アプリリアは2024年のトップラリーレイドへの復帰に照準を定めたと2月9日、ここ日本国内に於いてもピアッジオグループジャパンを介して宣言した。またそれは同プロジェクトが2010~2012年にダカール に参加した際の成功体験を再現するものだと謳っている。
目下、イタリアのヴェネト州ヴェネツィア県ノアーレに拠点を置くレーシング部門は、かつてレースデビューを飾ったオフロードレースという原点に立ち返り、アプリリアトゥアレグ660を新たに開発した。
このトゥアレグの開発プロジェクトは、1989年生まれのヤコポ・チェルッティ選手が統括し、独自の豊富な経験を活 かしてアプリリアレーシングの発展に努めている。
コモ出身のライダーであるチェルッティ選手は、イタリアのモ ーターラリーシーンで幾度も優勝を飾り、またイタリアで4回、ヨーロッパで1回、エンデューロのタイトルを獲得。ダカ ールには既に6回出場した。
彼のサポートには、昨年トリコローレ・モーターラリーで優れたパフォーマンス振りを印象付けたフランチェスコ・モンタナーリ選手が付く。
今回の体制固めについてマッシモ・リヴォラ:アプリリアレーシングCEOは「アプリリアレーシングは、“Back to Africa(アフリカへの回帰)”プロジェクトにより、オフロードレースの世界、つ まりこの部門を築き上げたレースに再び参戦します。
私たちはグランプリレースやロードレースの世界で成長し続けることを願って、SP250選手権やRS 660トロフィーを通じて新たな才能を発掘すると共に、今回はトゥアレグで全く新しいプロジェクトに着手しました。
過去数年に渡り、著しい成長を遂げてきたレース部門にとって更なる発展の兆しであり、アプリリアがかつて経験したことのない成果の達成を目指します」と述べた。
またアプリリアレーシング・テクニカルディレクターを務めるロマーノ・アルベシアーノ氏は「私たちは偉大な成功の歴史からバトンを受け取りました。
アプリリアは、ダカールラリーでステージ優勝を果たした数少ないイタリアブランドであり、2010 年には総合ランキングで 3 位表彰台を獲得しました。
これらは新たなプロジェクトの最初の一歩に過ぎず、2023年シーズンの目標は偉大な砂漠のレースに再び参戦する道を歩 み始める事です。
ただ一つ確かなことは、このマシンはアプリリアのレースへの挑戦を常に後押ししてきた価値観です。それはパフォーマンスを追求するというアプリリア独自のイノベーションから生み出されているのです」と語った。
ヤコポ・チェルッティ選手
「100%イタリア製で、モータースポーツ界に偉大な歴史を持つブランドと連携出来る事は大きな誇りであり、このプロジェクトに携われる事を嬉しく思います。
エンデューロ450で経験を積んできた私にとって、これは新たなチャレンジとなります。大きな可能性を秘めたマシンに乗って、開発面でも重要な役割を担う事になります。ライダーにとっては特別な機会であり、今からスタートが待ちきれません」
ちなみに新型アプリリアトゥアレグ660のレーシングバージョンは、既に2022年のイタリア モーターラリー選手権に参戦し、トゥアレグの開発にも携わったGコルセ(ジャンフランコ・グアレスキとヴィットリアーノ・グアレスキ兄弟によ る)の技術的な助言を受け、アプリリアレーシングが開発する予定。
2023年はトリコローレ・モーターラリ ーへの参戦も継続し、当初より大きな可能性を示していたプロジェクトの発展に全面的に注力するシーズンとなる。スタートラインには、チェルッティとモンタナーリに託された2台のトゥアレグ660が並ぶ。
一方、このアプリリアレーシングのトゥアレグプロジェクトと並行して、アプリリアは2023年のイタリア モーターラリー選手権会場に出展し、選手権をより身近なものにするために新設された GPX「エントリーレベル」カテゴリーでトゥアレグ660で参加する全てのライダーをサポートする。
最後にアプリリアでは、イタリア FMIアプリリア・スポーツプロダクション選手権やアプリリアRS 660トロフィーを通じて長年追い求めてきた目標、つまりモーターサイクルの世界へ多くのファンを導くという使命に忠実であり続けると話している。