IAA MOBILITY2023は7月13日に記者会見を開き、過去最高の参加企業数が集結して9月5日から10日までの6日間に亘って開かれる内容について発表した。
同ショーはミュンヘンに於ける開催2回目を迎え、コンベンションセンターでは500を超える国際企業などがモビリティの未来を示しつつ、併せてミュンヘンのダウンタウンにあるIAAオープン・スペースでは、モビリティ分野の利害関係者、意思決定者、先見者が集まる業界会議も開かれるなど、モビリティ・持続可能性・テクノロジーをテーマに世界をリードする内容になると謳っている。
なお今年の世界新エネルギー車会議(WNEVC)は9月6日に、IAA MOBILITY開催期間中に開催され、同会議は初めて中国を離れる事になった。
ショルツ首相がIAA MOBILITY2023の9月開幕を宣言
独オラフ・ショルツ首相は、バイエルン州首長のマルクス・セーダー氏、ミュンヘン市長のディーター・ライター氏と共に「IAAサミット期間中の9月5日、ミュンヘン・コンベンションセンターでIAA MOBILITY2023が開幕します。
ここで翻ると今日のモビリティ業界は、未来を迎えるための新たな指針を必要としています。そのひとつは、既に合意に達した国際協調に沿って定められた期限内に脱炭素化が実現出来るよう世界の自動車産業が協力していかなければなりません。
しかしこの変革を実現するためには、各国地域に於ける固い意志が必要です。そのためには世界のモビリティの専門家と主要な意思決定者が集まり、絶えず変化する同市場に於ける当該産業界の可能性について話し合うべきであり、ここミュンヘンで開かれる国際会議と併せた一大イベントが、来たる9月に開かれる事を非常に楽しみにしています」との開催発表に係る祝辞を述べた。
記者会見に壇上したヒルデガルト・ミュラーVDA(ドイツ自動車工業会/Verband der Automobilindustrie)会長は、「IAA MOBILITYでは、世界のモビリティ産業がミュンヘンに集います。この舞台で私たちは、未来のモビリティがもたらす新たな生活環境・新たな体験価値・新たなビジネス像を提案致します。
今年のIAA MOBILITYでは、これらを総称する「Experience Connected Mobility」をスローガンに、未来のモビリティの姿をご提案します。その鍵は持続可能性とデジタル化の組み合わせにあり、モビリティの世界の多様性に光を当て全ての関係者に対話を促すことを目指しています。
今後も自動車は将来のモビリティの世界で重要なコンポーネントとなると考えられますが、それはモビリティの社会に於ける多くの側面のうちの1つに過ぎません。IAA MOBILITYでは、モビリティの未来を革新します。
我々は単一の交通手段だけに取り組むのではなく、モビリティ環境を相互にリンクさせ、人々を社会の中核に据える〝誰もがまだ見ぬ新たなソリューション〟をお示しすることを目指します」と語った。
続いて登壇したメッセ・ミュンヘンのディレクターを務めるシュテファン・ルンメル氏とラインハルト・ファイファー博士は「ミュンヘンのIAA MOBILITYは、見本市会場だけでなく、近隣周辺の公共の場で行われる議論や意見交換の場もオープンになります。
従って路上でも、イングリッシュ・ガーデンの自転車テストコースでも、様々な姿のモビリティが展示されます。 私たちはIAA MOBILITYを訪れる全ての来訪者にエキサイティングな体験価値を提供し、人々にモビリティに係る多様な思索を促すべく、開催パートナーのVDAと緊密に協力していきます」と話している。
アジアからの参加が全体の4割を占め、中国企業数は2倍増に
なおショーでは主要な自動車企業のBMW、BYD、Lucid、Mercedes、Opel、Renault、Rimac、Vinfast、VW、Bosch、Continentalなど多くの企業が出席。
AWS、Horizon Robotics、IBM、JP モルガン、LG、サムスン、クアルコム、その他多くのテクノロジー企業の参加は、同分野に於けるデジタル化の重要性を示唆するものとなっている。
バッテリー技術も、B2B環境で重要な役割を果たす分野であり、CATL、CHARGE-V、ChargeX、Digital Charging Solutions、EKPO Fuel Cell Technologies、EnBW、e-mobileio、Farasis Energy Europe、Gaius などの多数の企業が参加する。
加えて自転車およびマイクロモビリティ分野からも幅広い新しいプレゼンターが参加。スペシャライズド、CaGo Bike、Rise & Müller、Mubea U-Mobility、MyStromer、Black Tea Motorbikes、RKS Motor などがプレゼンテーションを行う予定だ。
なお国際会議に於ける海外参加者数は、2021年の33%から今年は50%へと17%増加した。その内容はドイツ国内の大手企業に加え、BYD、Google、LG、Samsung など世界中の多くの有名企業が参加する。
同時に、IAA MOBILITY にデビューする企業の数も拡大。そうした海外勢では、中国、米国、オーストリア、韓国、フランスが最多国となるとした。
これに沿って参加国の数も増加し、シンガポール、コソボ、タイ、ハンガリー、ブルガリア、セルビアが初参加する。ちなみに国際ドイツ協力機構(GIZ)とVDAが資金提供する「ウクライナ自動車クラスター」もIAAサミットに参加する予定。アジアからの参加者については全体の41% を占め、なかでも中国企業数は2倍以上に増加した。
最後にIAA MOBILITY2023では、イベントの開催方法が一部変更された。IAA MOBILITYのオープンスペースは、9月5日から10日まで市内中心部全体を一般来場者全員に対して公開される。これによりミュンヘン市内の様々なエリアがインタラクティブな公共スペースとして無料でアクセス出来るようになる。
これらのオープンスペースは、持続可能なモビリティ提案の場、企業・団体・消費者とのディスカッションの場、様々な体験価値に出逢えるテストトラックの場として文化の交流、食事の機会、ライブエンターテイメントなどがひとつになったイベントとなる。