東北大学材料科学高等研究所の陳明偉教授、岡山理科大学理学部の田邉洋一准教授、筑波大学数理物質系の伊藤良一准教授らの研究グループは、周期構造を備えた立体的な曲面構造を持つグラフェンのデバイス作製とその特性解明に成功した。
グラフェンは、高い電気伝導性・熱伝導性、化学耐性、機械耐性、高効率で広帯域の光吸収特性などを持つ炭素による2次元シート。この炭素1個分の厚さしかない原子層物質である2次元シートを用いて、立体的な周期的曲面構造を構築すると、単純な2次元グラフェンとは異なる特性が発現し、様々な用途への展開が可能になると予測される。
研究グループは、2次元グラフェンシートをモチーフとする3次元構造体を作製し、立体的な曲面構造を持つグラフェンが2次元グラフェンの特性を大きく上回る優れた物質であること、グラフェン同士を接触させず綺麗に空間配置することでグラフェンの特性を保持できること、さらに立体的な曲面構造がグラフェンの特性にどのように影響するのかを明らかにした。
今回の研究結果は、グラフェンの特性を生かした立体デバイスの小型化高密度化へ道筋をつけたものとなり、今後様々な立体グラフェンデバイスの開発が進むことが期待される。
なお、同研究はドイツ科学雑誌「Advanced Materials」に2020年10月28日(現地時間)付けでオンライン掲載された。