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2023年2月13日【特集】

東京都に訊く、未来を見据えた〝100年プロジェクト〟

NEXT MOBILITY編集部

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法体系・制度面で克服するべき課題にも取り組む

 

――最先端テクノロジーの社会実装にあたっては、技術面の克服と並んで、法制度上の課題があると思います。東京湾での実証実験では、これらも視野に入れて取り組む事になるのでしょうか。

 

山本 ▶ 東京都としては、法体系・制度面の課題を克服して社会実装させて行く事自体がチャレンジングなテーマとなります。

 

東京のベイエリアは羽田空港に隣接しており、現段階ではドローンが飛ばせない空域があります。実際、現地に行けば離着陸する飛行機も見える位の近さですから、空飛ぶクルマを飛ばすための難易度はとても高いのです。

 

 それゆえどのように法制度と折り合いをつけるのか、何らかの規制緩和を働き掛けるのか、いずれにしても空飛ぶクルマを、東京のベイエリアで飛行させるための仕組みづくりを整備しなければなりません。仕組みを所管する国との丁寧な調整が今後必要となります。

 

 

 とは言っても、今すぐ飛ばせる環境になる訳ではありません。ただ2025年の大阪万博に合わせて空飛ぶクルマの運用が検討される中、いずれ国内の様々な地域でも同様の動きが出てくるのではないかと考えています。

 

そこで東京のベイエリアで、どのように空飛ぶクルマが展開できるか、準備・検討を進めています。

 

――空飛ぶクルマに関しては駐機場・整備場などでも課題がありますね。

 

山本 ▶ 今回の東京都に於ける空飛ぶクルマの実用化計画では、米国などと同じく乗り合いタクシーとしての活用案が考えられます。

 

実際、タクシー車両のように至る所で飛び、気軽にリーズナブルな料金で利用出来る乗り物を整備するという前提を踏まえると、東京の空を飛ぶための駐機場や整備場を用意する事自体は克服するべき大きな課題となります。

 

――先にお話頂いた通りで、空域も課題となりますね。

 

山本 ▶ まずは東京の都市中心部で、空飛ぶクルマをどのように利活用出来るかを検討・協議しなければなりません。

 

例えば、羽田空港から都下の都市領域、または隣県の都市への移動用があると思います。また、災害時や緊急医療に於ける輸送、島嶼での観光用など、様々な用途・切口が考えられます。

 

 そのためにも、まずは都民の方々に〝空飛ぶクルマが持つ可能性〟を広く知って頂く事が大切だと思っています。

 

 行政的な見地では社会受容性こそが最も重要です。

 

――空飛ぶクルマを運行させて行くのであれば、ベイエリア周辺の海上ルートも魅力的ですね。

 

山本 ▶ 確かに海上を使えば、羽田からディズニーランドへも短い時間で行けますね。または品川に出来るリニアモーターカーの駅へ素早く移動する目的でも便利になります。そうなると駐機場、エアータクシーで言うとビルの屋上に駐機出来るスペースが求められるでしょう。

 

しかし現段階で都内中心部をみても、ヘリポートがあるビルは僅かです。空飛ぶクルマが普及した社会では、そうしたエアポートがあるかどうかで不動産の価値も変わるかも知れません。

 

 先にも申し上げましたが、そのためにも、まずは都民の皆様に空飛ぶクルマの魅力や、ワクワクする気持ちをお持ち頂き、いずれは東京に新しいモビリティを迎える準備をしたい。それはこの東京ベイeSGプロジェクトでの大切な要諦の1つです。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。