2022年のFIM( 国際モーターサイクリズム連盟 )ロードレース世界選手権・第18戦オーストラリアGP( 開催地:ビクトリア州フィリップ島、開催期間:10月14~16日 )のMotoGPクラス決勝レースが10月16日に1周4.445kmのフィリップ・アイランド・サーキットを27周する規定で行われた。( 坂上 賢治 )
同レースで、チーム・スズキ・エクスター( スズキワークスチーム )のアレックス・リンス選手( スペイン バルセロナ )の「GSX-RR」が平均速度176.4キロメートルを刻んで優勝。激戦を制したリンス選手とっては2年振り・通算4度目の勝利。スズキがレースオーガナイザーとの参戦契約期間中の5月に突然、MotoGPから撤退すると表明して以来、初めての栄冠を勝ち取った。
2021年のアメリカズGPでポディウムのトップに立ち、スズキに通算500勝目をプレゼントして以降、これまで躍進するドゥカティ陣営やアプリリアに抗しきれずに良いところを見せられなかったリンス選手。
今大会でも好タイムを刻む事がなかなか出来ずに居たが、数日前の模様から打って変わってドライコンディションで始まった決勝は10番グリッドからのスタートとなった。
ホールショットはポールポジションからホルヘ・マルティン選手( ドゥカティ )がホールショットを奪って先行。これをマルク・マルケス選手( ホンダ )、フランチェスコ・バニャイア選手( ドゥカティ )、アレイシ・エスパルガロ( KTM )、ファビオ・クアルタラロ( ヤマハ )が追う展開。
当初は、5台が鍔迫り合いを繰り返した後、先行するマルティン選手をマルク・マルケス選手が追い縋り、3〜4代の上位グループを形成する状態だったが、3周目にジャック・ミラー選手( ドゥカティ )がクアルタラロ選手が抜いて5番手に浮上。ミラー選手は、戦いの場をエスパルガロ選手との4番手争いに移して行く。
後退したクアルタラロ選手は、迎えた4周目にブレーキングミスによりコースアウトして、後続gグループに飲み込まれてしまう。その間、リンス選手が後方からの追い上げを開始。4番手争いをしていたエスパルガロ選手とミラー選手を攻略して4番手に浮上する。
9周目にアレックス・マルケス選手( LCRホンダ )がミラー選手を巻き込んで転倒。これにより母国レースでの勝利を夢見ていたミラー選手は、図らずも戦列から離れ、リタイヤの憂き目となった。
レースの残り周回数が20週を切った段階で、マルティン選手が首位を走り続ける中で、リンス選手は11周目にマルク・マルケス選手をオーバーテイクして2番手に。更にリンスがマルティン選手を追い抜いてトップに浮上する。一方、クアルタラロ選手は転倒を喫し、再スタートを切ったものの大きく後退する。
しかし14周目にはバニャイヤ選手がリンス選手を抜きトップに。結果、リンス選手とマルケス選手、バニャイヤ選手の三つ巴の状況に突入する。その後、20周目でリンス選手がバニャイヤ選手をオーバーテイクするも、ホームストレートでバニャイヤがトップに立つというデットヒートを繰り返した。
先頭に復帰。さらに同じくドゥカティ陣営のマルコ・ベッツェッキが2番手に浮上した。レース終盤は、バニャイヤ選手、トップ集団に追い付いたマルコ・ベッツェッキ選手(ドゥカティ)、リンス選手、マルク・マルケス選手の4台に勝者が絞られる。
結果、最終ラップでリンス選手がスリップストリームを使って最高速に勝るバニャイヤ選手に並び、続くコーナーでオーバーテイクに成功する。この機をうかがっていたマルク・マルケス選手もバニャイヤを抜き、走行順はリンス選手・マルク・マルケス選手、バニャイヤ選手の布陣になる。
高速性能では、ドゥカティなどのライバルに劣るリンス選手は、それでもマルク・マルケス選手とバニャイヤ選手を従えてゴールラインを潜る。これによりチームスズキエクスター、リンス選手共に今シーズン初勝利。2シーズン振りの優勝。チームスズキエクスターとしては、フィリップアイランド初優勝となった。
2位は、右腕骨折の再手術で長期欠場が続いていたマルク・マルケス選手が今季初の表彰台。3位にクアルタラロ選手とチャンピオンシップを争っているバニャイヤ選手が入った。これによりバニャイヤ選手が今年のチャンピオンシップで首位となっている。
MotoGP第18戦 オーストラリアGP 決勝レース結果
1位: アレックス・リンス(スズキ)
2位: マルク・マルケス(ホンダ)
3位: フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ)