未来志向の旺盛な成長力が東京ベイエリアの魅力
――空飛ぶクルマやドローンが試験飛行出来るエリアは、福島ロボットテストフィールなどもあります。これらとの差別化はお考えなのでしょうか。
山本 ▶ 福島のテストフィールドは私も見学に行きました。
福島は空のテストフィールドにも特化した実験場となっており、広大な敷地に大きなネットを張っており、そこでドローンなどを自由に飛ばせるようになっていますね。空飛ぶクルマの実験場としては、東京よりずっと進んでいると思います。
従って先駆的な飛行実験を行う環境として、福島の未来は開かれていると思います。これに対して、東京のベイエリアの魅力は、今からおよそ400年余りを遡った江戸時代から拡張し続けて来た地の利があります。
その地理的な姿を古地図から順に眺めて見ると、かつての海岸線から明治・大正・昭和・平成・令和と増殖を伴う新陳代謝を繰り返して来たホワイトキャンバスであり、経済的な切り口に於いても未来へ開かれた可能性の塊です。
そんなベイエリアに未来の実験場を設ける訳ですから、そこではモビリティ単体の機能や性能を単純に磨くだけでは無く、多くの人々が暮らす地域故の環境整備を、どのように切り拓いていくのか。そのための関連技術を磨く事や、社会的な課題解決を含んだリアルな未来都市を目指したショーケースにしていくべきでしょう。
また今や東京のベイエリアは、近隣から簡単にアクセスする事が出来る経済・観光・学び・食・住など複合的なレイヤーを持つ街となっており、新たな起業・創生に繫がる可能性を秘めています。それこそが東京のベイエリアの魅力ではないでしょうか。
PROFILE
山本 健一(やまもと けんいち)
東京都政策企画局計画調整部東京eSGプロジェクト推進担当課長
都市整備局東京ベイeSGまちづくり戦略推進担当課長(兼務)
政策企画局スタートアップ戦略担当課長(兼務)
1998年東京都入都。都市整備局のまちづくり分野を中心に業務し、都市整備局都市基盤部交通企画課や都市整備局総務部企画経理課などを経て、2015~2016年度中野区役所(派遣)都市政策室 西武新宿線沿線まちづくり担当課長、2017~2018年度 多摩都市モノレール株式会社(派遣)施設担当課長、2019~2020年度東京都都市整備局都市づくり政策部開発企画課担当課長。2021年度から政策企画局計画調整部プロジェクト推進課担当課長、東京ベイeSGプロジェクトの推進 空飛ぶクルマなど最先端テクノロジーの実装を担当する。技術士(総合技術監理部門)、技術士(建設部門/都市及び地方計画)。