トヨタ自動車(以下「トヨタ」)は6月23日、ウーブン・アルファと三菱ふそうトラック・バス(以下「MFTBC」)が、ウーブン・アルファが開発する自動地図生成プラットフォーム(Automated Mapping Platform、以下「AMP」)を用いた共同研究を開始すると発表した。
ウーブン・アルファはトヨタの子会社、ウーブン・プラネット・ホールディングス(以下「ウーブン・プラネット」)のグループ会社。今回は、ウーブン・アルファにとって、トヨタグループの枠を超えた商用車メーカーとの共同研究となる。両社は、高度な先進運転支援技術を用いた新たな安全機能の研究と、新機能を搭載した商用車による実証実験を行い、さらなる安全の向上をめざす。
共同研究において、両社は既に10以上の実証項目を検討している。今回はその第1弾として、AMPの高精度地図をMFTBCが開発するカーブ進入時速度超過警報装置(Entering Curve Speed Warning、以下「ECSW」)に実装し、同装置を搭載したMFTBCの大型トラック「スーパーグレート」を走行させる実証実験を行う。これにより、大型トラックの安全運転支援における高精度地図の効果や課題を検証する。
先進運転支援や自動運転において、センサー情報の1つとして地図を用いる際には、従来は主に費用の観点から、カーナビゲーション用の地図情報が使われてきた。しかし、この方法では地図情報の更新が数ヵ月ごととなり、精度もメートル単位となるため、高度な自動化技術を搭載した車両への採用や、車線レベルで安全な運転を支援する精度の高いアプリケーション開発の難しさが課題となっていた。カーナビゲーション用の地図情報では、車線と物体の位置関係を理解することも困難。また、一般的に高精度な地図の生成や更新には専用の計測車両が使われているが、専門性が高く高価な点が課題となっている。
さらに、道路や車線、信号や道路標識などに何らかの変更があった場合には、速やかにその変化を検出し、地図に反映する必要がある。道路を走行する一般車両からのデータや、衛星・航空写真のデータ等を使って高精度地図を生成するAMPは、費用を抑えながら地図の更新頻度やカバレッジを向上させ、これらの課題を解決することをめざしている。
今回の実証実験では、AMPをECSWに実装し、車両の状態に応じて適切なタイミングでドライバーに急カーブへの進入を予告し、安全な速度までの減速を促す機能を検証する。商用車による事故を防ぐには、道路や車線の状況を予測する機能は特に重要となる。低コストで高精度な地図を高頻度で更新するAMPをセンサー情報として活用し、システムの冗長性とドライバーの道路状況認識を高め、商用車の安全性の向上をめざしていく。
ウーブン・プラネット
Automated Driving Strategy and Mapping Vice President マンダリ・カレシーのコメント
商用トラックとバスのメーカーであるMFTBCとの共同研究に着手し、安全な商用車と物流の実現に貢献できることを大変嬉しく思います。私たちは、単に人とモノを移動させるだけでなく、ドライバーへの負荷を軽減し、人々の命を守るソリューションの提供をめざしています。低コスト、高精度、自動かつ高頻度での地図更新を可能にするAMPの開発を通し、グローバル規模であらゆるメーカーとの協業に取り組んでいきます。今回の共同研究は商用車における安全性を最大化させるための取り組みであり、今後もAMPを用いてパートナーと協業することで、更なる価値を提供していきます。
三菱ふそうトラック・バス
副社長 開発本部長 安藤 寛信のコメント
当社は、高度運転支援技術、またその先に位置する自動運転技術を、商用車のさらなる安全を実現する、非常に重要なものと位置付けています。これらの技術が近い将来、欠かせないものとして広く浸透することを信じ、日々開発に取り組んでいます。ウーブン・アルファのAMPは、その重要なピースとなる可能性を秘めています。同社との共同研究は、相互にメリットの大きいものと信じており、双方の知見を最大限に交わしながら、さらに安全な社会をつくるため、歩みを進めてまいります。