CEATECエグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏
電子情報技術産業協会(JEITA)は9月29日、国内最大級のIT展示会「CEATEC 2023」の概要について説明会を開催した。期間は10月17日~20日の4日間で、場所は千葉県千葉市の幕張メッセ。29日時点で2022年より約1割多い600社・団体以上が出展を予定している。うち初出展は250社・団体を数える。(経済ジャーナリスト・山田清志)
イノベーターのための共創の場に
コンセプトは「Toward Society 5.0」で、開催趣旨として「経済発展と社会課題の解決を両立する『Society 5.0』の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い、『共創』によって未来を描く」を掲げる。
新型コロナウイルス禍で取りやめとなっていた対面での講演会やパネルディスカッションが復活し、4年ぶりに展示とコンファレンスがリアル会場で実施される。エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は「CEATEC 2023は未来を変える10万人のイノベーターのための共創の場になる。新たなビジネス、新たな技術、新たな製品が集まる場所になる」と強調する。
CEATEC 2023のエリア構成
会場は(1)Society 5.0の実現に向けたテクノロジー全般のアリア「アドバンスドテクノロジーエリア」(2)Society 5.0の実現を支える電子部品や電子デバイスのエリア「キーデバイスエリア」(3)独自のテーマを設定し、あらゆる産業・業種のパートナーとともにSociety 5.0の未来社会を体現する共創エリア「パートナーズパーク」(4)国内外のスタートアップや研究成果の社会実装を目指す大学・教育機関のエリア「スタートアップ&ユニバーシティエリア」(5)海外諸機関がパビリオンを展開、各国・地域を代表するスタートアップや企業が集まるエリア「グローバルエリア」(6)業界のリーダーや専門家などによる講演やパネルディスカッションを実施する「コンファレンスエリア」という6つのエリアで構成される。
鹿野氏によると、注目してほしいエリアは昨年に続いて設置される「パートナーズパーク」で、130社・団体を超える企業が参画予定だ。「共通のプラットフォーム、共通のインフラ、共通のサービスを持った企業がイニシアティブを持ち、そこに多くの企業が集まって共同で出展することになり、共創から生まれた成果を見ることができる」という。
「心ゆたかな暮らし」(Well-Being)と「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)を実現するデジタル田園都市国家構想をテーマに設定、社会全体のDXのあり方や未来の暮らし、それを支えるテクノロジーなど、「共創」によって発信する。
パートナーズパークの参画企業
招聘企画でウクライナがパビリオンを出展
グローバルエリアでは、米国やカナダ、フランス、デンマーク、フィンランド、UAE、台湾のほか、総務省による招聘企画でウクライナが初めてパビリオンを出展。8つの国と地域の企業から最新のトレンドや異なる国の視点からの革新的なソリューションが披露されるそうだ。また、ピッチステージにおいて、各国ごとに出展者によるプレゼンテーションも行われる。
コンファレンスについては、開幕初日に「サステナブルな社会の実現に向けて」と題した講演を実施。JEITA会長でもある日立製作所の小島啓二社長兼CEOや、TDKの石黒成直会長らが登壇する。また、デジタル田園都市国家構想に関する講演では、群馬県や福井県などすでにデジタルを活用した地方創生に取り組んでいる自治体での事例が紹介されるという。そのほか、AIやサステナビリティ、DX、カーボンニュートラルなどのテーマで200以上のコンファレンスが予定されている。
さらに、展示会場内にも4つのステージを設置。「Future-Hub」では、未来の担う学生や若手キーパーソンにスポットを当て、デジタル産業の魅力やキャリア選択に役立つ情報を発信する。「Tech-Hub」では、電子部品などのテクノロジーにフォーカスし、トップエキスパートによるトークセッションなどを展開する。「トークステージ」では、最前線で活躍するキーパーソンがデータ連携やスマートシティなどの共創事例やトレンドを発信する。「ピッチステージ」では国内外のスタートアップや大学研究機関によるアイデアや製品、サービスを発信する。
2022年は8万1612人が来場したが、今年はそれを上回る10万人の来場者を見込んでいる。入場は無料だが、事前登録が必要となっている。