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2023年3月2日【イベント】

キャデラック、ル・マン24時間レースに復帰

坂上 賢治

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キャデラック ジャパンは3月2日、米キャデラックが6月に開催されるル・マン24時間レースへキャデラックブランドが「Vシリーズ.R」と名付けた3台の新型レーシングカーで復帰し、ハイパーカークラスで総合優勝を目指すと発表した。

 

 

米キャデラックでグローバル・バイスプレジデントを担うローリー・ハーヴェイ氏は「キャデラック・レーシングがチーム一丸となって、ル・マン24時間レースに復帰出来る事をとても喜んでいます。

 

キャデラック・レーシングは、過去20年に亘ってレーシングトラック上で勝利を積み上げて来ました。そして迎えた今日、レーシングマシンの電動化を目指すというエキサイティングな新時代に、ル・マンへ復帰する事になりました」と述べた。

 

ちなみに今回、ル・マン24時間レースに参戦する3台のキャデラックVシリーズ.Rは、1月28から29日の「第61回ロレックス・デイトナ24時間」でデビューを果たしている。

 

 

この3台のラインナップのうち「Vシリーズ.R/01号車」が表彰台を獲得。「Vシリーズ.R/02号車」は4位に。ウェーレン・エンジニアリングの「Vシリーズ.R/31号車」は5位に入賞した。

 

そんな3台がル・マン24時間レースに参戦にあたっては、今から遡る2020年にIMSAとWEC耐久レースのトップカテゴリーとを揃えるための指針を発表。これを受け、キャデラックに於いて新型レーシングカーの設計・開発を開始した。

 

 

キャデラック・デザインとキャデラック・レーシングのシャシー・コンストラクターでもあるダラーラ社とが共同で開発にあたった車体デザインは、2022年6月に発表された「プロジェクトGTPハイパーカー」からヒントを得ている。

 

また同車には、ミシガン州ポンティアックに拠点を据えるGMパフォーマンス&レーシング推進チームが開発したキャデラック製5.5L DOHC V型8気筒エンジンが搭載されている。加えてボッシュ、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(現WAE)とエクストラックが開発したエネルギーリカバリーシステムも採用されている。

 

そんな「Vシリーズ.R」には、スタイリング上も縦型ライトやフローティングブレードなど、キャデラックの特徴的なデザイン要素が盛り込まれた。この夏に向けて3台は、ル・マン24時間レースの挑戦にあたってカーナンバーを変更してハイパーカークラスに参戦。競合達と総合優勝を目指して戦う構えだ。

 

 

それらの参戦車両の体制概要だが、まず「Vシリーズ.R/02号車」は、既にFIA世界耐久選手権にフルシーズン参戦している事からル・マン24時間レースへは自動エントリーとなる。02号車のステアリングを握るドライバーは、アール・バンバー選手、アレックス・リン選手、リチャード・ウエストブルック選手だ。

 

続く「Vシリーズ.R/03号車」は、01号車としてIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にフル参戦する。ドライバーは、セバスチャン・ブルデー選手、レンジャー・ファン・デル・ザンデ選手、スコット・ディクソン選手が務める。

 

ウェーレン・エンジニアリングの「Vシリーズ.R/311号車」は、31号車としてIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権にシーズンを通して参戦する予定。ドライバーはピポ・デラーニ選手、アレクサンダー・シムズ選手、ジャック・エイトケン選手の3名となっている。

 

 

このなかでル・マン24時間レースで2度の総合優勝経験を持つドライバー、アール・バンバー選手は「キャデラックがル・マンに復帰し、総合優勝に挑戦する事を私たちは楽しみにしています。

 

米国の自動車メーカーがそんな勝利の偉業を達成すれば、それは数十年振りのことであり、目標達成に向けて強力に後押ししていきます」と語っている。

 

 

ちなみに「Vシリーズ.R」は、2022年7月にサーキット走行での開発を開始し、2023年のロレックス・デイトナ24時間に向け、米国内のレーストラックで12,400マイル(約20,000km)以上を走破し、このプロジェクトにはアール・バンバー選手も参加した。

 

これについてバンバー選手は「このプロジェクトに最初から参加出来た事は特別な経験でした。2年ほど前のシミュレーターを使ったテストから、この旅が始まりましたが、ここに至るまでに於いても素晴らしい旅でした。

 

 

しかし冒険はまだ始まったばかりです。ル・マンまでの道程は、きっと最高なものになるでしょう」とも話している。

 

GMスポーツカー・プログラムでマネージャーを努めるローラ・ウォントロップ・クラウザー氏は「キャデラックが世界で最も過酷なレースのひとつであるル・マン24時間で、国際的な強豪選手たちと競い合い、そのレーシング・レガシーを築く事に大きな喜びを感じています。

 

 

そんな私たちは米国を代表している事。そしてキャデラックVシリーズ.Rが歴代のレースの伝統を受け継ぐ素晴らしいマシンである事を誇りに思います」と述べた。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。