新事業の開発と人材育成は自社事業の両輪
――将来に向けた経営ビジョンがあれば、お聞かせください。
新谷社長 今年の75周年に続き、次の25年後の100周年を見据え、どういうふうに成長するかというビションを持っています。これらを検討する事業開発室を2年前に開設しました。
それともう一つは人材育成に力を入れています。人が大事だという事で、今まで総務部の中にあった人事関係の部署を独立させ、人事部を設置しました。
新事業の開発と人材育成、この車の両輪が大事ということで、2年前にそのような組織を立ち上げました。これらを基軸に新事業の創設および人材育成を目指します。
――自動車産業も100年に一度の大変革期と言われていますが、これについては。
新谷社長 個人的な意見でいえば、やはり内燃機関が変わるというのは大きなトピックになると思います。
また、ITに自動車がつながり、一つのデバイスになっていくという見方もできるでしょう。自動車のステータス、定義が変わっていくことになるでしょう。ソニーも自動車に参入しますね。
希望も入れますと、クルマがこれまでのA地点からB地点への移動手段から、今度はその間に付加価値を付ける空間となります。
そうしますと、例えば移動の間に予防検査や学習することが可能になり、時間軸の移動を含めて付加価値をつけられるような存在になっていく事が想像できます。
これを踏まえれば、内装部材についてもいろいろな意味で付加価値を付ける展開が考えられと社内でも議論しています。EV、水素燃料になろうとも、内装部品は必要かつバリエーションも広がるでしょう。
当社が今扱っているものは快適に関したものが多いが、今後、環境関連、それと安心安全に関するニーズが高まってくると思っています。
シートベルトリマインダーや今回発表した車内置き去り検知センサーはまさにこの安心安全のところであり、当社の有望、かつ重要な仕入れ先であるIEEが扱っているものです。
東証のプライム市場上場企業として、これからは社会貢献のために安全・安心を実現する事が重要であると会社方針として決めています。
――座右の銘を聞かせてください。
新谷社長 “人事を尽くして天命を待つ”です。明らかにできない事はやらない。
要は自分の手が及ばない事は幾らやっても仕方がない。出来る事に集中し、そこを徹底的に行う事が大切だと考えています。そういう意味でも、社員にはやりたいことはどんどんやりなさいと背中を押しています。
――将来ビジョンに関し、数値目標を掲げているのでしょうか。
新谷社長 今進めている5年間の長期経営計画、ビジョン2023があり、来年9月の連結決算で経常利益75億円、ROE15%、海外拠点成長率(売上高)で年率10%を目指す数値目標に挙げています。あまりあっても散漫になるため、この3つを目標にしています。
PROFILE
新谷 正伸(しんたに まさのぶ)
三洋貿易代表取締役社長
1958年6月28日生まれ(64歳)。1982年早稲田大学理工学部卒。同年4月三洋貿易入社、合成ゴムなどの素材営業を皮切りに、2004年タイの現地子会社社長。2012年10月米国子会社Sanyo Corporation of America社長。2012年執行役員、2013年12月取締役兼執行役員事業本部長/三洋物産貿易(上海)有限公司董事長、2014年10年取締役兼執行役員経営戦略室長、2018年代表取締役社長兼社長執行役員。趣味は野球観戦。