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2025年2月19日【CASE】

ホンダ、次世代燃料電池モジュールの仕様等を世界初公開

坂上 賢治

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現行モデル比でコストを半減、耐久性2倍以上、容積出力密度3倍以上に

 

本田技研工業は、2月19日から東京ビッグサイトで開催されている「H2 & FC EXPO【春】~第23回 水素・燃料電池展~」に出展し、2027年度に量産開始予定の次世代燃料電池モジュール、ならびに2026年に生産開始予定の燃料電池定置電源について、それぞれ仕様およびスペックを世界初公開した。

 

今回公開した次世代燃料電池モジュールは、ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発した現行モデルの次世代となるモデルで、Hondaが独自に開発した燃料電池モジュールとなる。

 

定格出力150 kWを実現するほか、現行モデルに対して製造コストを半減し、耐久性を2倍以上に向上させた。また容積出力密度(単位容積あたりから出力できる電気エネルギー)を3倍以上に高めて小型化を実現したことで、搭載レイアウトの自由度も向上させている。

 

同社は、次世代燃料電池モジュールの搭載・適用ドメインや販売地域を拡大していくことで、持続可能なエネルギー社会の実現へのさらなる貢献を目指していくと述べている。

次世代燃料電池モジュール モックアップ

 

従来の燃料電池モジュールからの進化

※CLARITY FUEL CELL搭載モデル:2016年に発売し、2019年に製造を終了した初代燃料電池モジュール
※CR-V搭載モデル:2024年にGMと共同開発し、燃料電池自動車「CR-V e:FCEV」に搭載する現行モデル

 

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次世代燃料電池モジュール諸元 ※開発目標値

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最大出力(Net):150 kW
出力電圧:450 – 850 V
最大効率(Net):59.8 %
FC冷媒:Honda FCM専用冷媒
水素ガス組成:ISO14687に準じる
供給低電圧:DC24V
モジュール寸法:W730 × D580 × H700 mm
容積・容積出力密度:300 L ・ 0.50 kW/L
重量・重量出力密度:250 kg ・ 0.60 kW/kg
環境温度:-30℃ – +60℃
保管温度:-40℃ – +60℃
最大標高:3,500 m
保護等級:IP67相当
CAN通信規格:ISO11898
通信プロトコル:SAE J1939 / Honda Hi-Speed CAN (選択可能)
通信速度:500 kbps

 

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燃料電池定置電源

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燃料電池定置電源は、2026年に生産開始を予定している燃料電池定置電源は、Hondaの燃料電池自動車「CR-V e:FCEV」にも搭載されている燃料電池を活用し、工場や事業所などの大型施設向けに水素由来のクリーンな電力を供給する定置型蓄電システム。

 

冷却システムや内部レイアウトの設計を最適化することでコンパクトなサイズを実現し設置環境に柔軟に対応する。また信頼性の高いバックアップ電力を迅速に提供するために、起動から10秒以内に電力の供給を開始する高い応答性を目指す。

 

同社では、本製品を通じてお客様の多様な電力ニーズに対応する電力を供給することはもちろん、製品の導入からアフターサービスまで幅広い支援を行い、お客様の脱炭素化に貢献していくと話している。

 

燃料電池定置電源 モックアップ

 

燃料電池定置電源 システム諸元

 

仕様用途:非常用定置電源
出力帯
:250kWユニットをベースに4ユニット(1,000KW)まで連結可能
:4ユニット(1,000kW)をベースに並列設置が可能
定格電圧:AC 200 – 480V 3相4線式
準拠規格:ANSI/CSA FC1 / IEC 62282-3-100
始動時間:10秒以内
動作環境:温度:-25°C – +45°C/高度:最大許容高度 2,000 m / 性能保証 1,000 m
騒音レベル:76dBA(@7m)以下
排気:ゼロエミッション(CO2 、NOxなし)

※記載の情報は、待機運転条件下で動作する標準製品においての仕様・数値。なお仕様は予告なく変更されることがある。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。