フェラーリは6月11日、仏 ル・マン市のサルト・サーキット( Le circuit des 24 heures du Mans / 常設コースと公道区間を組み合わせた13.626kmの複合コース )で開催されたル・マン 24時間レース( 24Heures du Mans )の決勝に於いて、〝Ferrari 499P〟の51号車(アレッサンドロ・ピエール・グイディ選手、ジェームス・カラド選手、アントニオ・ジョビナッツィ選手)が342周を走破。追い縋るトヨタ勢( TOYOTA GAZOO Racing )の〝GR010 HYBRID〟8号車を下し、開催100周年目の記念すべき同レースを制した。( 坂上 賢治 )
この勝利によりフェラーリは、1949年、1954年、1958年、1960年から1965年に記録されたものと合わせて、ル・マン24時間レース史上10回目の総合優勝を獲得したことになる。ちなみにフェラーリ自身によると、耐久レースに係る実績としては、クラス優勝29回を含む39回の勝利を獲得したことになるという。
そんなフェラーリが、久方振りにル・マン24時間を含む世界耐久シリーズへの復帰を果たしたのは今年度から。
従ってフェラーリ-AFコルセ チームは、復帰1年目で世界で最も有名な耐久レースで勝利を収めたのみならず、半世紀を経て世界耐久レースシリーズのトップカテゴリへ復帰したことを強く印象付けた。
また同一チームとして出走したFerrari 499Pの50号車( アントニオ・フオコ選手、ミゲル・モリーナ選手、ニクラス・ニールセン選手 )は夜間中のトラブルによる修理で、表彰台争いから敢えなく脱落。レース復帰後、順位を戻しつつ5位でフィニッシュした。
上記の結果によってフェラーリは、2023年FIA世界耐久選手権第4戦終了段階に於いてマニュファクチャラーズランキングで2位を維持。トヨタとの差を19ポイントにまで縮めた。
なお決勝に臨む予選前の段階で、当初は予定外だった性能調整が行なわれたことでFerrari 499Pは24kg、GR010 HYBRIDは37kg、車両最低重量が引き上げられた。その後に臨んだ予選に於いて、トヨタ陣営内でトップタイムを記録した8号車でさえ3番手に沈み、フェラーリ勢の2台がトヨタと同じハイパーカー・カテゴリでフロントロウを独占した。
決勝開始直後はトヨタ勢が一旦、優位に立ったものの、今回はスピードに勝るフェラーリも猛烈に追い上げてレース終盤に首位に立った。
これに対してトヨタ勢は、序盤の段階で7号車が追突のダメージを受けてリタイア。残る8号車がフェラーリ(Ferrari 499P)の51号車を追う展開となった。
中盤以降でGR010 HYBRIDの8号車も、Ferrari 499Pの51号車から15秒程度の差にまで追い上げたのだがクラッシュに伴うピット修復で3分以上の差に拡大。その後、懸命に追い上げたが、惜しくも届く事なく2位でゴールラインを潜った。
これによって当初、トヨタ勢が目標としていた6連覇の夢は潰えることとなった。3位にはキャデラック・レーシングの2号車が入り、ポデュウムはイタリア、日本、米国の各チームが分ける結果となっている。