一般社団法人 日本流行色協会 ( JAFCA、所在地:東京都千代田区、理事長:三雲英一< 大日精化工業・執行役員 > )は12月13日から14日、日東京国際交流館プラザ平成( 東京・江東区 )で、優れたモビリティのカラーデザインを顕彰する制度「オートカラーアウォード2022」を開催して今年のグランプリを決定した。( 坂上 賢治 )
このJAFCA主催のオートカラーアウォードは、モビリティのカラーデザインの企画力や形との調和を含む、内外装すべてのカラーデザインの美しさを評価する顕彰制度。同制度は1998年から始まり、審査会としては今年で24回目を迎えている。
今回のグランプリ選出に至る開催スケジュールでは、コロナ禍を経た今年は遂に3年ぶりに実車を展示する審査会が実現。
2022年12月13日(火)にノミネートデザインのプレゼンテーションを行い、翌14日(水)の審査を介してグランプリを発表した。
選出の対象車となったのは、日本国内市場に向けて販売されるモビリティのカラーデザインで、昨年の2021年12月9日〜今年2022年12月末迄に一般消費者が購入(またはリース)出来る旨を発表しているモビリティである事。日本国内市場向けに生産、販売、輸入されたカラーデザインである事。
審査の視点は、(1)市場に影響を与えたか。(2)モビリティのカラーデザインとして企画・発想が優れているか。(3)デザインの企画・発想が他業種の手本となりえるか。(4)従来にない色域に挑戦して成果をあげているか。(5)狙い通りのカラーが表現されているか。(6)モビリティ全体でカラーの調和が考えられているか。
アウォードの審査委員は、島村 卓実氏(Qurz Inc. 代表、プロダクトデザイナー)/松田 朋春氏(グッドアイデア株式会社 代表取締役)/大澤かほる氏( 一般社団法人日本流行色協会 クリエイティブディレクター)/JAFCA自動車色彩分科会メーカー代表審査委員。
上記を踏まえ今年の「オートカラーアウォード2022」のグランプリは、ダイハツ工業の 「ハイゼットトラック」に。
ちなみに今回は「特別賞」も選ばれ、本田技術研究所が開発した「HAWK11」を選出した。
なお今回は13のノミネートカラーデザインから選ばれており、それぞれのノミネートの詳細は以下URLの通りとなる。
https://www.jafca.org/seminarandevent/aca-nominate2019-copy.html
今回のグランプリに、ハイゼットトラックを選んだ理由について日本流行色協会では、「これまでの働くクルマに対して〝快適さ〟という言葉は無縁だったように思える。
なぜなら日本の〝働く〟という考え方に…、敢えて誤解を恐れずに言えば働く現場に〝快適さ〟を求めてはいけないという不文律があったのではないか、と。働く事は苦痛を伴うべきもので、むしろその苦痛の表現こそが美しい…と。
もしかしたら日本のモノづくりの根底にこの不文律があるのではないか。だからこそデザインが変わらない、そういう事が身の回りに沢山あるのではないか?
例えば頻繁に乗り降りする時にシートで、摩擦が生じる位置に縫い目がある。しかし、その縫い目の位置を変える事は、これまでの慣例を超える事であるから一朝一夕では出来ない。
ハイゼットトラックは、その一歩を踏み出して、〝快適に仕事をする〟ことへの〝解〟を導き出した。エクステリアも顧客の好みを反映し、なおかつ、働く現場のロケーションに馴染むよう調整されている」と、そうした点に焦点を当てた事を評価したとしている。
ダイハツ工業ハイゼットトラックの受賞メンバー
一方でクランプリを受賞したダイハツ・ハイゼットの開発陣は、「ダイハツ・ハイゼットは、誕生から60年。田んぼのあぜ道から下町の路地まで、ニッポン隅々を駆け巡る“仕事の相棒”として走り続けてきました。
近年では働くクルマの枠を超えて、お買い物などいつもの日常でも、沢山のお客様にご愛用
頂いています。
そんなハイゼットづくりで最も大切にしているのは、今も、これからも、この日本を支えて下さっている方々にとって一番近い存在であり続けるための〝お客様の生の声〟です。
これからのハイゼットに求められている事にまっすぐ向き合って辿り着いた〝働く〟を快適にする事を考え抜いたインテリアと商用の枠組みを超えた仕事と暮らしを〝もっと楽しく彩るボディカラー〟に、その想いを込めてお伝えしています」と話している。
【グランプリ】
ハイゼットトラックの開発テーマ/CMF(CMFの語意は後述)の力で“はたらく”をもっと楽しく、快適に!
