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2025年3月7日【イベント】

アリソン製6速TM、日野プロフィアFS除雪車に初搭載

坂上 賢治

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除雪兼用凍結防止剤散布車として仕立てた初号車アリソン/4440を搭載した大型トラック「日野プロフィアFS」6X4

 

アリソンは、自社製トルコン付き6速フルオートTMが、「日野プロフィアFS」の除雪車に初搭載されたことを明らかにした。

 

より具体的には、2025年1月30日・31日に同搭載車が新潟県上越市に於いて開催された「ゆきみらい2025 in 上越」で、当該トランスミッションの搭載車両が公開された。

 

車両は大型トラック「日野プロフィアFS」をベースとした6X4(前輪1軸、後輪2軸を配置、後輪の2軸が駆動)の除雪車。込み込まれたミッションは、トルクコンバーター付き6速フルオートマチックトランスミッション4440となる。

 

後輪2軸の除雪車に、同トランスミッションが標準搭載されたのは国内市場向けとしては初。そもそも凍結防止剤散布車などの除雪車は、降雪地帯で円滑な交通を確保するため、市民生活上欠かせない車両で、通常、除雪作業は運転オペレーター1名と除雪機器を操作する助手1名の2名構成が基本となる。

 

車両運行には、除雪作業を行うため熟練した技能が必要となり、オペレーターの高齢化や担い手不足への対応が喫緊の課題となっている。また除雪作業自体は、主に深夜や早朝に行われることが多いため、人材採用が容易ではないことから、省人化を図ることも求められている。

 

アリソン4440 トルクコンバーター付き6速フルオートマチックトランスミッション

 

そうしたなかで今回、「日野プロフィアFS」ベースの6X4除雪車にアリソン製フルオートマチックトランスミッションが搭載されたことで、除雪作業を含む運行時に忙しいギアチェンジが不要となり、その分、運転オペレーターが一人でスノウプラウの操作と同時に、凍結防止剤の散布作業もできることになるため、省人化に大きく貢献できる。

 

またオートマチックトランスミッション車は、イージードライブでベテランドライバーにとっても運転ストレスを軽減できることで期待されている。加えてアリソンのフルオートマチックトランスミッションは、トルクコンバーターで発進時のトルクを増幅させるため、雪路や泥濘地といった悪路でもパワフルな発進を可能にするという。

 

大型トラック「日野プロフィアFS」ベース 除雪兼用凍結防止剤散布車 初号車 インテリア

 

また運行時の安定作業を可能にするContinuous Power Technology(TM)によって、間断なく動力を伝達させることからトルク抜けすることなくスムーズな変速も実現する。

 

こうした特性は、特に積雪時の除雪作業中に大きな負荷が車両側に掛かった場合、発進時や変速時にエンジンが不慮に止まってしまったり、クラッチが摩耗したりなどの危険性が大きく低下するのが利点。そうした要因に起因する危険性が大幅に低減される。

 

またギクシャクした変速やトルク抜けは、ドライバーにとって大きなストレスとなるが、完全ツーペダルであるアリソンATは、簡単な操作性だけでなく、パワフルかつスムーズな走行性能もドライバー業務の快適性にも寄与する。

 

日野自動車(左から) の国内営業部お客様担当室・特装営業グループ三枝慶一係長/同・特装営業グループ永田拓グループ長/同・権守和人室長/プロダクト推進部・PZ11大型トラック後藤 興祐DPO(Data Protection Officer)/国内企画部・伊藤 充部長/お客様担当室特装営業グループ平山秀係長

 

今回のトランスミッション搭載について日野自動車、国内営業部お客様担当室、特装営業グループ係長の三枝慶一氏は、「6X4の除雪車にアリソンATが標準搭載されることになり、大変期待をしています。アリソンATによって、オペレーターにイージードライブを提供できるだけでなく、省人化、効率化を通じ持続可能な除雪体制の維持に貢献できると考えています。2月3日に中部地方のお客様に初号車を納車して参りました。早速その真価を体験していただけると思います」と述べている。

 

これを受けてアリソンジャパンでは、「ドライバー不足の緩和策として、2026年4月に中型トラックAT限定免許、2027年4月には大型トラックAT限定免許が導入される見通しです。当社ではAT搭載車が今後拡大することでドライバーの裾野が広がり、人材不足の対応策に繋がり、エンドユーザーの採用活動でメリットとなると考えています。アリソンはこれからも100年以上に亘る技術力で、お客様の生産性向上を支えてまいります」と語り期待に応えたい姿勢を示した。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。