NEXT MOBILITY

MENU

2023年10月11日【トピックス】

カナダ最大の労働組合、ゼネラルモーターズと暫定合意に到達

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ユニフォーGM交渉委員(CNWグループ/ユニフォー)

 

カナダ国内の315,000人の労働者を代表する同国最大の労働組合〝ユニフォー(Unifor)〟とゼネラルモーターズ(GM)は、オシャワ組立工場、セントキャサリンズパワートレイン工場、ウッドストック部品流通センターでのストライキを経た10月10日(東部標準時14時11分)、共に暫定合意に達した。

 

今合意にユニフォー・ナショナルのラナ・ペイン会長は、「当初、主要な工場拠点に於ける閉鎖に直面した際、ゼネラル・モーターズには、我々の提案に同意する以外に選択肢はなかった。

 

結果、組合員の団結により、年金及び退職者の所得支援、臨時労働者のフルタイムへの転換など、当初、我々がフォード・モーター社と争っていたものと同一の全ての項目が含まれた包括的な暫定合意に至った。なおこの新たな暫定協定は、労働者4,300人を対象としている」と述べた。

 

またユニフォー・フォード交渉委員のジェイソン・ゲイル氏は、「今回、ゼネラルモーターズと合意に達したことで、臨時従業員、新入社員を含む全ての労働組合員が、これらの恩恵を受けることになる。

 

同協定は、組合員が必要とする昇給の獲得権と、退職後の生活水準を守る年金の大幅な改善を実現する。

 

このゼネラル・モーターズとの暫定合意は、ユニフォーが先月フォード・モーターと合意した内容に続くものであり、協定の詳細は、これの批准を確定するために投票が行われる前に、全組合員へ公開される」と話している。

 

合意の概要は以下の通り

 

●契約期間中、基本時給は生産部門で約20%、熟練労働者は約25%増加する。
●3年間の契約が終了するまでに、熟練技能労働者には、1.61ドルの生活費 (合計46.13 ドル)に加えて、時給44.52ドルが支払われる。ジャーニーパーソンの熟練技能労働者には1.61ドルの生活費に加えて、時給55.97ドルが支払われる(合計57.58 ドル)。
●協定各年度に於ける賃金上昇率は、1年目で10%、2 年目で2%、3年目で3% となる。
●2024年12月に生活費手当 (COLA) が再開される。
●賃金の昇進タイミングは8年から4年に短縮された。
●臨時のパートタイム労働者と一般の生産労働者の初任給は、1時間あたり24.26ドルから29.67ドルに増加し、12か月以内に更に30.26ドルに増加し、契約終了までに31.16 ドルに増加する。
●批准時に少なくとも1年以上の勤続年数を有するフルタイムの全臨時労働者は正社員へ転換される。
●オシャワ会議での決定を踏まえ、2026年8月1日までにフルタイムの一時的分類の適応を廃止することで同意した。
●フルタイム従業員 (現在の臨時フルタイムを含む) には10,000ドルの生産性への貢献及び製品品質に係るボーナス、臨時パートタイムにも4,000ドルが支給される。
●全ての年金制度の改善が図られる。
●DCプランに対する企業の義務的な拠出額は4% から7%に増加する。
●確定拠出年金制度の加入者は、2025年1月1日から、現在の制度加入者と全ての新規雇用者を対象とした新しい確定給付型年金に移行する。
●ユニバーサル・ヘルスケア手当と呼ばれるカナダの退職者に対しては新しい四半期毎の支払いが行われ、これら四半期毎の支払いは、3年契約者に対して継続される。
●新たに2つの有給休暇が追加された(家族の日・真実と和解の日)。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。