カラー/エクステリア=アイスグリーン 、ファイアークオーツレッドメタリック 、オフビートカーキメタリック。インテリアカラー=ブラック(3台でノミネート)
担当デザイナー/ダイハツ工業株式会社 デザイン部 第二デザインクリエイト室 CMFグループ 里舘 ひなの氏
また特別賞として選出した「HAWK11」について日本流行色協会は、「今回、ノミネートされたCMFデザインでは〝自然風景をCMF〟で表現するという傾向が目立った。
( CMFとは、C=COLOR/色、M=MATERIAL/素材、F=FINISHを指している。このモノの表面を構成する3大要素であるCMFを意識する事で美しさと機能性が両立。よりクオリティの高い製品を生み出す事が出来るというデザインに係る考え方 )
それはコロナ禍の影響からか、空気を思う存分吸える場所に行きたいという思いがあってなのか、アウトドアブームともいえる現象が起きた。
しかし実際には、それはコロナ禍のためだけではなく、デジタル化していく社会と自らの身体が持つ〝自然〟との矛盾を解消する時間ではなかったか?という想いがよぎる。
バイクは身体と一体となって動くモビリティ、身体感覚をフルに活動させて味わう、そんな〝心象〟をHAWK11は表現している」と評した。
本田技術研究所デザインセンター・モーターサイクルデザイン開発室CMF Gr.桂川 碧氏
一方、受賞者の本田技術研究所デザインセンター・モーターサイクルデザイン開発室CMF Gr.は、「たまにしか乗れないOne Special day、それでもその日を最高の一日にしてくれる存在。
朝早く、まだ星の出ている薄暗い中を早駆けする時のひんやりとした山の空気。そこに至るまでに聴いていた心地よいエンジン音。バイクを停めた静寂の時、周りの木々や空が美しくTANKに映り込むHAWK11。
そんな情景をイメージし、毎日を一生懸命生きる方に向け、日常から解き放たれ素の自分を取り戻した時傍らに静かに寄り添ってくれる存在は、きっと、その人が力強く前に進むためのパワーと成ります。そうした存在を目指し、HAWK11の設計を手掛けました」と話している。
【特 別 賞】
HAWK11の開発テーマ/Silence & Intense
カラー/パールホークスアイブルー
担当デザイナー/本田技術研究所デザインセンター モーターサイクルデザイン開発室CMF Gr. 桂川 碧氏
〈オートカラーアウォード2022協賛〉
長瀬産業株式会社/DIC株式会社/東レ株式会社ウルトラスエード事業部/大日精化工業株式会社/旭化成株式会社/藤倉化成株式会社/武蔵塗料ホールディングス株式会社/東洋アルミニウム株式会社/ヤマハ発動機株式会社/山本通産株式会社/トーヨーカラー株式会社/日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社/BASFジャパン株式会社/松崎化成株式会社
〈同後援〉
国土交通省、日本商工会議所、東京商工会議所、公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会、一般社団法人日本インテリア協会、公益財団法人日本デザイン振興会、一般社団法人日本自動車工業会、日本自動車輸入組合、一般社団法人日本テキスタイルデザイン協会、一般社団法人日本塗料工業会、一般社団法人日本自動車販売協会連合会