ゴーンは、ある時期から規模を追う野望で変節した
今回、弊誌がインタビューを申し込んだ志賀俊之氏は、かつて日産自動車のＣＯＯ（ 最高執行責任者 ）を２００５年４月から２０１３年１１月まで務め、２０１０年～２０１２年には日本自動車工業会会長として東日本大震災を受けた困難な時期の日本自動車産業を引っ張った人物だ。
現在、官民ファンドのＩＮＣＪ（ 旧産業革新機構 ）の代表取締役会長・ＣＥＯとして日本のスタートアップ企業などの支援を手掛けている。
志賀氏の古巣である日産と仏ルノーが今年２月初めに、両社が１５パーセントずつを出資しあう対等の資本関係にすることで合意したという大きなニュースが飛び込んだ。これを踏まえ、このインタビュー後半では、この四半世紀に亘る日産・ルノー提携が「新連合」として再出発したことの背景や今後の行方について語って貰った。
――今年（ ２０２３年 ）に入り、トヨタ自動車の豊田章男社長の交代をはじめとして、スバル・マツダ・いすゞ自動車にデンソーもトップ交代を発表するなど自動車業界の大変革期における新たな動きが活発化しました。
中でも、自動車産業界として最大の出来事ともいうべきなのが、２月に入ってからの「日産・ルノーの対等出資合意」というニュースでした。
志賀 ▶ そうですね。確かにトヨタの豊田章男さんの社長交代発表から日本電産の関潤さん（ 日産出身 ）の台湾・鴻海精密工業（ ホンハイ ）のＥＶ責任者入りまで、ずいぶん多くのメディアからコメントを求められましたよ（ 笑 ）。
日産とルノーの１５パーセントずつの双方出資合意の件も勿論です。ただ、そうしたお尋ねの多くが「日産はルノーと不平等条約を結んで、ここまで来たが（ どう思うか ）」という質問でしたが、それは、そうではないんですよ。
１９９９年３月に日産・ルノーが資本提携契約を結んだ時に、私が交渉をやって締結に持ち込んだ役割を果たした事から、不平等条約からの解放という〝悲願達成〟で喜んでいるだろうとのコメントを取りたかったのでしょうが、それは違う。
