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2022年12月13日【イベント】

JRP、日本の最高峰フォーミュラレースに新機軸

坂上 賢治

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全日本スーパーフォーミュラ選手権を主催する日本レースプロモーション( JRP / 本社:東京都千代田区、代表取締役社長:上野禎久 )は12月13日の夕刻、東京都千代田区の日比谷ミッドタウンに於いて、国内トップフォーミュラ50周年の節目を迎える来期2023年シーズンに向け、新導入される新型レース車両と開催スケジュール、そして新たな観戦スタイルとなる次世代デジタルプラットフォームの魅力を初披露した。( 坂上 賢治 )

 

写真左はJRPの上野禎久社長、中央は特別ゲストとして登壇した2022年のドライバーズチャンピオンとなった野尻智紀選手、右は2022年からSF NEXT50(SFネクストゴー)プロジェクトのトップパートナーとなったデロイト トーマツの三木要氏

 

日本に於ける最高峰フォーミュラレースの変遷は、現行のスーパーフォーミュラの前身となる〝全日本F2000選手権〟初開催の1973年に迄遡る。

 

以来、78年からは〝全日本F2選手権〟、87年からは〝全日本F3000選手権〟、96年からは〝フォーミュラ・ニッポン〟とシリーズの名称を変えながら引き継がれ、2013年からはスーパーフォーミュラ(略称、SF)に。そして来期2023年で、新たな50年を見据えた戦いを迎える。

 

ちなみに目下、日本独自の選手権シリーズとして競われているSFは、世界格式でF1やインディカーと並ぶカテゴリーに発展させる事を目指してスーパーフォーミュラと命名された経緯がある。

 

エンジンサプライヤーを担うトヨタ自動車 執行役員 GAZOO Racing Company President 佐藤恒治氏

 

またその名前の一部に〝フォーミュラ〟とある通り、車両構造を規定( フォーミュラ )化している事を内包している。

 

その規定の骨子自体は、世界のレース競技を統括する国際自動車連盟( FIA )で定められたものであり、先のF1やインディカーと同じく、運転席とタイヤがボディカウルで被われない純粋なレース専用の1人乗り車両が決まりとなっている。

 

同じくエンジンサプライヤーを担うホンダ・レーシング 代表取締役社長 渡辺康治氏

 

そんなスーパーフォーミュラ車両は、2リッター直4のターボエンジンが絞り出すパワーと、飛び抜けたダウンフォース力の高さから、時にコーナーリング速度でF1を凌ぐためドライバーの技量が問われるとされ、来期も国内最高峰カテゴリーのシリーズ戦として日本最速の座を懸けて争われる。

 

なお車両は来期に刷新される。具体的には「カーボンニュートラルへの対応」と「エンターテインメント性の向上」と いう2つのテーマに基づき、全国5つのサーキットで総走行距離1万キロメートル( 約60レース分に相当 )を超える開発テストを自動車メーカーの垣根を超えて実施。その結果を踏まえた新車両「SF23」が遂に投入される。

 

SF23の車両骨格は、量産レーシングマシンの骨格づくりで定評のあるイタリアのダラーラ・アウトモビリ社( Dallara Automobili S.p.A. / 所在:イタリア共和国エミリア=ロマーニャ州パルマ県のヴァラーノ・デ・メレガーリ )製を基礎に、カーボンに匹敵する麻由来のバイオコンポジット素材( スイスの素材企業Bcomp社製 )を多用する事により、製造過程に於けるCO2排出量を約75パーセント抑制した。

 

 

またタイヤは横浜ゴムにより、およそ33パーセントを天然由来の配合剤やリサイクル素材に置き換えたレーシングタイヤを新たに開発した。

 

当該タイヤで特にドライ用タイヤでは、アブラヤシの実やオレンジの皮から生成したオイルなど各種自然由来の配合剤を活用。

 

 

これにリサイクル鉄や廃タイヤから再生したリサイクルゴムとマスバランス方式( 原料から商品への加工・流通工程で使用したバイオマス由来の原料と同じ重量だけ、商品へバイオマス由来の特性を割り当てる事が出来る手法 )の合成ゴムを採用する事で原材料全体の約33パーセントをサステナブル素材としながら、2022年の現行タイヤと同等の性能を維持した。

 

更にボディ性能では、接近戦で後続車が受ける空力影響を削減させるべく( 走行中のレーシングマシンの後方は、空気の壁を押しのける過程で乱流が生じるため、本来はデットヒート時に後続車の操縦安定性が著しく低下。複数台車両によるドックファイト発生の機会が減じる )、エアロダイナミクス性能を大きく見直した。これにより来期は、白熱した接近戦が演じられる事になりエンターテインメント性が大きく高まるという。

 

