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2022年7月2日【オピニオン】

三洋貿易の新谷正伸社長に訊く、モビリティ産業の未来予想図

松下次男

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商社機能を活かす自動車産業向け事業は三洋貿易の独自モデル

 

 

 新谷社長 従って商社機能を生かした我々の自動車内装材事業は、当社の最も特徴的なビジネスモデルの一つと言えるでしょう。

 

 加えてもう一つ、絶対欠かせない強みとしては、当社がどことも組みしていない独立系商社である事です。それゆえ日系の全ての自動車メーカーと取り引き出来る訳です。

 

例えば、海外に良い内装部材があった時、彼らが日系全メーカーに提案したいと言えば、我々の出番となります。実際、そのような形で現在進行中のものも決して少なくありありません。

 

 

――新たな分野で言えば、ルクセンブルクのIEE社と提携し、子供の車内置き去り防止センサーの日本導入を発表しました。これ以外にも、自動車分野で新たなプロジェクトが進行中ですね。

 

 

 平澤 目下、主に展開中なのはランバーサポートやシートヒーター、空調シートなどです。それに加えて定番の本革関連が加わります。

 

しかしこれから40年・50年が経過した場合、当社の競合は確実に増える事になります。その結果、コスト競争がライバルとの対抗軸になる可能性も有り得ます。そうなると厳しさが加速度的に増して行く事になります。

 

 そこで当社ならではの付加価値を高めるため、新しい商材を見つける取り組みを約10年前から始めています。具体的には、私が事業部長の時に新分野・新商品の開発グループを作り、既存のものとは全く異なる分野や製品にもチャレンジしている最中です。

 

 この中から、既に花開いているものもあります。その一つにCaresoft社の製品があります。

 

これはX線で車1台を丸毎スキャンし、部品のデータが画面上でチェック出来るものです。この結果、例えばA社、B社のドアミラーが比較出来、それはどのような構造なのか、開発・製造コストはどうなのか、などVA(仮想現実)上に於いて考察・提案出来るものです。

 

 このシステムを使えば、競合車を購入して来て、分解するなどの人海戦術が不要となります。こうした製品はここ2~3年で引き合いが増えています。

 

 

 もう一つは、岐阜県の瑞浪で、廃校を利用した展示場を開設している事があります。

 

これはリアルの車両と、対象車を分解した部品群を紹介する言わば車体構造を知り・研究するための展示センターです。

 

現在は3車種を展示しています。一つは宏光という中国の50万円のEV(電気自動車)。それとジャガーのI―PACE、テスラのモデルYです。

 

 このようなデータ自体やVAシステムの提供・提案に加え、リアルの展示場も開設する事で、ベンチマーキングのソリューションプロバイダー事業を確立させる事を目下構想中です。

 

 この他にもフリクションダンパーなども手掛けています。SUVの後ろのドアを開ける時に、ゆっくり立ち上がるダンパーがいわゆる〝フリクションダンパー〟ですが、近年は受注量が増えています。それ以外にも守秘義務の関係で申し上げられないものが沢山あります。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。