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2024年8月2日【トピックス】

キーサイト・テクノロジー、新社長に寺澤紳司氏

松下次男

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米電子計測器メーカー大手のキーサイト・テクノロジーの日本法人社長に就任した寺澤紳司氏が8月2日、東京都内で新社長就任記者会見を開き、半導体のイノベーションを加速する最先端ソリューション提供強化に注力すると表明した。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

特に、ここ1年ほど自動車をはじめ多様な分野で導入が拡大する「AI(人工知能)の展開を加速する」と話した。寺澤氏は8月1日付で、日本法人のキーサイト・テクノロジー社長およびグループ会社のキーサイト・テクノロジー・インターナショナル合同会社職務執行役社長(半導体テストソリューション事業部長を兼務)に就任。

 

前任のチエ・ジュン氏は米国キーサイト・テクノロジー・インクに戻り、コア・プロダクト・マネジメントのバイスプレジデントに就任した。寺澤氏は日本法人で「初の開発出身の社長だ」と自身を紹介。

 

キーサイトは電子計測器が祖業の米ヒューレット・パッカード(HP)からスピンアウトした会社だが、その前身の横河ヒューレット・パッカードに入社。以降、エンジニアとして同グループ一筋に勤務し、HPの風土をもつキーサイトについて「風通しがよく、新しいことに挑戦させてくれる企業」と評価した。

 

2018年にはキーサイト・テクノロジー・インクのバイスプレジデントおよび半導体テストソリューション事業部長も歴任した。こうした経歴を踏まえ、寺澤新社長はキーサイト日本法人の取り組みに当たり、今や自動車にも欠かせない半導体の進化に、半導体メーカーとともに推進する考えを表明した。

 

日進月歩の半導体をめぐっては、最先端化の競争が激化。これを勝ち抜くには、いち早く最適な半導体の製品化が求められている。これに対し、キーサイトは最先端の半導体の開発に向け、スピード感のある設計支援、評価テストなどの環境ソリューションを提供する。

 

寺澤新社長はこうした最先端の半導体の開発支援に「我々は半導体メーカーと協業しながら取り組んでおり、それも最先端の一歩先を行くソリューションを目指している」と話す。

 

また同社のソリューションを活用することで、半導体の開発期間が半減したケースもあるという。自動車分野では、自動運転の取り組みを例に掲げて、車載レーザーセンサーが検出するレーザー反射をエミュレートする史上初の技術、アルゴリズムトレーニングを支援するソリューションを紹介。

 

特に自動車分野は「信頼性の高い情報、品質が重要」として、顧客と一体になったテスト環境を提供推進する方針を示す。EV(電気自動車)などへ搭載が急ピッチで拡大しているシリコンカーバイト(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの次世代パワー半導体向けにも、革新的なテストソリューションを今年後半に発表する予定という。

 

日本事業については、HPが海外で最初に開発拠点を設けたのが現在のキーサイト日本法人の本社となっている東京・八王子とし、その時から多くの新技術が日本から発信されていると強調した。

 

半導体でいえば、企業の数は減ったものの、今も素材から製品まで「日本発の技術は少なくない」と顧客との一体感をアピール。このため、日本法人も「開発部門と営業部門の連携を強化」し、日本の半導体の拡大に寄与すると表明した。

 

なお日本には東京・八王子と神戸の2カ所に拠点を持つ。キーサイトはパラメトリックテスト分野で世界トップだ。そんなキーサイト・テクノロジーは8月2日、ソリューション・計測器を展示する「キーサイト・ワールド」を東京都内で開催し、自動車関連では「自動運転・機能安全の検証」「充放電テスト、バッテリー開発を加速」「回生型直流電源、小型、軽量」「EV充電評価」などのテスト環境を披露した。

 

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寺澤社長の略歴
1988年4月横河ヒューレット・パッカード入社、2009年7月半導体パラメトリックテスト事業部マーケティング部部長、2018年11月半導体テストソリューション事業部長。(なお横河ヒューレット・パッカードは1999年11月に日本ヒューレット・パッカードに、2014年8月にアジレント・テクノロジーに社名変更し、2014年同社電子事業部門がキーサイト・テクノロジー合同会社に分割、2018年7月に同株式会社へ組織変更した)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。