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2023年3月27日【イベント】

MotoGP緒戦ポルトガル、ドゥカティのバニャイヤが制する

坂上 賢治

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2023年のFIM( 国際モーターサイクリズム連盟 )ロードレース世界選手権・開幕の第1戦ポルトガルGP( 開催地:アルガルヴェ地方ファロ県ポルティマン、開催期間:3月24~26日 )のMotoGPクラス決勝レースが3月26日に1周4.684kmのアウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェを25周する規定で行われた。( 坂上 賢治 )

 

同決勝レースでは、ドゥカティ・レノボのフランチェスコ・バニャイヤ選手が優勝した。スターティンググリッド位置の確定は2日目の午前に実施された予選で決定。

 

 

前日に行われたスプリントレースと決勝レースはいずれも同じ予選結果が適用され、レプソル・ホンダのマルク・マルケス選手がポールポジションを獲得している。これを経た3日目の決勝当日は気温は22度、路面温度36度の晴天。

 

レースは1週目の第1ターンの突入から激しいポジション争いとなり、プラマック レーシング・ドゥカティのホルヘ・マルティン選手、グレシーニレーシング・ドゥカティのマルケス、フランチェスコ・バニャイヤ選手、RNFアプリリアのミゲル・オリベイラ選手の中で、オリベイラ選手がコーナーの脱出を先頭で立ち上がる。

 

 

しかし2周目のターン12でオリベイラ選手をバニャイヤ選手が攻略。レースの皮切りに於いてはバニャイヤ選手が先陣を切っていく展開となった。

 

 

その後の3周目、集団の後方で4番手に付けていたレプソルホンダのマルク・マルケス選手が、ターン3へ向かうアプローチ段階の制動区間でコントロールを誤り前を走るマルティン選手と接触。更にオリベイラ選手にも追突して、マルケス選手とオリベイラ選手は転倒リタイア。マルティン選手もスピードを失い、先頭集団から一旦後退した。

 

 

これにより2番手にアプリリアレーシングのマーベリック・ビニャーレス選手が浮上してバニャイヤ選手に接近。3番手は1秒差でムーニーVR46ドゥカティのマルコ・ベッツェッキ選手。その後方にレッドブルKTMのジャック・ミラー選手という隊列となった。

 

 

7周目以降はトップ集団を形成するバニャイヤ選手とビニャーレス選手がレースをリードするも、13周目にビニャーレス選手が遅れ始め、15周目時点で3番手を走るベッツェッキ選手に迫られる状態となった。

 

 

このプレッシャーを耐えたビニャーレス選手は、17周目に再度のペースアップを試みるも、バニャイヤ選手はタイヤマネジメントに成功したようで、速度を上げて後続との距離を保ったままラストラップを迎える。結果、追い縋るビニャーレス選手に0.6秒差を保ったままゴールラインを潜り抜けて決勝レースを制した。

 

 

これによりバニャイヤ選手は、前日に行われたスプリントレースでの獲得ポイントと併せてシリーズ緒戦から37ポイントという大量得点を獲得。2023年シーズンのタイトル防衛に向けて幸先の良いスタートを切った。2位はビニャーレス選手。3位はベッツェッキ選手。

 

 

4位はドゥカティのヨハン・ザルコ選手、5位ドゥカティのアレックス・マルケス選手、6位はKTNのブラッド・ビンダー選手。

 

7位はKTNのジャック・ミラー選手、8位はヤマハのファビオ・クアルタラロ選手。9位アプリリアのアレイシ・エスパルガロ選手。

 

昨シーズンを以てスズキが撤退した事で、日本メーカーからの出走は2メーカーとなり、その一角を占めるホンダは、LCRホンダカストロールのアレックス・リンス選手が10位。レプソルホンダのジョアン・ミルは11位。日本人ライダーとしてGPの常連となっているLCRホンダ出光の中上貴晶選手は12位でレースを終えた。

 

 

なおマルケス選手は、追突クラッシュで共にリタイヤとなったオリベイラ選手と同チームに謝罪した後、次戦に向けて骨折した右手の状態を検査している。

 

ヤマハは、先の通りでモンスターエナジーのクアルタラロ選手が19周目に4位集団目前まで追い上げたものの、以降は揉み合いから抜け出せずにトップ争いへ加わる事無く8位でチェッカーフラッグを潜った。同陣営のモルビデリ選手は14位フィニッシュとなった。

