本田技研工業傘下の英国現地法人ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドは、11月7日(現地時間)、イタリア・ミラノで開催されるEICMA 2023(ミラノショー、プレスデー:11月7~8日、一般公開:11月9~12日)に出展するヨーロッパ向け2024年モデルで以下の二輪車ラインアップを発表した。
CB1000 HORNET
CB1000 HORNETは、2017年型CBR1000RRに搭載された直列4気筒エンジンを最適化し、110kWを超える出力と、100Nmを超えるトルクを発揮するエンジンを搭載。
車体には、新開発のスチール製ツイン・スパー・フレームを採用し、フロントには圧縮・伸側ともに調整可能なショーワ(日立Astemo株式会社)製41mmセパレート・ファンクション・フォーク・ビッグ・ピストン(SFF-BP)倒立サスペンションと、ショーワ製ユニットプロリンク・リアショックを組み合わせた。
スタイリングでは、超小型デュアルLEDプロジェクターヘッドライトを採用。HORNETの特徴である燃料タンクは、フロントは幅が広く、リアは細く絞り込まれ、また小さなシートにより特有の細さを表現している。新しいフレームはブラックカラーで統一された。
なおスロットル・バイ・ワイヤー(TBW)による電子制御を搭載したのに加え、ライダーは5インチTFTカラーディスプレイに表示される3つのライディング・モードを選択できる。
CB500 HORNET
CB500 HORNETは、HORNETシリーズからインスパイアされたアグレッシブなスタイリングと、HORNETの名にふさわしい象徴的なエアロダイナミクス性能を備えている。
カウリングには、燃料タンク上部へ空気を流すヘッドライト・サイド・ダクトが組み込まれ、リニアなステアリングフィールとハンドリングの俊敏性に貢献。また視認性を向上させるため、よりワイドに光を照射するLEDを採用した。
471ccエンジンのパワーとトルクは、最大出力35kW、最大トルク43Nmを実現します。またフューエル・インジェクションのセッティングを変更することで、低回転域からの加速フィーリングを向上させ、Hondaセレクタブル・トルク・コントロール(HSTC)を採用することで安心感を高めた。
車体には、41mm径のショーワ製SFF-BP 倒立フォーク、ショーワ製リアショック、4ピストンキャリパー付きフロントデュアルディスクを採用。また新しい5インチTFTスクリーンは、車両とスマートフォンを連携することで、ハンドルスイッチ及び音声入力により音楽再生や通話などの操作を可能とするHonda RoadSync(ホンダ・ロードシンク)に対応している。
CBR600RR
CBR600RRは、前モデルから大幅に改良された、最高出力89kW/14,250rpm、最大トルク63Nm/11,500rpmのエンジンを搭載した。
アルミ製スイングアーム付きツインスパー・アルミフレーム、41mm径のショーワ製SFF-BP 倒立フォーク、ショーワ製ユニットプロリンク・リアショック、ウイングレットを装備したカウリングにより、敏捷な旋回性と優れた安定感を両立したハンドリングを実現。
加えて同車は、CBR1000RR-R FIREBLADE譲りの6軸慣性計測ユニット(IMU)を採用。TBW制御、5つのライディング・モード、コーナリングABS、9レベルのHSTC、ウイリー・コントロール、リア・リフト・コントロール、エマージェンシー・ストップ・シグナルを装備。電子制御ステアリングダンパー、アシスト/スリッパークラッチ、クイックシフターも標準装備した。
NX500
ニュー・クロスオーバーのNX500は、ワインディングロードからグラベルトレイル、長距離アドベンチャーまで、多様なシーンで楽しめるように設計され、従来のCB500Xをベースに、新たなスタイリングとさまざまな仕様・性能のアップグレードを採用している。
車体では、1.5kg軽量化した新しい5スポークアルミキャストホイールの採用で、合計3kg減の196kgになった車両重量に加え、41mm径のショーワ製SFF-BP倒立フォークのスプリングレートとダンピングの見直した結果、ハンドリングダイナミクスとフィーリングが向上している。
また新しいフューエル・インジェクションの設定により鋭い加速も実現させている。更に5インチTFTスクリーン、Honda RoadSync、HSTCを採用。スタイリングは、新型ヘッドライトを中心に一新。フロントからリアまで新しい樹脂材を採用したことでコンパクトなアドベンチャースタイルの使い勝手と堂々としたシルエットに、ソリッドなフォルムをミックスさせている。
CBR500R
CBR500Rのスタイリングは、CBR1000RR-R FIREBLADEにインスパイアされ、ヘッドライトとテールランプを一新。またボディーワークもウイングレット搭載によってフロントエンドのフィーリングを高めた。
パワーユニットは新しいフューエル・インジェクションのセッティングにより、低回転域の加速を向上させている。また5インチのフルカラーTFTスクリーンは、Honda RoadSyncのインターフェースとしても機能する。
CB650R(上段)/CBR650R(下段)
ネオスポーツ・カフェのCB650Rの外観は、しなやかで、よりダイナミックさを強めたキャラクターとなった。例えばフロントのシャープなアングルの新型LEDヘッドライトは、ラジエーターシュラウドを通してリアのテールランプを組み込んだシャープなリアカウリングへと流れる。
