NEXT MOBILITY

MENU

2023年1月6日【イベント】

GM、F1参戦に向けてチームを結成

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

GM傘下のキャデラック・ブランド、アンドレッティと英国へ新拠点

 

ゼネラルモーターズ( GM )とアンドレッティ・グローバルは米時間の1月5日、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権( F1 )への参戦を目指す事を発表した。( 坂上 賢治 )

 

GMはキャデラック・ブランドとしてF1に参戦。双方が結成するアンドレッティ・キャデラックチームは米国を拠点にしつつも、欧州が中核となるフォーミュラ・ワンの体制に倣い、英国にサポート施設を設置する予定。

 

 

アンドレッティ・グローバルは、アンドレッティ・オートスポーツやアンドレッティ・キャデラック・レーシングなどを展開するアンドレッティ・レーシング・ベンチャーの親会社であり、GMとアンドレッティ・グローバルは、共に自動車産業と、インディ・カーシリーズを筆頭とするモータースポーツ分野で米国当地に於ける2大勢力でもある。

 

今回の両者が手を携えたF1参戦により、これまでのレースシーンでの実力と実績を、国際舞台へと広げる事になる。加えて近年、F1は米国に於いても人気が高まっており、2023年にはオースティン、マイアミ、ラスベガスでレースが開催される予定だ。

 

アンドレッティ・キャデラックチームは、今回の表明を受けてFIAが受理に向けて正式な手続きを開始する姿勢を示した際に、自らの関心表明書を提出する心積もりであるという。

 

加えてチームとして選出され次第、少なくとも1名のアメリカ人ドライバーを起用し、可能な限り早い段階での参戦を果たしたい意向だ。

 

 

ただ実際には、世界的な地球環境保全の流れを踏まえ、世界モータースポーツ評議会( WMSC )が規定する2026年以降の新たなF1パワーユニット・レギュレーションが、実際にF1パドックに於いて走り始めて以降に参入となるだろう。

 

 

なお新たな車両レギュレーションで、PU(パワーユニット)に関して現段階で判っている範囲では、MGU-Hの廃止に伴い、エネルギー回生システム( ERS )による出力を、現行の約3倍( 120kW )に相当する350kW( 約476馬力 )へと引き上げる。

 

またICE( 内燃エンジン )は1.6リッターV6のレイアウトはそのままに回転数制限は維持される。その一方で燃料流量は削減される。ただ技術の進化は進むため、PU全体の出力は1000馬力を超える見込みだ。

 

 

米国に於けるGMは、キャデラックVシリーズ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権、ピレリ・ワールド・チャレンジなどで成功を収めてきた実績がある。

 

2017年以降、キャデラックはIMSAで米レースの最前線で戦い、勝利の実績を積み重ねてきた。これを糧にキャデラックは、新型ハイブリッド車「キャデラックV-LMDh」でスポーツカーレースを継続しつつ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とFIA世界耐久選手権に参戦する予定となっている。

 

 

これらF1を含むレース参戦計画についてゼネラルモーターズ社長のマーク・ロイス氏は「ゼネラルモーターズは、レース界に於けるこの歴史的な瞬間に、アンドレッティ・グローバルとチームを組める事を光栄に思っています。

 

私たちは、モータースポーツとエンジニアリングの革新に於いて長く豊かな歴史を持っており、アンドレッティ・グローバルと組んでアメリカのF1チームを結成する事で、シリーズとスポーツに対する世界的な関心を更に高める事が出来ると思うと胸が高鳴ります。

 

キャデラックとF1は共にグローバルな魅力を高めています。私たちのブランドは、100年以上にわたるモータースポーツの血統を継承し、独自のアメリカらしいイノベーションとデザインをF1にもたらす機会を得た事を誇りに思います」と述べている。

 

 

一方、アンドレッティ・グローバル会長兼CEOのマイケル・アンドレッティ氏は「私たちは、アンドレッティ・グローバルとそのレーシングチーム・ファミリーを成長させると共に、常に次の展開を視野に入れています。

 

私たちはF1の新チームとして相応しく、シリーズとパートナーに価値をもたらし、ファンに興奮を与える事が出来ると強く感じています。この目標を達成するために、GMとキャデラックが、私たちと共にいる事を誇りに思います。

 

GMとアンドレッティは、レースへの愛から生まれた伝統を共有しています。私たちは今、モータースポーツへの情熱と革新への献身を結集し、真のアメリカのF1チームを構築する機会を得たのです。

 

FIAの評価プロセスに於いて我々は、FIAが提示した手順とステップに引き続き従っていきます。その一方で、私達は、アンドレッティ・キャデラックのF1参戦が正式に承認されるという幸運に恵まれた場合に備えて、前向きな準備を続けていきます」と結んでいる。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。