イタリア共和国のセルジオ・マッタレッラ大統領は6月2日、大統領専用のランチア・フラミニア( Lancia Flaminia )に乗って、イタリア共和国建国77周年を記念する祝賀パレードに出席した。
大統領専用車両となったランチア・フラミニアは、大柄な車格で3350mmのホイールベースを持つため、「335」「プレジデンシアーレ( Presidenziale )」「キリナーレ( Quirinale/伊・大統領官邸を指す )」などとも呼ばれた。
以来同車は、60年以上に亘って、イタリア共和国大統領の公用車として使われて来ている。
同日、ローマで開かれた同祝典は、1946年のイタリア共和国創設を讃える日だ。伝統に従いイタリア共和国大統領が、大統領用ランチア・フラミニアに乗って軍事パレードを主導。市内のいくつかの象徴的な場所と共に、ローマ中心部のコロッセオ、ヴェネツィア広場からの直線路道ヴィア デイ フォーリ ・ インペリアーリ沿いを進んだ。
大統領専用車となったフラミニアのベースモデルは、1957 年のジュネーブモーターショーで発表された2.5リッターV6エンジンを搭載したランチアの高級フラッグシップで1957年から70年までの期間で、延べ1万2633台が製造・販売された。
フランス政府は、1960年に英女王エリザベス2世がイタリアへ訪問するのに合わせ、この頃のイタリアを率いたジョヴァンニ・グロンキ大統領が、特別発注の大統領専用車を複数台発注。
これを受けたピニン ファリーナは1961年、ロングホイールベース化したプレジデント・カブリオレを4台生産した。いずれも政府要人に供用されるための車両独特のダークブルー塗色の7人乗りのパレード仕様のランドーレット( landaulet/前席が屋根付き、後部後席5席のオープントップのボディ架装 )で、黒のコノリーレザー内装とインターホンを持つ。
程なく予定に添って当該の特別車両は政府に納入され、最初に乗車したVIPは、エリザベス女王、続いてアメリカ大統領、フランス大統領、ジョン・F・ケネディ大統領、シャルル・ド・ゴール大統領、その他多くの政治家、国家元首、君主などの著名な人物が乗車した。
現在のステランティスによると「プレジデンシャル・ランチア・フラミニアは、空気力学、持続可能性、ボリュームの流動性からなる流線形の形状により、ブランドの将来の車の新しいデザイン言語である〝ランチア・プーラ〟にもインスピレーションを与えた9 台の車のうちの1台です」と説明している。