 

併せて来期は世界へ向けて、日本のスーパーフォーミュラレースの魅力をもっと積極的に伝えるべく、一般観客がスマートフォンやPCの画面を利用し、オンライン上でレース観戦を愉しめるデジタルプラットフォームSFgo( エスエフゴー )のサ ービス提供を、いよいよ本格始動する見込みだ。

 

このSFgoの画面上には、レースの実況と各車両に搭載された車載カメラ映像だけに留まらず、リアルタイムでのエンジン回転数やスロットル開度、ブレーキ踏力、タイヤ温度、ステアリングの操舵角度、残り燃料の状況、チームとの無線によるコミュニケーション内容などが刻一刻と表示される。

 

 

実は既に先行して試験運用を行っていた2022年時点のレース現場では、ライバルチームや、ライバル選手のメンタル面に於けるリアルタイムな状態把握にこのSFgoのプロトタイプが積極的に活用されていたという。

 

期待のSFgoのサービスは、来たる2023年1月中旬から誰もが無料でダウンロード出来るアプリとして提供が始まる。またこれを利用して年間を通して過去のF3000やフォーミュラニッポンも含めたアーカイブ映像の視聴や、個々のレーシングチームやドライバーのSNS、ニュースの閲覧、チケットやグッズの購入等を無料サービスとして提供する。

 

 

そして開幕戦が始まる4月以降2023年のレース映像の観戦に限っては、有料コンテンツ( 月額900円〜 )として提供していく。このレース映像の有料提供については、PC画面等でレース全体を観戦しつつ、個別のドライバーの状況をウオッチ出来るよう2画面での閲覧を可能にしていく。

 

SFを運営する日本レースプロモーション社長の上野禎久氏は、「デジタルの力でドライバーの魅力を余す事なくお伝えするというコンセプトの下、一般から募った600名のSFgo開発サポーターの方々の評価やアイデアも参考に、これまで様々な観点で検討して参りました。

 

JRPの上野禎久社長

 

そんなSFgoの最大の魅力は、レース中継映像に加え、ドライバーのあらゆる情報をリアルタイムに楽 しめる事です。オンボードカメラの映像と車両のテレメトリーデータに加え、高精度GPSでの位置情報やチーム無線まで、見たいドライバーの情報を、お客様自ら選択し視聴する事が出来ます。

 

このSFgoを我々のデジタルシフトを目指す強力な実験台として、今後も相次いで新企画に挑戦し続けていきます。ファンの皆様、関係者の皆様と共にこれからも全日本スーパーフォーミュラ選手権を世界に比するモータースポーツエンターテインメントを育てて参りますので、是非ともご期待下さい。

 

新型車両の開発テストドライバーを務めた石浦宏明選手

 

2023年シーズンのドライバーについては、一部未発表のチームもありますが、現状11チーム、20名の参戦が予定されております。

 

同じく新型車両の開発テストドライバーを務めた塚越広大選手

 

リストには複数の外国人ドライバーの新規参戦も予定され、シーズンを盛り上げてくれる事でしょう。ファンの皆様に於いては、国内トップフォーミュラ50周年となる2023年シーズンをご期待頂き、ドライバー達の熱き戦いを応援下さいますよう宜しくお願い致します。

 

なおSFgoのサービス開始に伴い、これまで一部サービスを有料で提供してきたSF公式 YouTubeについては、2023年4月より無料化し、より幅広い方にモータースポーツの楽しさを知って頂く重要なチャンネルとして活用を継続して参ります」と結んでいる。

 

以下は現段階の2023年シーズンの開催カレンダーとなる。

 

更に以下は現段階のチーム体制と選手のラインナップとなる。

内容は以下の通りだが、来期は海外選手2名の参戦が予定されており、ひとりはレッドブルF1の育成ドライバーでジュニアプログラムの筆頭株にあたるリアム・ローソン選手。Team MUGEN( チーム無限 )からの参戦となり、野尻智紀選手とのチームとなる。

ローソン選手は、2022年のFIA-F2選手権でランキング3位を獲得。レッドブル・レーシング及びスクーデリア・アルファタウリのF1リザーブドライバーを務めている。

 

ふたりめは、先の12月12日に行われた2023年ホンダモータースポーツ活動計画発表会に於いて明らかにされた2022年フォーミュラ・リージョナル・アメリカズ(FRA)王者のラウル・ハイマン選手で、彼はB-MAX Racing Team( ビーマックス・レーシング )から参戦する。

南アフリカ生まれのハイマン選手は15歳からイギリスに移住。レース活動と並行してロースクールで法律を学んでいたが、2019年の終わりに鈴鹿サーキットで開催された全日本F3選手権のテストにB-MAX Racing Teamから参加していた。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。