・クルーザークラス/タイヤ4輪、ドライバー1名+乗員1名以上が乗車、エネルギー効率や実用性を競う。
・アドベンチャークラス/過去の大会の規則に準じた車両など、上記2クラスの条件を満たさない車両も参加。
サポート企業一覧(50音順・全33社)
有限会社アド・ウィング/英弘精機株式会社/株式会社エステーリンク/NTN株式会社/オートデスク株式会社/協立機電工業株式会社/CLENERGY/株式会社建築構造センター/Gochermann Solar Technology/サカイオーベックス株式会社/株式会社ジーエイチクラフト/JSAT MOBILE Communications株式会社/スカパーJSATグループ/ストーブリ株式会社/スマートソーラー株式会社/積水化成品工業株式会社/株式会社ソルトン/THK株式会社/帝人株式会社/長野計器株式会社/株式会社ナラハラオートテクニカル/株式会社南武/日本インシュレーション株式会社/株式会社ノーバル・ホールディングス/野村商会/株式会社日之出電機製作所/ファクトリージアス合同会社/株式会社フィッシュアイ/株式会社深沢商会/株式会社ブリヂストン/株式会社ミスミ/株式会社ミツバ/MSK武蔵産業株式会社(2023年7月5日現在)
工学院大学ソーラーチーム 2023ブリヂストンワールドソーラーチャレンジへの参戦スケジュール(予定)
7月中旬 :テストコース走行・模擬レース訓練
8月 :ソーラーカーや物資を船便輸送
9月下旬 :メンバーがオーストラリアへ出発
10月16日:静的車検(オーストラリア)
10月21日:動的車検、チーム説明会、メディア説明会(オーストラリア)
10月22日:開会式、レース開始
10月25日:ゴールラインオープン
10月29日:表彰式
10月末:メンバー帰国