併せてデュアルLEDヘッドライトのデザインを変更し上下カウリングを一新。再設計されたテールユニットと共にピュア・スポーツらしくスリムながら筋肉質なたたずまいとした。
なおCB650R/CBR650Rともに、Honda RoadSyncの接続を可能にした、5インチフルカラーTFTスクリーンを採用している。
加えてCB650RとCBR650Rには、Hondaが開発した世界初の二輪車用有段式マニュアルトランスミッションのクラッチコントロールを自動制御するHonda E-Clutchを採用した。
CBR650RのE-Clutch搭載車は、ライダーのクラッチレバー操作なしでアップ・ダウンシフトが可能。ライダーは、シフトペダルを操作するだけで、クイックシフターのように素早く確実にギアシフトすることができる。
またハーフクラッチ、燃料噴射カット、イグニッション・コントロールを調和させた組み合わせで制御するため、シフトショックを排除してスムーズな走りを可能とした。
従って発進時や停止時にもクラッチ操作が不要となる。Honda E-Clutchは、エンジン始動と同時に作動し、発進・停止をスムーズにこなし、またライダーが望めば、クラッチレバーを通常通り操作することも可能としている。
CBR1000RR-R FIREBLADE/FIREBLADE SP
2024年モデルのCBR1000RR FIREBLADEとそのSPバージョンは、エンジンとギアボックスの改良により、中速域の性能を大幅に向上させ、スロットルレスポンスを改善させた。
CBR1000RR-R FIREBLADE SPの113Nmのトルクと160kWの出力は、HRCの開発力とノウハウにより、トップエンドのパワーと同時にコーナー出口での加速を生み出すべく、より低いギア比とプライマリドライブを大幅変更した。
更に新しいウイングレットを備えたミドルカウリングのデザイン、軽量でしなやかなフレームも採用している。2モーターのスロットル・バイ・ワイヤー(TBW)の採用により、ハーフ・スロットル制御が向上し、エンジンブレーキの増幅も可能になった。
クランクケース、クランクシャフト、コンロッドの軽量化、バルブタイミングの変更、圧縮比の向上により、CBR1000RR-R FIREBLADE SPは、すべての燃焼サイクルにおいて、より高いパフォーマンスを引き出せる。また標準装備のAKRAPOVIĆ(アクラポヴィッチ)製マフラーにも変更を加え、排気音量を5dB低減させた。
加えてオーリンズ製第3世代の新型スマートエレクトロニック43mm S-EC3.0(SV)NPX USDフォークを採用。インストルメントパネルを介して、ライダーが自身の車両をセットアップするために開発された「デジタル・スプリング・プリロード・ガイド」も特長のひとつだ。新しいブレンボ製スタイルマR4ピストンラジアルマウントブレーキキャリパーは、一貫して高いブレーキ性能を発揮する。
CRF1100L Africa Twin/Africa Twin Adventure Sports
CRF1100L Africa Twin/Africa Twin Adventure Sportsは、両モデルともに圧縮比、バルブタイミング、吸気ポート、ECUセッティングの変更により、最大トルクが7%向上(従来よりも750rpm低い回転域で発生)。
デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)は、新しいエンジン性能に合わせて、ダウンシフトが早まり、コーナリング検出性能が向上、発進および1−2速間のシフトがより自然になるなどの改良も施した。なお足まわりではチューブレスタイヤが採用されている。
大型で5段階の調整が可能なスクリーンも追加、CRF1100L Africa Twinには、6.5インチタッチスクリーンディスプレイを介してリアスプリングプリロードを変更できる他、あらゆるライディングコンディションで最適な減衰力を提供するショーワ製電子制御式ライドアジャストメント(Showa EERA™)を初めてオプション設定した。
CRF1100L Africa Twin Adventure Sportsのオンロード走行性能は、新しい19インチフロントホイールとワイドなフロントタイヤによって向上。広くなったフロントカウリングと大型スクリーンでライダーへの走行風などの影響をより効率的に軽減するだけでなく、シートにより厚いパッド採用することで、より高い快適性を実現した。
SC e: Concept
SC e: Conceptは、2023年に登場した電動二輪車「EM1 e:」に続く、欧州向け電動二輪車の第2弾のコンセプトモデル。
モダンで特徴的なデザインライン、大型フラットフロア、ロングワイドシートが特徴。交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を2個搭載することで、より長い航続距離を実現している。
なおEICMA2023に出展した下記モデルは、日本での販売を予定している。
・CB1000 HORNET
・CBR600RR
・NX500(日本ではNX400として販売予定)
・CBR500R(日本ではCBR400Rとして販売予定)
・CB650R、CBR650R
・CBR1000RR-R FIREBLADE、CBR1000RR-R FIREBLADE SP
・CRF1100L Africa Twin、CRF1100L Africa Twin Adventure Sports