 

Top 5 MotoGP™ Moments( 公式ハイライト動画リンク/YouTube )

 

アレックス・リンス選手( 10位 )
今日は、前のライダーを追い抜くのが難しいレースでした。1人か2人は抜きましたが、何人かに抜かれました。

 

ファビオ(クアルタラロ)に抜かれた時は1分39秒台前半を出す事が出来ましたが、レース終盤はフロントタイアが厳しくなり苦しい戦いになりました。とにかくベストを尽くしました。

 

ストレートでタイムをロスしていますが、コーナーで挽回する事が出来ました。全体的には上位陣と大きな差はないので、もっと上を目指したいです。上位に近づくためのレベルはありますが、もっと上手くオーバーテイク出来るようにしなければなりません

 

 

ジョアン・ミル選手( 11位 )
ロングラップのペナルティーはもちろんですが、昨日の転倒が今日のレースに影響しました。今日のレースで初めて10周以上の連続走行をしました。

 

そのため多くの時間を学習することに費やすことになりましたが、自分の乗り方やマシンの挙動を改善していくためには、もっと時間が必要です。

 

特に、タイヤの性能を最大限に引き出すためにはまだまだ時間が足りません。もう少し経験があれば、もっといいレースが出来たと思いますが、今日経験出来た事には満足しています。

 

 

中上貴晶選手( 12位 )
とても厳しいレースでした。今日のパフォーマンスはベストとは言えませんが、17番グリッドからスタートし12位でフィニッシュする事が出来ました。

 

リアにソフトコンパウンドを選択しましたが、これは正しい判断でした。レースではベストを尽くし、終盤に1分39秒3というベストラップを出す事が出来ました。序盤はなかなかリズムを掴めませんでしたが、今日の状況を考えれば悪くないレースでした。

 

今日はポイントを獲得する事が出来ましたが、よりよい結果を目指し、これからもプッシュしていかなければなりません。次戦に向けてやるべき事は沢山あります。テストと最初のレースを終えて、多くのデータを得る事が出来たので、後は自分たちがどこでタイムをロスしているのか、どこを改善出来るかをしっかり考えたいです

 

マルク・マルケス選手( リタイア )
まず最初に、オリベイラと彼のチーム、そしてポルトガルのファンに対して、謝罪しなければなりません。本当に大きなミスを犯してしまいました。しかし、このような事態を招いてしまったのは私の意図したことではありませんでした。

 

あの時、マルティンを追い抜くつもりはなかったのですが、フロントが大きくロックしてしまいました。ハードコンパウンドのフロントの温度が上がりきっていなかったせいなのか、ブレーキを離すとマシンがインに入ってしまいました。

 

マルティンと接触し、オリベイラに追突してしまいました。事故の後、すぐにメディカルセンターにいる彼の様子を見に行きました。幸いにも彼は無事でした。本当によかったです。

この事故で私は、右手とヒザに痛みはありますが、今はそれほどひどくはありません。アルゼンチンGPのダブルロングラップのペナルティーは、自分のミスなので、ペナルティーを完全に受け入れ、今回の裁定を尊重したいと思います。

 

 

ファビオ・クアルタラロ選手( 8位 )
当然ながら難しいレースになりました。主にグリッド位置がその原因です。昨日はローンチ・コントロールに不具合がありましたが、今日は私がラインの選択を間違えたことで、さらに大きく後退してしまいました。

 

ペース自体はそれほど悪くありませんでした。ラストラップを見れば、去年の私自身のファステスト・ラップにかなり近づいているのです。つまり今回は全員のペースが非常に速くなっていたのだと思います。次回アルゼンチンでは、もっと前のほうで戦えるよう頑張ります。

 

 

フランコ・モルビデリ選手( 14位 )
非常にタフなレースでした。とは言え、テストの時は0.6秒差、今日は0.5秒差と0.1秒前進しているのですから、良かった点にも目を向ける必要があるでしょう。

 

また走りも僅かながら進化していて、しかも決勝中は非常に安定していました。そして最後まで走り切り、2ポイントを獲得する事が出来たのです。次のアルゼンチンでは、もっと多くの良い部分が見つかる事を期待しており、楽しみです。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。