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2023年4月24日【特集】

志賀俊之 元日産COOに訊く、「ルノー・日産」新提携の行方

佃 義夫

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― LEADERS VOICE Web Version / INCJ(旧産業革新投資機構)代表取締役会長/CEO 志賀 俊之 ―

 

 カーボンニュートラル( CN / 炭素中立 )の実現を目指す…。今日、CASE( コネクテッド/自動運転/シェアリング/電動化 )革命を常套語に据えた〝100年に一度の大変革期〟の只中にあって、そのキーワードのひとつである電動化は、大きなうねりとなって自動車産業へ押し寄せた。

 

 その中身はBEV( バッテリーEV )化への抗しがたい激流であり、それに対して日本国内メーカーがEVシフトへと駒を進める歩みの遅さが、世界の産業界や経済界から度々指摘され続けている。

 

実際、日本の自動車産業全体のEV化へ向けた取り組みの遅れは、世界の新車販売実績で明らかになった。
具体的には2022年のBEVの世界販売は、約726万台で21年に比べ7割増へと大きく伸張した一方で、日本市場の方は、軽自動車EVの市場拡大が一時期注目されたものの、EVの販売規模は全体で約5万台。乗用車に占めるEVの割合は僅か2.1パーセントに留まっている。

 

 そうした中にあって日本の自動車産業を牽引するトヨタは、エンジニア畑の佐藤恒治氏を社長とする新体制へ移行。先の4月7日の方針説明会でBEV戦略の強化を明確にした。それは冒頭の宣言こそ以前と変わらないトヨタ流の全方位戦略としつつも「EVファースト」を前面に掲げたものだ。

 

 他方、佐藤トヨタ新体制の方針発表に先立つ3月末には、EU委員会が35年以降に於いても合成燃料e-fuel( イーフューエル/EU基準では、電気分解で抽出した水素と、大気中または発電所・工場等から排出された炭素を組み合わせて生成される合成燃料を指す )を使用するエンジン車を容認する事を発表。

 

欧州市場に於いても、限定された中ではあるものの方針転換を示す動きも出ている。そもそもトヨタが一貫して掲げてきた「脱炭素=EV一辺倒ではない」事は確かだ。ただそれでも世界の趨勢はEVシフトが急速に進んでいる。

 

 そうした折り、志賀俊之 元日産COO( INCJ会長CEO )は「日本車全体のEV施策の遅れは、日本が世界から取り残される事になる」と危惧し、真剣に警鐘を鳴らす。

 

 かつて日産自動車の最高執行責任者としての同社を支えた経営体験を経て、現在は官民ファンドで、日本国内のスタートアップ企業を支援する立場の志賀氏に独自の目線から国内外の自動車産業を俯瞰し貰い、未来に向けて進むべき道についてのヒントを聞いた。( 聞き手:佃モビリティ総研・佃 義夫、 写真:ジェイツ・コンプレックス・浪江 佳代、 文責:NEXT MOBILITY編集部 )

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。