ヤマハ発動機は、ソニーと新たな低速の移動体験の提供を目的とするソーシャブルカート(Sociable Cart)「SC-1」を共同開発した。
SC-1は、ヤマハ発動機の自動運転技術とソニーのエンターテインメント映像技術を融合させたモデルで、両社はこのモデルを用いたサービスを今年度内に国内で開始する予定。なお、SC-1は、体験を提供するもので、車両としての一般販売は予定されていない。
SC-1は、室内や車体側面にビルトインされた高精細ディスプレイに、カメラで捉えた車両の前後左右の様子や走行場所に応じた様々な映像、融合現実映像(Mixed Reality/※1)を映し出すことで、従来の自動車やカートでは提供できなかったエンターテインメント空間を創出。乗客や車両周囲の人々に、より楽しい低速移動の価値を提供することを狙いとしていると云う。
また、高感度なイメージセンサーや超音波センサー、LiDAR(※2)で捉えた車両周囲のデータをAI解析することで、最適な運行アシストや、人の性別・年齢などの属性に基づいた最適な情報(道案内や店舗情報、エンターテイメント情報、配信ニュース、広告など)を表示することもできる。
ヤマハ発動機ではこれまでも、電動のゴルフカーをベースとした試作モデル(2016年発表)や、コンセプトモデル「New Concept Cart SC-1」(2017年発表)の車両開発において、ソニーと協力。カヌチャリゾート(沖縄県名護市)での夜間のゴルフ場における乗車体験サービス「Moonlight Cruise」の期間限定実施などを通じて、技術開発や顧客ニーズの検証を重ねてきた。
この共同開発は、ヤマハ発動機の長期ビジョンの一つ「ART for Human Possibilities, Rethinking Solution, Transforming Mobility」の一環。
ヤマハ発動機は、電動のゴルフカーや小型低速車両(ランドカー)、電動二輪車、電動アシスト自転車、電動車いす、ドローンなどを含めた多様な製品群を通じて、楽しい移動の提供やヤマハらしい社会課題の解決に取り組んでいる。
※1:ソニーが開発した融合現実感技術による映像。
※2:レーザー光を発射し、それが物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、距離や方向を測定する技術。
[SC-1の主な仕様]
– 全長x全幅x全高:3135mm x 1306mm x 1830mm
– 乗車定員:5名
– 走行速度:0~19km/h
– 搭載モニター:車内・49インチ 4K液晶モニター1台/車外・55インチ 4K液晶モニター4台
– 駆動方式:DCモーター
– バッテリータイプ:リチウムイオンポリマー電池
– ブレーキ方式:油圧式四輪ディスクおよびモーター回生ブレーキ
– サスペンション:前・ダブルウィッシュボーン式/後・リンク式
– 自動運転方式:電磁誘導
– HP:https://www.sony.co.jp/brand/stories/ja/our/products_services/sc-1/