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2024年7月26日【イベント】

JAIA、上野理事長会見(7月26日)

松下次男

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輸入EVの登録台数、上半期で1万台突破、市場拡大を輸入車が牽引

 

日本自動車輸入組合(JAIA)の上野金太郎理事長(メルセデス・ベンツ日本社長兼CEO)は7月26日、夏季の理事長会見を東京・港区の日本自動車会館内で開き、2024年上半期(1~6月)の輸入EV(電気自動車)の販売台数が上半期ベースで初めて1万台を突破したことを明らかにした。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

国内全体のEVの販売台数は2023年以降8か月連続でマイナスとなっているが、輸入EVは2024年3月以降4か月連続して増加。日本のEV市場を輸入EVがけん引しているとし、日本のEV市場に占める輸入EV比率は4割弱、軽自動車を除けば7割近くに達しているとの見解を示した。

 

輸入EVが堅調に推移している背景として上野理事長は、補助金の継続など政府の切れ目のない支援策や会員各社の積極的なEVラインナップの拡充を掲げた。

 

実際、輸入EVのラインナップは2020年10ブランド・20モデルだったが、2024年6月末時点には商用車を含めると17ブランド・133モデルにまで拡大したという。

 

日本国内のEV販売比率は、グローバルレベルで見ればまだまだ低い

 

一方で、新車販売に占める日本のEV販売比率は1・6%に留まっており、グローバルレベルでみれば欧州ドイツの12・5%(2024年上半期)と比べてまだまだ低いのが実態。

 

このため、上野理事長は「日本はまだまだEV(増加)の伸びしろがある」と述べ、充電インフラの拡充や電動車促進イベント活動強化などを呼び掛けた。

 

輸入EVの販売は東京都をはじめとした各自治体にも支援策が広がっていることやインポーター各社も日本市場へ積極的に新型EVを投入していることから、下半期も好調さが継続するとの見通しを示す。

 

上野理事長は輸入EVの今年の販売台数が「年間で25000台を超える」と予想し、前回の記者会見と同様に「輸入EVのシェアが1割を超えることを期待している」と述べた。

 

上半期の外国車メーカー車の登録台数は対前年比7・1%減の11万3887台と2年ぶりに前年を下回った。これに対し、輸入EVの登録台数は同16・7%増と1万785台に達し、外国メーカー車に占めるEVのシェアは9・5%に高まっていた。

 

輸入EVの一層の普及・拡大に向け、促進イベントの規模拡大へ

 

上野理事長はこうした輸入EVの販売拡大に向け、JAIAとしても積極的に後押しを進めていく考えを打ち出す。具体的には、2021年から輸入電動車普及促進プラットフォームとして活動する電動車普及促進インベントなどを拡充、強化する。

 

電動車普及促進イベントは昨年、7月に神戸で実施。今年は「JAIAカーボンニュートラル促進イベントin東京」(名称)と銘打ち、11月15、16日の二日間、東京の中心部である丸の内の複数会場で開催する予定。

 

丸の内での開催内容は、最新輸入電動車の展示のほか、ステージ上でのトークショーやカーボンニュートラルへの取り組みを紹介するブースなどを設けて、輸入車業界の低炭素化の取り組みをアピールする考えだ。

 

加えて、EVの普及、拡大に当たっては、質量を合わせ、更なる充電インフラの拡充が重要と訴え、とくに高電圧化の規制緩和への要望を引き続き進めていくことや公共施設、高層住宅への設置、日本特有の機械式駐車場への対応などを課題に掲げた。

 

また、JAIAこうした活動を進めるに当たって会員間では解決できない問題、課題を関連企業と共有することで問題解決につなげるための賛助会員制度を導入することを決め、「充電インフラ」「バッテリー・リサイクル」「整備人材」関連の3分野で会員の募集を始めた。

 

この結果、充電インフラ関連で10社、バッテリー・リサイクル関連で2社の申し込みが7月までにあり、賛助会員として承認された。 

 

JAIAの主要活動については、「市場活性化、環境・エネルギー分野に関する活動」「税制改正要望」「安全と基準の調和に関する活動」「自動車公正取引・アフターセールス分野等の活動」「モーターサイクルの活動」などを引き続き推進すると表明した。

 

理事長会見での主な質疑応答は次の通り。

 

――円安が続いています。これが輸入車マーケットに与える影響は。

 

「円安は、インポーター各社にとって資材高騰や輸送費の上昇につながり、厳しいビジネス環境となっているのが事実です。このような中にあって、車両価格を引き上げているブランドが出ているのも承知しています。一方で、厳しい環境下でも前年を上回るブランドも出ており、今年上半期、ポルシェ、BYD、アストンマーティン、スカニアが過去最高を達成しました」

 

――国内EVのマーケットの推移をどう見ているのでしょうか。

 

「国内全体でみれば上半期、EVの販売台数は4割減と大きく落ち込みました。その中で、輸入EVは二けた増と成長し、この結果、新車乗用車のEVの約36%が輸入車であり、軽自動車を除けば約68%が輸入EVとなりました。

 

一方で、諸外国と比べると、まだまだ比率は低く、今後も充電インフラの整備や政府の支援策の継続、さらに会員各社の積極的な新車投入により、EVの普及、拡大に貢献できるとみています。このため、輸入EVの認知度向上に向け、一社一社ではできないイベントなどの支援活動をJAIAとして取り組んでいきたいと考えています」

 

――輸入二輪車の販売が好調ですが。

 

「2024年度上半期は5期連続の増加となりましが、これは密を避けて一人で行動するなど、コロナ後の新しいライフスタイルが二輪車の新規登録台数の増加に貢献しているのでしょう。また、中型自動二輪免許でも乗れる新型車が登場するなど、多種・多様かつ個性的な輸入二輪車に目を向けて頂いたことも堅調に推移している要因と考えています」

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。