ヒョンデ・モーター・カンパニー(Hyundai Motor Company)は5月に米国カリフォルニア州アナハイムのアナハイムコンベンションセンターで開かれた北米最大の先端輸送技術とクリーンフリートのイベント「アドバンス・クリーン・トランスメーションエキスポ(Advanced Clean Transportation Expo/ACT Expo)」で当地の商用車(CV)市場向けに燃料電池市販電気モデル(クラス8、6×4)の新型XCIENT Fuel Cellトラクターを初公開したことを5月29日に日本の報道陣に向けて発表した。
当日の記者会見では、HMA取締役副社長兼グローバル商用車・水素燃料電池事業責任者のケン・ラミレス氏が、「Progress for Humanity」(人類のための進歩)という同社のビジョンを掲げ、これを実現するためにはカーボンニュートラルの達成が如何に重要であるかを強調した。
また同氏は「私たちは、持続可能な社会の基盤となるエミッションフリーのモビリティと共に〝Progress for Humanity(人類のための進歩)〟という我々のビジョンを実現するためには、水素が最も強力で実際的なソリューションの一つであると固く信じています。
そんな業界のパイオニアである当社の水素燃料電池技術は、高い効率と耐久性が実証されています。これらのメリットを活かして、商用車や船舶、さらにはエアモビリティなど、幅広いモビリティ用途に於いて、水素エネルギーによる輸送の更なる変革を目指します。
また当社はモビリティだけでなく、水素の製造から貯蔵、輸送、配送までの統合された水素エコシステムも視野に入れています。
当社はバリューチェーン全体でシームレスなソリューションを提供できるユニークな立場にあります」と自社の水素エコシステムを推し進める意欲を示した。
加えてヒョンデ専務兼商用車ビジネスイノベーション責任者のマーク・フライミューラー氏は「私たちは、長年に亘り各地域で水素バリューチェーンを拡大して来ました。
従って、その取り組みトラックの開発・製造だけに留まらず、水素燃料の補給やトラックのメンテナンスなどの分野も含めて広域に及んでいます。
従って、ここ米国でもこれまで同様の取り組みを計画し、それぞれのお客様に最適な水素バリューチェーンのシナリオを提供する予定です」と水素バリューチェーンを形成する姿勢と地域パートナーシップの拡がりを強調した。
そのためにヒョンデは、ジョージア州に建設中のHyundai Motor Group Metaplant America(HMGMA)電気自動車専用工場について、年間最大30万台のEVの生産が可能であることなど、施設の概要を来場者に訴求した。
なお生産される車両についてヒョンデ取締役副社長兼商用車開発責任者のマーティン・ツァイリンガー氏は「2020年に初めて発売されたXCIENT Fuel Cellは、スイス、ドイツ、イスラエル、韓国、ニュージーランドの5カ国で展開されており、これまでに400万マイル以上の走行を重ねてきました。
これは、実際の使用実績と技術的信頼性を備えた唯一の大型燃料電池電気モデルです。展示されているモデルは、2つの90kW水素燃料電池システム(合計出力180kW)と350kWの電気モーターを搭載した6×4トラクターで、総重量は最大82,000ポンドで、フル積載時でも1回の充電で450マイル以上の航続距離を提供します。
なお同車に当社グループの水素エネルギー専門事業ブランドであるHTWOが提供する世界最高水準の水素燃料電池システムを搭載しています。また水素事業には、エアモビリティ、自動車、船舶、鉄道などのさまざまな形態のモビリティと、定置発電にも応用することが含まれます。
そもそも当社は20年以上前から水素に着目してきた歴史があります。その先進的な燃料電池技術は、さまざまな用途、特に商用車分野で既に使用されています」と自社の水素システムの信頼性の高さを述べて締め括った。