ダカールラリー2023参戦車両 HINO600 Series( ハイブリッドトラック )
商用車向け駆動ソリューションのサプライヤー、米アリソントランスミッション傘下のアリソンジャパンは2月22日、ダカール・ラリー2023のトラック部門に参戦する日野チームスガワラに、自社のトランスミッション「アリソン3000シリーズ」を提供。その車両( HINO600Series / ハイブリッドトラック )を駆る菅原 照仁 / 染宮 弘和 / 望月 裕司組が総合10位入賞を果たしたと発表した。
今年のダカールラリーは、2022年12月31日にサウジアラビアの北西海岸部であるシーキャンプをスタート。内陸部を横断しながら1月15日に東海岸のダンマーム迄の総距離8,549キロメートルを走破した。
途中、今大会最大の難所とされていたエンプティークオーターと呼ぶサウジアラビア南東部のルブアルハリ砂漠では、繰り返し現れる高低差の大きな砂丘に立ち向かう過酷な戦いとなった。
こうした砂漠に於ける柔らかい砂地は、新雪のような柔らかさで横転に気をつけながら走行しなくてはならず、車両とドライバーの双方に非常に高い技術力を求められる。そうした難所を筆頭に様々な難しいコース設定。更に豪雨に見舞われるなど、これま経験した事のないレースに挑んだ。
日野チームスガワラの代表兼ドライバーである菅原照仁選手は、「年々、参戦車の技術力の向上に伴い、コース設定も難しさを増しています。
日野チームスガワラ( 菅原 照仁 / 染宮 弘和 / 望月 裕司組 )
今年設定された未踏の地であるエンプティークオーターは過去に経験したことのない過酷さでした。次々に現れる砂丘はうねりが大きく、加えて砂が非常に柔らかいため、走行にとても神経を使いました。
クイックサポート車両を含む55台の参戦車のほとんどが大排気量エンジンを搭載する中、我々のトラックは10L未満のエンジンと非常に小さく、唯一の小排気量エンジンでした。
前大会から地球温暖化および気候変動による環境負荷の軽減を目的としたVISION2030に参画するため、小排気量エンジンのパワーを補完する目的でハイブリッド車に移行したことで、コーナーリングなど減速のたびにバッテリーにチャージされ、加速時にモーターがアシストすることで加速力をアップさせ難所を乗り越えました。
マニュアル車では傾斜した砂丘を駆け上る際に変速した場合、トルク抜けしてしまい車両がスタックや横転する危険性が増えますが、アリソン製ATでは変速時のトルクの抜けが発生しないため、シームレスなシフトチェンジが可能となり、全体的なタイムアップにつながっていると感じています。
今回、稀に見る豪雨によって砂丘が泥地化したところが多々あり、重い路面で走りづらい中、乗務員はシフトチェンジを気にすることなくアクセルレーションできたため身体的な負担軽減もできました。また過酷な環境下でもレース全体を通して、ATFの冷却性能が安定しており、安心して走行することができました」と語った。
アリソン3000シリーズ( TM )
一方アリソントランスミッションは、「HINO600Seriesに搭載されているA09Cエンジンは排気量が8,866ccで、アリソンのトルクコンバーター付きオートマチックトランスミッションによってトルクを増幅し、Continuous Power Technologyがシームレスなシフトチェンジを実現します。
アリソン製ATを採用することで、路面の変化に瞬時に対応しなくてはいけない時もステアリングを両手でしっかり操作できるメリットだけでなく、タイムを競う中で間断のない動力伝達が参戦チームにとって大きなメリットとなります。
ダカールラリー2023のトラック部門では、55台の出場車のうちトップ10の全ての参戦車にアリソン4000シリーズまたは3000シリーズが搭載され、優勝したチーム・デルーイもアリソン4000シリーズを採用しました。
アリソンのフルオートマチックトランスミッションは、厳しい環境下でも耐久性、堅牢性を確保しながら優れた走破性が実現できるよう、長年技術開発を進めており、現在、防衛車両や南極観測車、雪上車など幅広い分野で採用され、世界中で活躍しています」と話している。