G7広島サミット合わせて、副会長全員が広島入りへ
日本自動車工業会(自工会)は5月18日オンラインで記者会見を開き、19日からのG7(先進7か国首脳会議)広島サミット開催に合わせ、わが国自動車メーカーの多様な取り組みを世界に積極的に発信すると表明した。(佃モビリティ総研・松下次男)
G7広島サミット開催中、自工会は国際メディアセンターに隣接する「ひろしまゲートパークプラザ」で自動車業界のカーボンニュートラル(CN)達成に向けた取り組みを紹介する展示する。展示は「―カーボンニュートラルにも、多様性を。―」テーマに実施する。
豊田章男会長(トヨタ自動車会長)はこれに加えて、自工会の副会長全員が広島に入り、それぞれ各社の技術に込めた思いを世界に発信する方針を明らかにした。
記者会見には、豊田会長のほか、片山正則いすゞ自動車会長、鈴木俊宏スズキ社長、佐藤恒治トヨタ自動車社長、内田誠日産自動車社長、三部敏宏ホンダ社長、日髙祥博ヤマハ発動機社長、永塚誠一自工会専務理事の各副会長、それにG7開催地の広島から丸本明マツダ社長(自工会理事)が参加した。
カーボンニュートラルへの取り組みは日本の強みを活かすべき
冒頭、豊田会長はG7広島サミットについてウクライナ情勢による先行きの不透明感や核リスクへの件が高まる中、「被爆地広島で世界の平和と持続的に発展を議論することは大いに意義がある」と評価した。
その広島では、地元のマツダは78年前の惨劇からわずか4か月後、オート三輪の生産を再開し、スバル、トヨタも自転車、鍋などの生産を始めた紹介したあと、78年を経てクルマは社会と地球により密接につながるようになり、人々の暮らしを支えるようになったと強調。
そのうえで、誰一人取り残さず、こうした暮らし、地球を守りたいという思いはカーボンニュートラルの取り組みにもつながっていると述べ、その取り組みに日本の強みを活かすべきだとの考えを示す。
国内自動車産業のマルチパスウェイをG7広島サミット開催地で発信する
その強みとは、大型車から軽自動車、二輪までのフルラインナップを生産し、バッテリー電気自動車(BEV)、水素、ハイブリッド車(HV)など多様な技術を持っていることだと訴えた。
実際に、国や地域が違えば文化や人々の暮らしも違うとし、「それぞれ国や地域の現実に寄り添い、その違いをリスペクトしながら、日本の各社が独自の技術を磨き、その競争力を高め、必要とされる地域に生かす」ことが重要だと話す。
豊田会長はそれが「日本の自動車産業のマルチパスウェイだ」と述べ、こうした取り組みをG7広島サミット開催地で紹介、発信するとアピールした。
秋のジャパンモビリティショーは有識者参加の自動車版ダボス会議も
広島から参加した丸本理事は、展示会場が広島東洋カープの関連施設の跡地だと紹介したあと、現地では7つのゾーンに分けて展示し、それぞれ分野ごとにCO2(二酸化炭素)削減の取り組みを展示すると解説した。
また、片山、鈴木、佐藤、三部、日髙の各副会長は大型車や軽自動車、普通車、二輪車の観点からCNに対する取り組みやG7サミット開催地での展示の特色を披露した。
このほか、今年秋に開催されるジャパンモビリティショーについて内田副会長は「お客様と一緒に未来をつくる」ショーを目指すとし、内容については自動車の領域を超えたオールインダストリーの先端技術やスタートアップの取り組み、世界の有識者が参加した自動車版ダボス会議といえるセミナーなど盛りだくさんのものが準備されているとアピールした。