
いすゞ自動車の小型トラック向けデュアルクラッチ式9速AMT「ISIM(アイシム)」が、公益財団法人市村清新技術財団が主催する「第57回 市村産業賞」で「貢献賞」を受賞した。いすゞの受賞としは今回が初。
市村産業賞は、優れた国産技術を開発することで産業分野の発展に貢献・功績のあった技術開発者に対して贈呈される技術賞。4月18日(金)に、帝国ホテル東京で贈呈式が行われる。
製品名称のISIM(アイシム)は、Isuzu Smooth Intelligent TransMission の頭文字をとった造語。“シームレスでスムース”“俊敏・知的”といった、いすゞが独自開発したトランスミッションの特徴を表現した。
受賞概要は以下の通り
受賞テーマ:省燃費と運転負担軽減に資する小型商用車用トランスミッション
受賞者:
金子直弘(かねこ なおひろ)
岡本壮史(おかもと たけふみ)
明石浩平(あかし こうへい)
開発の背景:
世界的に脱炭素社会の実現に向けた動きが加速する中、CO2排出の多くを占める商用車は、EVの開発・提供を進めるも、航続距離、車両重量、車両価格などの課題から普及には時間を要する。
そのため、現在主流の動力方式である内燃機関において、従来以上に省燃費でエネルギーロスの少ないパワートレインを搭載した製品の開発、市場提供が求められている。また、物流業界ではeコマース普及による物流量増加に伴う深刻なドライバー不足に直面しており、さらに時間外労働の上限規制(2024年問題)によりリソースが減少し、輸送能力の低下が課題となっている。
そうしたなかでいすゞは、商用車の環境性能とイージードライブ性能をより高いレベルで両立する、小型トラック向けデュアルクラッチ式9速AMT「ISIM」を開発した。独自のギヤトレイン構造を採用することで、一般的な6速トランスミッションと同じ歯車列数で9速を実現。多段化しつつ、従来の6速トランスミッションに比べて全長を17mm短縮し、8kgの軽量化を達成した。
その構造は9速に多段化、ワイドレンジ・クロスレシオ化によりエンジン回転を抑えた省燃費走行が可能として騒音低減にも寄与。これにデュアルクラッチとクロスレシオとの組み合わせてトルク抜けなく適切な駆動力が得られる仕様とし従来の小型トラックにはない運転のしやすさを実現した。
2023年3月にフルモデルチェンジした小型トラック「エルフ」に当該トランスミッションを搭載し、CO2排出量を削減するとともに、イージードライブ性能向上によりドライバーの疲労を軽減。労働環境変化によりドライバー不足の解消にも貢献した。
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