キャデラック ジャパンは3月2日、米キャデラックが6月に開催されるル・マン24時間レースへキャデラックブランドが「Vシリーズ.R」と名付けた3台の新型レーシングカーで復帰し、ハイパーカークラスで総合優勝を目指すと発表した。
米キャデラックでグローバル・バイスプレジデントを担うローリー・ハーヴェイ氏は「キャデラック・レーシングがチーム一丸となって、ル・マン24時間レースに復帰出来る事をとても喜んでいます。
キャデラック・レーシングは、過去20年に亘ってレーシングトラック上で勝利を積み上げて来ました。そして迎えた今日、レーシングマシンの電動化を目指すというエキサイティングな新時代に、ル・マンへ復帰する事になりました」と述べた。
ちなみに今回、ル・マン24時間レースに参戦する3台のキャデラックVシリーズ.Rは、1月28から29日の「第61回ロレックス・デイトナ24時間」でデビューを果たしている。
この3台のラインナップのうち「Vシリーズ.R/01号車」が表彰台を獲得。「Vシリーズ.R/02号車」は4位に。ウェーレン・エンジニアリングの「Vシリーズ.R/31号車」は5位に入賞した。
そんな3台がル・マン24時間レースに参戦にあたっては、今から遡る2020年にIMSAとWEC耐久レースのトップカテゴリーとを揃えるための指針を発表。これを受け、キャデラックに於いて新型レーシングカーの設計・開発を開始した。
キャデラック・デザインとキャデラック・レーシングのシャシー・コンストラクターでもあるダラーラ社とが共同で開発にあたった車体デザインは、2022年6月に発表された「プロジェクトGTPハイパーカー」からヒントを得ている。
また同車には、ミシガン州ポンティアックに拠点を据えるGMパフォーマンス&レーシング推進チームが開発したキャデラック製5.5L DOHC V型8気筒エンジンが搭載されている。加えてボッシュ、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(現WAE)とエクストラックが開発したエネルギーリカバリーシステムも採用されている。
そんな「Vシリーズ.R」には、スタイリング上も縦型ライトやフローティングブレードなど、キャデラックの特徴的なデザイン要素が盛り込まれた。この夏に向けて3台は、ル・マン24時間レースの挑戦にあたってカーナンバーを変更してハイパーカークラスに参戦。競合達と総合優勝を目指して戦う構えだ。
それらの参戦車両の体制概要だが、まず「Vシリーズ.R/02号車」は、既にFIA世界耐久選手権にフルシーズン参戦している事からル・マン24時間レースへは自動エントリーとなる。02号車のステアリングを握るドライバーは、アール・バンバー選手、アレックス・リン選手、リチャード・ウエストブルック選手だ。
続く「Vシリーズ.R/03号車」は、01号車としてIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にフル参戦する。ドライバーは、セバスチャン・ブルデー選手、レンジャー・ファン・デル・ザンデ選手、スコット・ディクソン選手が務める。
ウェーレン・エンジニアリングの「Vシリーズ.R/311号車」は、31号車としてIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にシーズンを通して参戦する予定。ドライバーはピポ・デラーニ選手、アレクサンダー・シムズ選手、ジャック・エイトケン選手の3名となっている。
このなかでル・マン24時間レースで2度の総合優勝経験を持つドライバー、アール・バンバー選手は「キャデラックがル・マンに復帰し、総合優勝に挑戦する事を私たちは楽しみにしています。
米国の自動車メーカーがそんな勝利の偉業を達成すれば、それは数十年振りのことであり、目標達成に向けて強力に後押ししていきます」と語っている。
ちなみに「Vシリーズ.R」は、2022年7月にサーキット走行での開発を開始し、2023年のロレックス・デイトナ24時間に向け、米国内のレーストラックで12,400マイル(約20,000km)以上を走破し、このプロジェクトにはアール・バンバー選手も参加した。
これについてバンバー選手は「このプロジェクトに最初から参加出来た事は特別な経験でした。2年ほど前のシミュレーターを使ったテストから、この旅が始まりましたが、ここに至るまでに於いても素晴らしい旅でした。
しかし冒険はまだ始まったばかりです。ル・マンまでの道程は、きっと最高なものになるでしょう」とも話している。
GMスポーツカー・プログラムでマネージャーを努めるローラ・ウォントロップ・クラウザー氏は「キャデラックが世界で最も過酷なレースのひとつであるル・マン24時間で、国際的な強豪選手たちと競い合い、そのレーシング・レガシーを築く事に大きな喜びを感じています。
そんな私たちは米国を代表している事。そしてキャデラックVシリーズ.Rが歴代のレースの伝統を受け継ぐ素晴らしいマシンである事を誇りに思います」と述べた。