― LEADERS VOICE Web Version / 三洋貿易 代表取締役社長 新谷 正伸 ―
複合型専門商社で自動車内装材を主力事業に据えてきた三洋貿易が、新ビジネスの胎動へ向けて積極姿勢を見せている。それは車内の子供置き去り防止センサーや、乗員の健康状態などを検知するバイタルセンサーなどの事業化で、来たるべき未来を視野に更なる収益拡大を目指すという。
そんな同社は、旧・三井物産の有志達が神戸を本店として1947(昭和22)年5月に設立された。その足跡を遡ると当時の事業から大きく拡大出来た理由は、商社機能の強みを生かした海外製品・ソリューションの積極展開にあった。
元々、持ち前の〝強み〟であった化学品や合成ゴム事業を足掛かりに、同社は、早くから自動車産業向けビジネスへ進出。その頃、世界へ向けて積極拡大していた日系自動車メーカー各社の海外戦略と歩調を合わせ、相次いでグローバル展開を繰り出した事が今日の飛躍の礎となった。
今日その海外セグメントに係る事業は、コロナ禍に伴う一時的な停滞もあったのだが、過去5年の売上年平均成長率(CAGR)18・1%と大幅な伸張記録を刻んでいる。
2021年には、トヨタ自動車とマツダの米合弁工場の建設・運用に応えて、アラバマ州やタイ・レムチャバンに海外事務所を新設するなど、海外拠点も数自体を一段と拡充させている。それと同時に、2030年以降のモビリティの産業構造の変化を見据えた取り組みにも力を入れる。
自動車産業が「100年に一度の大変革期」に差し掛かっている潮流を捉え、いち早く自社が蓄積してきた商材・サービスを基礎としながらも、より高い付加価値を持つ製品提供を目指し新ビジョンを打ち出す。
中でも特に注目すべき事業領域は、社会課題に対する〝最適解〟を求め続けて来た同社独自の取り組みにある。より具体的には、〝循環型社会の実現〟〝環境配慮商材の取り扱い〟〝自動車の安心・安全に寄与できる活動〟に注力している。
そこで今回は、三洋貿易が目指す新たな経営の舵取りについて、新谷正伸社長及び、産業資材事業部統括部長兼事業開発室長を担う平澤光康上級執行役員に聞いた。(佃モビリティ総研・松下次男)