ブガッティ(Bugatti)は6月12日の午後、100周年を迎えたル・マン24時間レースを舞台にトラック上での走りに注力した新型ハイパーカーで〝火球(流星の中でも特に速く明るい流れ星)〟を表す「ボリード(Bolide/車両価格400万ユーロ)」を披露した。この日のサルテサーキットで、ボリードのステアリングを握ったのは1988年ル・マン勝者のアンディ・ウォレス氏。
ウォレス氏は「100周年を迎えたル・マン24時間レースの開催期間に於いて、サルテ・サーキットを1周3分07秒1で走破する新型ボリードに乗る機会が得られたことは、自身にとっても特別な体験でした。
ボリード独自の高いダウンフォースの発生量と、それに伴うタイヤのグリップレベルは素晴らしく、まさにレーシングカーのような戦闘能力を備えたクルマでした」と語った。
またブガッティ・オートモービルズのクリストフ・ピオション社長は「この新たなブガッティのデビューは、ル・マン100周年の歴史に華を添えるものです。
今から100年前の初開催レースにも参加していた私たちは、ル・マン24時間レースと長く深い繋がりがあります。今回ブガッティを代表して、ル・マンで新たな時を刻めたことをとても誇りに思います。
サーキットでの走りに最適化させたボリードの核となるのは、F1マシンに迫るボディコンストラクションと徹底的に空力特性を先鋭化させたカーボン・ボディ(車高はシロンよりも300mm低い995mm、320km/h時のダウンフォースはリアウイング1800kg、フロントウイング800kgの荷重に到達する)。そしてそのなかに収められたクアッドターボ+8.0リッターW16 エンジン(最大出力1850ps/最大トルクが188.6kgm)の戦闘能力にあります。
また安全面では、FIAの基準に従って設計されたHANSデバイス、自動消火システム、けん引装置、軽量のポリカーボネート製ウィンドウ、6ポイントハーネスシステムなどが装備されています。
併せて、よりハードな走りを保証するブレーキシステムもボリードにとっては、とても重要なコンポーネントのひとつとなります。
我々はブレンボSpAからのインスピレーションを得て、390mmブレーキディスクと独自のキャリパー (フロントに8ピストン+リアの6ピストン) を備えた専用ブレーキ システムを開発。これによりダイナミックな運転能力を十二分に発揮できる仕様になっています」と新たな車両の実力について説明した。
加えてブガッティは、この日、ワンオフのEB110Sル・マンとブガッティ・タイプ50Sも登場させて100周年のパレードに参加。
特にタイプ50Sは、1930年代初頭にル・マン24時間レースで活躍したもの。当時のレジェンドドライバーのルイ・シロン選手とアルバート・ディーヴォ選手がトップの座を争うなか、この時期、タイヤなどの足まわりパーツがエンジンパワーに見合う性能を確保させるため相当苦労したという逸話がある。
なおこのタイプ50Sは、ル・マン24時間博物館に於ける100周年記念特別展示の一環としても車両展示された。