三菱重工傘下の三菱重工サーマルシステムズは1月30日、いすゞ自動車の電動トラックに自社の電動式輸送用冷凍ユニットを組み合わせた製品で資源エネルギー庁長官賞を受賞した。
より具体的には、いすゞ「エルフEV」に電動式輸送用冷凍ユニット「TEJ35AM」を搭載した電動冷凍冷蔵車「エルフEV+TEJ35AM」で、一般財団法人省エネルギーセンター主催・経済産業省後援による2024年度(令和6年度)省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門に於ける「資源エネルギー庁長官賞(輸送分野)」のいすゞ自動車との共同受賞という栄冠に輝いたもの。
これはEVと電動式輸送用冷凍ユニットが同一バッテリーの電力を分け合うことでトラック定温輸送での庫内温度維持ならびにCO2削減と省エネを両立できる点が高く評価されたもので、1月29日に都内で表彰式が執り行われた。
省エネ大賞自体は事業者や事業場などに於いて、他社の模範となる優れた省エネの取り組みや、省エネ性に優れた製品・ビジネスモデルを表彰するもので、その目的は日本全体の省エネ意識の拡大、省エネ製品の普及による省エネ型社会の構築に寄与することを目的としている。
三菱重工サーマルシステムズは、輸送用冷凍ユニットでは2019年度にも電動式「TE20/30シリーズ(プラグインハイブリッド輸送用冷凍ユニット)」が、同じく資源エネルギー庁長官賞(輸送分野)を受賞している。
電動冷凍冷蔵車「エルフEV+TEJ35AM」
電動式輸送用冷凍ユニット「TEJ35AM」
エルフEV+TEJ35AMでは、エルフEVとTEJ35AMの協調制御によって、荷室の温度管理を優先する電力制御を実現した。同車載のTEJ35AMは、運転開始直後には最大能力で素早い温度調整を実施し、目標温度到達後には高効率運転を実施。これにより限られた電力で無駄のない運転を実現する。
更にエルフEV+TEJ35AMは、従来の冷凍冷蔵車対比で年間平均エネルギー消費を21.3%、年間平均CO2排出量を46.1%、年間エネルギー費用を42.2%それぞれ削減することにより、脱炭素推進、エネルギー費用削減に寄与する。
TEJ35AMは、EV専用のヒートポンプ加温機能付き電動式輸送用冷凍ユニットとして2023年に発売。大気中の熱を利用して加温運転を行うヒートポンプシステムの採用で加温運転と冷却運転を同時に行えるため、外気温が低い時には加温運転で積荷の凍結を防止し、逆に高い時には冷却運転で食品などの品質劣化を防止できる。
また、荷物の量や中身に応じて適切な温度を複数設定できるマルチシステムにより、コンビニエンスストアなどの複数温度製品の同時輸送といった多様な輸送形態への対応も可能。更に走行中、停止中、充電中のいずれの状況でも冷凍機を運転可能であることから、安定した輸送庫内温度を常に維持し安全な食品輸送を実現する。
またEVの状態(走行時、駐停車時、充電時)に関係なく輸送用冷凍ユニットを運転できるので安定した庫内温度維持ができ、ドライバーが荷室温度やバッテリー残量を確認する負担を軽減する。
電動式輸送用冷凍ユニット「TEJ35AM」
https://www.mhi.com/jp/news/23033002.html
TE20/30シリーズでの「資源エネルギー庁長官賞(輸送分野)」の受賞
https://www.mhi.com/jp/news/200129.html