2024問題など物流・商用領域に注力する体制に
日本自動車工業会(自工会)は11月22日、東京都内で記者会見を開き、次期会長に副会長の片山正則いすゞ自動車会長CEO(最高経営責任者)を選んだと発表した。2024年1月に就任し、自工会の新たな役員体制をスタートさせる。(佃モビリティ総研・松下次男)
自工会の豊田章男会長(トヨタ自動車会長)は片山氏を選出した理由について時間外労働の上限規制に伴うドライバー不足など、いわゆる物流・商用領域の2024年問題が喫緊のテーマ―となっていることを背景に掲げた。
これら物流・商用領域の運行管理、エネルギーマネジメントは「皆で取り組む課題」であり、カーボンニュートラルに向け乗用・二輪車領域の解決にもつながるのとした。
自工会会長はこれまでトヨタ、ホンダ、日産自動車の乗用車メーカー大手3社のトップが1期2年交代で務めるのが慣例だった。
ただし、2918年から豊田会長が異例の3期目を務めており、今回、来年5月の任期を待たずにバトンタッチする。1967年の自工会設立以来、商用車メーカーからの会長選出は初めて。
1月から新体制をスタートさせることになったことについては2024年問題への対応など「解決すべき課題にタイミングを合わせた」との判断を示した。そのためのサポート体制など、自工会の組織運営の改革も進んでいると説明した。
自工会のみならず、経団連などへ輪を広げて取り組み議論へ
次期体制の副会長は日髙祥博ヤマハ発動機社長、三部敏宏ホンダ社長、内田誠日産自動車社長、鈴木俊宏スズキ社長、佐藤恒治トヨタ自動車社長、永塚誠一自工会専務理事の6人の現副会長が継続する。
自工会の次期会長に就任する片山氏は「100年に一度という自動車産業の大変革期の真っ只中で、会長職という重責を引き受けることは身が引き締まる思いである」と述べた。
新体制が取り組むべき課題では「自動車産業は新たな課題と変革の時代に立たされている。技術進化や環境変動、市場変動など直面する問題を7つにまとめ、それに向けオール体制で向かう」と強調するとともに、商用領域が当面のペースメーカーになるべきとの議論になり、今回の新体制となった」と話した。
豊田会長が進めてきた自工会の組織・運営改革も効果を見せ始めており、今や「トップだけで、本音で議論する環境が整った」と述べたうえで、さらに改革を推進したいとした。
11月5日に閉幕した初の「ジャパンモビリティショー」(旧東京モーターショー)については来場者数が111万2000人と目標の100万人を超えたことを受け、豊田会長、片山次期会長とも「大成功と言っていい」とアピールした。
次期開催案について片山氏はまだ会長職でないため、個人的見解としたうえで他産業やスタートアップが参加することなどにより活況さに「火が付いた。それだけに2年一度の頻度は少なすぎる気もする」と述べたうえで、「自工会のみならず、経団連などへ輪を広げて取り組みを議論したい」と語った。