出光興産は4月30日、同社社員の舟橋 正和(ふなはし まさかず)氏が、令和6(2024)年春の褒章「紫綬褒章」を受章したことを発表した。
紫綬褒章は、科学技術分野での発明・発見や、学術およびスポーツ・芸術文化分野で優れた業績を挙げた個人に授与されるもの。受章では、高効率かつ長寿命の青色発光技術の発明により、有機EL発光に於いて実用レベルでの三原色発光が可能となり、近年の有機ELフルカラーディスプレイを搭載した高機能機器の実用化に大きく貢献したことが評価されたと云う。
有機EL材料(写真左)と有機EL素子の発光評価(右)。
舟橋氏は、今回の受章について、「近年、拡大している有機ELディスプレイ市場の発展に、本発明により貢献することができ、大変光栄です。栄誉ある紫綬褒章を受章した本発明は、受章者である私以外にも、当社の有機EL材料研究の先駆者である細川地潮(故人)、松浦正英、福岡賢一をはじめ多くの当社社員が関わっており、技術開発の総力を評価いただいたものと考えています。今後も材料メーカーとして、現状の課題に挑戦し続け、有機ELディスプレイがさらに世界に広がることに貢献すべく、有用な材料開発を進めていきます。」と述べている。
<受章内容>
– 業績名:高効率かつ長寿命の青色有機EL発光素子の開発
– 受章者名:舟橋 正和(ふなはし まさかず)
– 業績の概要:
出光興産では1985年より世界に先駆けて有機EL材料の研究開発を開始し、当時、光の三原色である赤・緑・青の内、特に実用化が困難であった青色の発光材料の開発に注力。その結果、フルカラーディスプレイに求められる色純度の高い青色発光と、長寿命化を実現した青色発光技術を開発。2007年販売の世界初の有機ELテレビに採用されるなど、有機ELフルカラーディスプレイの実用化に大いに貢献した。現在は、同技術を含めた応用研究を進め、スマートフォンやテレビなどの様々な製品に同社製の有機EL材料が採用されるに至っている。
出光興産は、世界トップクラスの品質・性能を実現する技術力の下、今後も有機ELディスプレイの発展に貢献する技術・材料を提供していきたいとしている。